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話の内容だけでなく、環境と状況に配慮する

話の内容だけでなく、環境と状況に配慮する
2018年1月10日 pulusu

心理士おがてぃの勝手にコミュニケーション講座
第10回

 

新年あけましておめでとうございます。おがてぃです。昨年末から天気は良いけど寒いという日が多く、朝ふとんから出るのがおっくうな日々が続いています。健康のために朝ジョギングをしようと思うのですが、なかなかできていません。あったかくなってからにしようかな・・・

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さて、新年最初の勝手にコミュニケーション講座ですが、今回のテーマは「環境と状況に配慮する」になります。どういうことかというと相談業務などを行っている際、ときどき相手が話に集中していなかったり、気持ちが落ち着いていなかったりするような時があります。

相談業務を始めた若かりし頃は、それを「自分がうまく話せてないからじゃないか」「相手の話をよく聴けていないせいではないか」とよく思い悩んだものですが、経験を積むうちに実際にはそれだけが原因ではないということがわかってきました。今回はどんなことがポイントになるのかを少しお話ししたいと思います。環境と状況、相談者のもつイメージについて。

 

 

1.話をしている環境について

 

話をしている環境が影響して話に集中できないということがあります。
よくあるのが寒暖差などで、暑かったり寒かったりしてそちらに気を取られてしまうことです。みなさんも、夏の暑い日や服の寒い日に外で話を続けようとは思われないかと思います。室内でも、エアコンの場所などによってかなり温度の感じ方が変わってきたりするので、相手の様子を見て暑かったり寒かったりしていないか確認してみましょう。エアコンに関連して言えば、空調や換気扇の音などが気になって話に集中できない人もときどきいます。以前コラムで書いた音に関する配慮も合わせて検討できると良いでしょう。

 

部屋に置いてある観賞用の植物や絵画、インテリアなどが気になって集中できないという人もいます。
準備しているこちら側としては、部屋の雰囲気がよくなるようにと考えて配置しているのですが、あまりいろいろあると目移りしてしまったり、逆に気持ちが落ちつかなかったりすることがあります。以前支援していた発達障害の方では「緑色のモノがイヤ」という話があり、観葉植物に布をかけて相談を受けたりしたことがありました。思いもよらないモノが影響している可能性もあるのかこれも確認できるとよいかと思います。

 

以前のコラムにも書きましたが、アロマなどの香りにも配慮が必要です。好みの問題もありますし、人によっては匂いを強く感じてしまう人もいるので、控えめにしておいた方がよいかもしれません。整髪料や洗剤などの匂いを気にされる方もいます。そのため僕は極力整髪料などを使わずに、洗剤も無香料なものにしています(これは奥さんの好みもありますが・・・)。

 

2.その人の置かれている状況について

 

継続的に相談に来られている方の場合だと、面接のテーマになっていることと、今、気になっていることが異なる場合があります。
面接で過去のトラウマとそれに伴う自分の症状について話し合うことになっていても、明日が息子の高校受験日となれば、そちらの方が気になってしまうということは、こころの動きとしては自然な気がします。相談を始める前にいま面接で扱っているテーマ以外で気になっていることはないか簡単に確認をしてみるとよいでしょう。

 

身体的な状態で集中できないこともあります。
お腹が空いていたりトイレに行きたかったりすれば落ち着かなくなるのも当然のことでしょう。他にも寝不足や疲れ、二日酔い、病気の症状等々いろいろな要因が考えられるので、相談に来られた方の様子を観察して、調子が悪そうに見えたら確認してみましょう。

 

3.相談者の持つイメージについて

 

例えばDV被害にあっている女性であれば、男性にDVに関する相談するのは、話の内容だけでなく加害者をイメージしてしまうために相談しにくいということはあるかと思います。
職場でパワハラをしてくる上司に関する相談をする際、上司と同じ年代や性別の人だと、相談する側としては価値観が上司と同じでわかってもらえないのでは・・・と思うこともあるかもしれません。
これらは、相手側の先入観によるもので、なかなかコントロールすることが難しいところです。

 

以前相談に来られていた若い男性の方は、別のところで相談がうまくいかなかったという話をしていたので、何が影響してうまくいかなかったのか質問してみると「とても綺麗な方だったので、緊張してしまって・・・」と話していました。
一般的に好ましいと感じることでも話しやすいと感じるかどうかは、また別のことなのかもしれません。

 

先入観を変えていくにはいくつかのポイントがあります。
相手に安心感をもって話をしてもらうためには、まず自分が相手を支援したいと思っていること、その方が持っているイメージを丁寧に扱いつつ、「あれ、この人はなんか違うかも」と思ってもらえるように関わっていけると良いかと思います。継続して話をしていけば、自分の持つイメージとのズレに気付きやすくなっていきます。

 

ただ、相手の先入観があまりに強い場合には、会うこと自体が苦痛になってしまう場合もあるので、あえて相談を受けずに他の相談員を紹介するのも大切なことかと思います。

 

 

相手の話を熱心に聴こうとすると、内容ばかりに気を取られてそれ以外のところを見逃しやすくなります。コミュニケーションは言葉だけではないので、相手のことをよく観察して、配慮してみてください。

 

》第11回 コミュニケーションで「上目線にならない」

心理士おがてぃの勝手にコミュニケーション講座全12回