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心配を伝え、丁寧に話を受け止めるポイント「傾聴」〜おがてぃのゲートキーパーの話~その4

心配を伝え、丁寧に話を受け止めるポイント「傾聴」〜おがてぃのゲートキーパーの話~その4
2021年2月25日 office

「死にたい」「消えてしまいたい」と言う人と出会ったあなたへ〜おがてぃのゲートキーパーの話〜 その4

心配を伝え、丁寧に話を受け止めるポイント「傾聴」

 

みなさん、こんにちは。 おがてぃです。
先日、令和2年度の子どもの自殺者数に関する発表があり、令和元年度と比べて4割ほど増加した479人とのことでした。女子の人数が増えたことや6月、8月と長期休校明けの時期に増加するなど、要因としては様々なことが考えられます。今後子どもの自殺者数を増やさないためにも子どもに関わる支援者として何ができるのか、いろいろ考えさせられました。

さて、今回はゲートキーパーの役割を果たすための4つのポイントのうちのひとつ「傾聴」について書いていきたいと思います。
前回のコラムでは「気づき」について書き、自死の危険性について気づくポイントについてお伝えしました。今回は気づいた後でどのように関わっていくか、話が聴けると良いのかということをお伝えしたいと思います。

政府広報オンラインに掲載されているゲートキーパーの話では以下の5つがポイントして挙げられています。
・話せる環境づくり
・心配していることを伝える
・悩みを真剣な態度で受け止め
・誠実に、尊重して相手の感情を否定しない
・話を聞いたら、ねぎらいの言葉を
それぞれ説明していければと思います。

 

話せる環境づくり

 

自死に関する話題はかなりプライベートな内容なので、あまり人に知られたくない感じる人も多いかと思います。そのため他の人に聞かれることのない、個人情報に配慮された環境でお話を聴けると良いかと思います。ただ、自死を考える当事者が話しやすいと感じられることが大切であるため、人によってはカフェなど他の人がいる場所が良いということもあります。また電話やチャットなどの方が話しやすいという方もいますので、相手にとって話しやすい環境であることが大切かと思います。

 

心配していることを伝える

 

いきなり自死について話をするのはお互いに抵抗を感じることもあるかと思います。そのため
「最近、元気がなさそうに見える」
「辛そうな表情をしている」
「悩んでいるなら話してみてほしい」
など伝え、相手からの話を促してみましょう。相手から「大丈夫」と言われ、語られない場合もありますが、その際は
「今より辛くなったら相談してね」
「心配だから話したいと思ったら話してね」
など伝えて、次につながるようにしておけると良いかと思います。

 

悩みを真剣な態度で受け止め

 

相手から語られた悩みについて、内容によっては「そんな些細なことで悩むの?」と感じることもあるかもしれません。そんな時はつい「そうくよくよ悩まないで…」と励ましたくなりますが、実際には相談の初期で語られる悩みは全体のほんの一部で、その背景には様々なことが影響しあって今に至っています。なので、些細なことでも真剣な態度で受け止めることが大切で、そのように聴いていると、徐々にその他のことも語ってくれるようになります。また、真剣な態度で受け止めること自体が相手の孤独感を減少することにもつながります。

 

誠実に、尊重して相手の感情を否定しない

 

上記と同じ部分もありますが、感じ方は人それぞれで、思ったこと、感じたことはその人の中では真実になります。なので、それを否定されてしまうと自分自身を否定された気持ちになり、「わかってもらえない」「こんな風に感じた私が悪い」など思い、もう相談をしてくれなくなってしまうかもしれません。なので、相手の感情を尊重し
「そのように感じたら辛かったですね」
「そんなことがあったら苦しいですよね」
など相手の気持ちに寄り添う姿勢で聴けると良いかと思います。

 

話を聞いたら、ねぎらいの言葉を

 

上記の寄り添う姿勢で聴くのと同時に
「ここまで本当に大変でしたね」
「ご苦労なさいましたね」
など自死を考えるまでに至った経緯や、ここまで何とか死なずにやってきたという事実に対して、ねぎらいの言葉をお伝えできると良いかと思います。
どうしても自死の話を聴いてしまうと励ましたり、自死に関する考えを否定したくなったりするのですが、そのように声をかけると先ほどお伝えしたように、自分の考えを否定されたように感じて「もう話さない方が良いのではないか」と思ってしまう場合もあります。そのため、まずは相手の気持ちを尊重できるよう関われると良いかと思います。

 

いかがだったでしょうか。次回は話を聴き、その後必要な支援につなげていく「つなぎ」について具体的に書いていきたいと思います。

 

今回のコラムもシェアしていただけるとありがたいです。「#ゲートキーパーの話」とハッシュタグをつけて、まずは自死に関する知識を持った人が増えることが自死を防ぐことにつながっていくと考えています。
このコラムを読んで学んだ人が増えることで、なかなか支援が届きにくい、人に相談するのも難しいといった方に支援が届くことを願っています。

》厚生労働省ホームページ

》政府広報オンライン

 

※相談先、身近な人を自死でなくされた方のサポートの情報をこのページの最後に掲載しています

 

》誰かが関わり続け、必要な支援を受けられるようにするポイント「つなげる」〜おがてぃのゲートキーパーの話~その5へ

 


シリーズ目次

1.ゲートキーパーって何?
2.「死にたい」と思っている人の気持ち
3.ポイント①「気づき」
4.ポイント②「傾聴」
5.ポイント③「つなぎ」
6.ポイント④「見守り」
7.最後に~おがてぃの思うこと~

おがてぃ
臨床心理士・公認心理師

 

相談先の情報

 

》電話相談窓口情報(厚生労働省のページ)

》いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧|自殺総合対策推進センター

》生活を支えるための支援のご案内|厚生労働省(最終更新7/16)

身近な方を自死で亡くされた方の相談先などの情報

》遺されたご家族へ ―自死遺族の方へ―

厚生労働省|こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト内)
遺族のつどいの情報、弁護士による 電話相談(自死遺族ホットライン)、臨床心理士による電話相談などが掲載されています。

》NPO法人全国自死遺族総合支援センター<グリーフサポートリンク>

自死遺族相談ダイヤル(自死遺族のための電話相談)を行なっています。
全国の身近な人を自死で亡くした方のつどいの情報などを掲載しています。