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Q50. 兄弟の仲の悪さーゆるゆる子育て実践編

Q50. 兄弟の仲の悪さーゆるゆる子育て実践編
2023年4月19日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:兄弟の仲の悪さ
年れい: 小学4-6年、高校生

質問内容

高校一年になる長男(ASDですが普通級)と、2年前から学校に行っていない次男小6(LD、ADHD、小児うつ)の2人の子供の母です。
主人は子育てに関して無関心で、休みの日もマイペースに1人で過ごす人です。
私は、子供達に対して意見を聞いて自由にさせていますが、長男は、学校に行っていなくゲームばかりの次男に対して母の私が甘いと。長男が、口うるさく次男に注意し、それで次男が暴れ、長男と乱闘する日々が続いています。
長男の一本気な性格もわかりますが、私としては子供達に穏やかに過ごしてほしいです。長男の、次男ばかり甘やかしているという気持ちに対して、そういうつもりは無いのですが、どのようにわかってもらえるのかを悩んでいます。2人で遊んでいるときもありますが、長男の言葉が発端となり、次男の苦しさが増しているようです。両極端の性格の兄弟の子育て、どう対応すればよいかわかりません。
一応、次男はこども精神科の入院予約をとっていますがいつになるかはわかりません。本当に2人を離したほうがよいのか、思春期を迎える大事な時期に家族離れることになると、次男のこの先が大丈夫なのかも心配です。

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。ご兄弟の関係、とても悩ましいことですね。長男さんの言っていることもわかるし、次男さんの苦しさもわかる…きっと相談者さんはそれぞれのお気持ちに配慮されているので、こころの中が矛盾してとても悩まれている状態ではないかと推測しました。絶対にこれが正解という答えはないと思うのですが、僕だったらこうするかなということについてお伝えできればと思います。

 

まず前提として、家族の在り方に対する僕の考えをお伝えしておくと「家族のカタチはひとそれぞれである」ということがあります。今まで様々な方々の相談を受けながら家族ということについて向き合ってきましたが、こういった家族像が絶対に良いということはなく、家族を構成する人たちが何をどう望んでいるかによって家族のよいカタチは異なるということが多かった気がします。

 

なので「家族は一緒にいた方が良い」という素朴な意見や「父が働いて母が家庭にいる」という昔ながらの家族像などについては「それはその人たちがそう望んでいるなら」という希望がまずはじめにきて、その後で「経済的状況やそれぞれの方が置かれている社会的な状況、それぞれの価値観等によって」家族の在り方も異なってくるという風に認識しています。
そのため、兄弟が仲良くした方が良いのかどうかも「そもそも、その兄弟が仲良くしたがっているのか?」というところから始め、仲良くしたいのならそのための方法を検討しますし、別に仲が良くなくてもよいということであれば、お互いに距離をとって干渉しあわないような生活スタイルを提案しています。

 

そのようにお伝えすると「ちょっと冷たい対応だ」と感じられる方もいるのですが、仲良くしたくないのに無理やり仲良くさせられるのはお互いにイヤな気持ちになるでしょうし、また人の気持ちは変わるので今は仲良くしたくなくても、将来にわたって永遠に仲が悪いままかというとそれはまた別の問題だと考えています。
小さい頃は仲が良くなかった兄弟であっても、大人になってから和解して仲良くなる例もありますし、その逆もあります。また、それは兄弟に限らず親子であっても同じようなことはあります。なので、今仲良くしたくないということであれば、今は距離を置くという関わりをしてみてはどうかと伝えています。

 

そのため、今回のご相談に関しても、そもそも長男さんと次男さんがそれぞれ仲良くしたいのか、そうではないのかというところから始めていけるとよいのではないかと思います。もし、仲良くしたいなら長男さんは学校やゲームのことを次男さんに言わない、逆に見ていてイライラするということであれば無理に付き合わないという話になります。
また、逆に次男さんが長男さんと仲良くしたいのであれば長男さんの話にも耳を傾け、怒らずに意見するという対応が求められます。次男さんが長男さんと一緒にいてしんどい、辛いということであれば入院なども視野に距離を置くことも必要で、すぐにということであれば、相談者さんかパートナーさんと一緒にウィークリーマンションなどで生活するという対応をしてもよいと思います(今まで相談を受けた中では実際そういった対応をした方々もいました)。

 

また、ご兄弟の意見だけでなく、パートナーであるお父様や、当然、相談者さんの希望も大切になります。お互いどんなふうに過ごせると楽なのかを考えて、一番よさそうだと思うことを選択できればと思います。その際には一緒にいることにあまりこだわり過ぎず「お互いに楽な関係」がどんな関係であるかをイメージできるとよいかと思いました。

 

なかなかそれぞれと話し合うことも難しいかもしれません。ただ、家族の在り方について考える時期が来ているのだと捉え、それぞれが楽に付き合える関係になるよう少しずつ調整していければと思います。相談者さんにとっても楽な関係はどんな関係であるか、少し考えてみてください。

 

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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