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訪問と精神保健福祉士の強みを生かした精神疾患のある親と子のくらしへのかかわり〜有限会社オラシオン

訪問と精神保健福祉士の強みを生かした精神疾患のある親と子のくらしへのかかわり〜有限会社オラシオン
2020年10月15日 pulusu

訪問と精神保健福祉士の強みを生かした精神疾患のある親と子のくらしへのかかわり~有限会社オラシオン

 

大阪府、東大阪市で、精神科専門の訪問看護ステーションと相談支援事業所を運営されている有限会社オラシオンさん。2003年の設立当時、家に行って親、子の環境調整を行うといった仕組みや視点が世の中になかった頃から、精神疾患のある親と子のくらしにずっとかかわってこられました。訪問看護の利点を生かして、そこに精神保健福祉士(PSW)がいることの利点も生かしての取り組みについて、代表で精神保健福祉士の辻本さんにお話をおうかがいしました。
辻本さんは、「カンガルーの会」(精神障害のある親の子育て支援を考える会・2011年活動開始)でも活動しています。このテーマに関心のある精神保健福祉士(PSW)が集い、子育て中の精神障害者の支援に関する研究を行っている会です。
ソーシャルワーカー歴27年の間に、世の中が変わってきたこと、全然かわっていないこと…。その想いや課題提起もあわせてのインタビューコラムです。

(インタビューは2020年8月中頃、オンラインツールで行いました)

基本情報

 

・訪問看護ステーションふろーる

精神科訪問看護とPSWによる訪問支援を行なっています。利用者さんは70人くらいです。

・オラシオン相談支援センター

主に精神障がいや依存症の人の相談支援、ケースマネージメント、研修企画などを行なっています。利用者さんは80人くらいです。

スタッフは看護師4人とソーシャルワーカー2人で、精神科専門の小さな規模の事業所です。
依存症専門外来・アルコール依存症・薬物依存症の「ひがし布施クリニック」が隣接してあります。

 

沿革

2003年2月~研修企画事業
2003年8月~コミュニティ・レストラン事業(健康レストラン味菜 2006年1月終了)
2003年8月~訪問支援事業(訪問看護ステーション ふろーる)
2009年7月~相談支援事業(オラシオン相談支援センター)、研修企画事業を統合
2018年7月~自立生活援助事業(オラシオン 自立生活援助)

》オラシオンHPヘ

 

<大阪市に隣接しています>

 

一番心配していたのは、利用者さんが感染しないようにということ
精神障がいのある方の治療をなかなか受け入れてもらえないことがあります…

 

—最初に、コロナの影響から教えてください。

 

・訪問看護の方は、学校が休みになって(子どもが)家にいるからと訪問のキャンセルもありましたし、訪問するとバイ菌を持ち込むんじゃないか…みたいな恐れを持っている親御さんもいらっしゃって、キャンセルも結構ありました。子どもさんがどうしてるかな、と気になることもありました。

 

・障がい者の相談支援の方は、コロナの影響ですごく忙しくなってしまって…
通所先がストップして行くところが無くなったので、その間にどう過ごすかとか、いわゆるサービス調整で結構忙しかったです。特別定額給付金の個別の手続きの支援もありました。

 

・看護師さんたちが頑張ってやっていたのは、コロナの正しい知識をどう伝えていくかということと、どういう風に感染症対策をするかということ。図にしてみたり、絵にしてみたり、分かりやすくして。子どもさんがかぜ症状が出た時に、どこからが心配しとかなくちゃいけないのか、かぜと(新型コロナ)感染症での違いや、どう気づいていくかを表にして、それを持って行って話をしたりしていました。

 

・私たちが一番心配していたのは…
精神科の疾患のある方は、精神科ではない身体の病気をみている科が、なかなか受診を受け付けてくれなかったり、入院もたらい回しになっちゃうといったことが、(コロナでなくても)日常茶飯事にあるので…。この時期、コロナに感染しているかもしれない人が、精神障がいがあることが分かった時に、治療の受け入れがどうなるのか…特に看護師さんたちが気を使っていました。
だから、とにかく予防。入院が必要にならないように予防を徹底するように…。
ひやひやでした。今でもそうです。
これは普段からの課題でもありますね…。

全くコロナの存在を知らなかった方もいれば、過剰に心配される方もいました

 

—利用者さんの反応や影響はさまざまだったとのことで…。

 

・最初の頃、緊急事態宣言くらいになるまででも、新型コロナウイルス感染症の存在や、それで世の中が大変になっていること自体を、全く知らない人がいました。
一人暮らしの方で、テレビをみていない人、ラジオ生活くらいの人は多くて。病状の重い人たちにとっては、テレビはみたりきいたりがしんどいので…。社会情報を入れていないし、携帯も持っていない人もいるので、全く知らなかったという人やテレビの情報を疑っている人もいました。

 

・やはり過剰に心配する人もいました。

 

・医療との関係(の変化)は大きいですね。
オンライン診療になったり、通院の回数が減って、一週間ごとの通院だった人が3週間毎、一か月毎になったりして、お薬の量も多くなります。それをOD(過量服薬)したりもあるので、マメに行って薬を確認して…。

 

—オンライン診療についての利用者さんの反応はどうですか?

 

・そうですね。「オンライン診療でいいか」みたいなかんじのことも。
先生との関係にもよりますが、病院に行ってそこでうつったら…という不安や、交通機関を使うのが怖いと思ったりしはるので、移動のしんどさがないのはよかったかもしれません。
訪問看護が入っている方だと、オンライン診療で、お薬を訪問看護師さんが届けている方たちもいたので、お薬についてリアルに具体的な話ができて、そこはあまり不便を感じていなかったかもしれません。
精神通院医療や障害者手帳の更新期限が、今回のコロナ対策で一年延期になって、手続きが減ったことはよかったことかもしれません。

 

—親子支援しているご家庭はどうですか?

 

・初期のころに親子支援していた人たちは、年齢が大きくなっていて、今かかわっているご家庭では、乳児のいる家庭があります。0歳児など小さいお子さんのいる家は、保健師さんが頑張ってサポートしてくれています。
それが小学校に上がると、保健師さんたちのサポートがガーッとひいていくので、小学校以上の子どもさんのいる家庭はどうしてもサポートが薄くなります。そこにきて、この感染症なので………。

 

訪問看護も障害福祉サービスも活用してスキマの支援をうめる

 

—親子支援の話で… コロナから話題をひろげて、ということでお聞きします。メンタルヘルス不調をかかえた親子の支援、「精神科の訪問看護」の活用について教えてください。まだまだ知られていないというお話も聞きました。

 

・数年前に、子ども支援関係のシンポジウムでお話したときに、ほかの講師の先生方も精神科訪問看護の活用をあまり知らないということがありました。

 

・始めた頃は、精神障がいの方へのホームヘルプ事業が始まって間もない時期だったので、家に行って、親子の家庭環境、環境調整をする人がほとんどない状況でした。
そのころ大阪では、母子及び寡婦福祉法に基づくホームヘルプ事業は、メンタルヘルスの親御さんは対象外と言われていました。親御さんが骨折したら子どものホームヘルプに入ります。だけど、メンタルヘルスの病気はいつ治るかわからない、期限がわからないので、派遣できないと言われました。
お家に行って、家族の環境を調整したりケアをするには…看護が一番動きやすいと思って(訪問看護をはじめました)。

 

・ホームヘルプ事業が始まってからも、ホームヘルパーさんは、やっていいことと、やってはいけないことが、基準ではっきりしています。
今、私が利用者さんから駆り出されているのは、子どもさんが0歳児でハイハイし出したんですね。それで家を少し模様替えして、子どもが安全に過ごせるように薬を高い所に置いておくとか、細かいものを手に取れないようにしたりしました。ホームヘルプでは、そういった模様替えといった家の大きな片づけは、やらない、やれない規定に一応なっています。

 

・今は、自立生活援助*という障害福祉のサービスを活用しています。
地域で一人暮らしを始める人に対し、自立した日常生活ができるようアウトリーチで支援する制度ですが、生活環境が変化した時にも利用でき、原則1年間スキマの支援ができる制度です。2018年4月からできました。
自立生活援助は、一般的には、退院して一人暮らしになる人とか、グループホームから出た人とかが対象と思われています。なので、親子の支援に使っているケースがどのくらいあるのかわかりませんが、妊娠して出産したというのは、生活環境がすごく変わることだからという理由で、自立生活援助の申請をしたら通りました。
訪問看護でも、直接やってと言われたら、走って行って、(生活用品の)取り付けとか、がんがん今までもやっています。看護の仕事の中に、「療養環境の整備」の名目があれば、結構何でもできるので、環境の整備ですと言ってお手伝いしています。

*自立生活援助
》厚生労働省>障害福祉サービスについて

 

制度やサービスを…「ないという前提で」ないです、で終わってしまう支援者もいます。親子の支援に関しては、支援する人が使えるものを「探して」いかないといけません

 

 

・2009年(平成21年)、ホームヘルプのサービスの中で、子育て支援をしてもいいよ、という通知が国から出されました。沐浴や、学校や保育園との連絡帳の助言、手伝いなどができるようになりました。最近では、障害福祉サービスが充実して、いろいろ使えるようになりました。

 

》障害者自立支援法上の居宅介護(家事援助)等の業務に含まれる 「育児支援」について |厚生労働省

 

・ですが…
子どもが通院するときの付き添いや、保育所の送迎が出来ると書いていますけど、事業所が知らなかったりします。「子どもの送迎をして事故があったときに…」って、頼んでも二の足を踏まれることもあります。事故の時の保険なんかどの事業所も絶対入っているんですけど。
でも、そもそも知らないことが多いです。
家児相(家庭児童相談員)さんでも結構知らないんです。
なので、探して調べて「出来ますよ」と言わないと、調整が難しいです。
カンガルーの会*で、親子支援の時に使えるツールや制度をもう少し整理して普及したほうがいいんだろうなと言っています。親子の支援やったら、こういう制度が一般的に使えることがもっとわかると、いちいち調べなくてもよくなります。相談支援員さんによっては、ないという前提で、「ないです」と終わってしまう人もいますので…。

 

・私たちは精神保健福祉士なので、ソーシャルワーカーだったら、例えば病院に来た利用者さんに、子どもがいるって知った時に、「あ、これとこれとこれが使える」くらいのことが分かっている人になりたいなと思っています。カンガルーの会で、ソーシャルワーカーはどういう視点で、どういう制度があるということを把握しながらやっていくかーー例えばチェックリストだったり、成果物を作っていこうと。

 

—世の中にまとまっているものはないんですか?

 

・ないんです…。
ダルク女性ハウスの『親になるってどういうこと!?』(2009年発行)…くらいです。良く書かれている本で、結構それを使っていたんです。ちょっと前のもので、制度もどんどん変わっていくから、今の制度に合わせた形で使えるものがあったらいいなと思います。

制度やサービスは信頼関係のなかで使っていく、親御さんのメンツをつぶさない配慮をしながら…

 

・最近はそうでもないですが、支援者の方のなかには、制度があると、「とにかく使えーっ」って本人へいく方もいるので…。
まず信頼関係ができたり、「ここはできるけどここは困っている」を本人としっかり話し合って、「じゃあ…こういう方向でどうですか」と制度を紹介したり、「使ってみたらどうですか」と提案をします。そういう手順をふまずに、「〇〇という制度があるので契約しますか?しませんか?1回〇〇円です」といったことをダイレクトに1回目の相談で話したりするので、結局、話が流れてしまったりしますね。
(信頼)関係のなかで、制度をうまく使っていく、使い方のコツがあります。

 

・先日、ヘルパーさんの事業所に、お子さんのことのご依頼をしたとき、「なにか親御さんに対して禁句がありますか?」と尋ねられました。「禁句はないけど、お母さんの顔がつぶれないように、メンツを立ててくださいね」と伝えました。
「お母さんが病気なのにえらいね」みたいなことを子どもに言ったり…。
まわりのお母さんに知られたくないところでヘルパーです、て言ってしまったり…。これにはお母さんはもうがっくりしちゃってサービスを受けることをやめますという話になって…。
自分が子育ての支援を受けていることを恥ずかしいと思う気持ちがあって、おそるおそる始めているお母さんもいるので、そういう気持ちに配慮してほしいと思います。

 

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ー制度やサービスについての調査は、ぷるすあるはがメンバーに参加しているチームクリフの研究でも取り組んでいるところです。サイト内でも情報を公開しているページをつくっています。新作本の『ゆるっとこそだて応援ブック』でも少し取り上げています。

 

・今、精神障がいのある親と子の支援に関する文献研究を、桃山学院大学の栄先生としています。やっとそういうことが、いろいろと研究されたりするようになりましたね。
2011年の頃には、科研費(科学研究費補助金)はもちろんですけど、助成金をもらおうと思っても、「子育て支援」と言うと全然通らなくて…「虐待」だったら通ったみたいですけど、それがすごく歯がゆかったです。あの時は、精神障害者の子育てを支援すると言ったら全部はねられてしまって…。

 

・今回の新作本の原稿を見させていただいて、行政の窓口の名前があちこち違うから、そこは表記が難しいですね。大阪だけでも、パンフレットを作る時に、家庭児童相談室の名前が全部違うんです…だから「これをなんと説明する?」と。行政のこの窓口はこの名前で言うって、パシっと決めてもらったほうがいいですね。

 

少し前に、ぷるすあるはのある自治体の公的機関の名前が、独自の名称に変わっていたことを私たちも知らず…。
自治体によって機関の名称がちがう課題。機関の名称が変わる課題。制度なども目まぐるしくかわるので、利用者の方にとってほんとにわかりにくいと感じます。役所の人も制度についていっていなかったり… 窓口で尋ねてもスムーズにいかないこともあります。

 

<『ゆるっとこそだて応援ブック』より>

 

自分のきもちを話していいと思っていない人がとても多いです

 

今回の企画では、ぷるすあるはのコンテンツ『生きる冒険地図』(学苑社,2019)と『ゆるっとこそだて応援ブック』(自主制作本、2020年10月完成)についてもコメントをいただきました。最初に…辻本さんとぷるすあるはを繋いでくれた縁は、アルコール依存症の家庭をテーマにした絵本『ボクのこと忘れちゃったの?-お父さんはアルコール依存症』ゆまに書房』でした。

 

—『生きる冒険地図』と『ゆるっとこそだて応援ブック』について

 

・(「生きる冒険地図」を)子育てしている利用者さんにもお渡しして、依存症の方とかが多いんですけど… 子どもに、自分が病気であることを知られたくない方、セルフスティグマ*がある方が結構いらっしゃいます。「こういう本があなたの役に立たないかなと思って、ちょっとそーっと見てみて」みたいなかんじで渡して…見てはくれているみたいですけど。前の絵本は訪問に行ってそーっと置いておくと、親は見たがらなくても、子どもは見ていたりして、あれはよかったですね。
今度の子育て本は、ビジュアルでわかりやすくて、文字もかっちりしていないのも、いいですね。大事なことがたくさん書いてあるし。

 

ーどんな気持ちもだいじょうぶというページを、親御さんに特に見てほしいです。子どもがかわいいだけじゃない時間もあってもいいし、しんどいとかわいいが同居していてもいいし。クールダウンとかでもちょっと使ってほしいなって思います。チアキ

 

 

・文字や絵になっていると、どういう気持ちの時にもそれを確認できるので、いいなーと思います。しんどい時にも見られるでしょうし、うれしい時にも見られるでしょうし。今まで口頭で伝えるかんじだったけど、どういう気持ちの時かによって、受け止め方がちがってくるので…自分が必要な時に知れるというのはいいですね。
まだまだ自分の気持ちを話していいと思っていない人がとても多いと思うので、こう書いていると、「あ、いいんだ〜」と。それで、訪問看護とか、支援者に話してもらえると嬉しいし、共有できるかなと思います。

 

ーぷるすあるはがインターネット媒体で情報を出しているのはありがたいとの声もいただきました。今回のコロナ禍では、オンラインが広がり、同時にオンラインの格差も課題になっています。

 

・今回のコロナで、自助グループのオンラインミーティングも、できる人とできない人で分かれてしまいました。近畿では、断酒学校を病院の先生がホストでオンラインミーティングをやってくださったのがありました。そうすると、いろんな地区の人が出られてよかったですが、ホストの方の負担があるので… オンラインでそういうことが普遍的にできる仕組みが要りますね。

 

・以前、オランダのACT*に視察に行ったときに、インターネットがとても普及していて患者さんたちのお家にパソコンがあって、それは重度の精神障がい者の方たちだったのですが、オンラインでやりとりをしていたんです。国からの、セキュリティつきのパソコンを置いていて、服薬確認したり日々の話をしたり…。日本でもあんなふうにできるといいな…。
診療はオンライン診療ができるようになりましたが、訪問看護はまだできていないです。
公的機関との対応は大変でした。個人情報を持ち帰れないから連絡しようにも連絡がつかないとか、オンライン会議で公的機関だけつながらなくて…など。

 

・ICTの活用については、親子で住んでいる方たちは、私たちがほかに関わっている精神障がいの方たちに比べたら、ICT、スマホなどを活用されている方が多いです。子どもさんのことで学校の連絡があったり、SOSのメールがきたりするので、割と使いこなせている方が多く、(ネットから)情報を得ながらやってらっしゃると思います。
相談も、もう少しオンラインで気楽にできるようになったらよいですね。子育てしていると、通院も大変だし、待ち時間も大変だし、役所に行くのも子ども連れて行かなあかんし、そこでまた手続きの間、子どもさんどうしてる… みたいな問題もあるし、(オンライン化は)子育て中の方にとってもいいことでしょうね。

 

*ACT:Assertive Community Treatment(包括的地域生活支援・アクト)は, 重い精神障害をもった人であっても, 地域社会の中で自分らしい生活を実現・維持できるよう包括的な訪問型支援を提供するケアマネジメントモデルのひとつです。(》ACT全国ネットワーク のHPより)

 

丁寧にやっている「よい実践」を現場からあげていけたら

 

—オラシオンさんの特徴について、地域柄なども含めて少しくわしく教えてください

 

・土地は、大阪の中では、生活保護の世帯が多いところです。東大阪市は、一般にはモノづくりの街と言われていて、中小企業がとても多くて、町工場も多くて、サラリーマンは意外と少ないところです。不況になると、いっぺんにみんなが失業して、生活苦になってしまう方が結構多いです。(依存症を専門にしている)東布施クリニックがあるので、依存症の方も多いです。
相談支援センターの利用者さんの半分くらいが依存症の方です。訪問看護ステーションはもう少し依存症の方の割合がさがるかもしれません。
ご本人は身体疾患で、ご家族に依存症の方がいる方で… 身体の方の主治医の先生から指示書をもらって、家族療法的に家庭に行っているような訪問看護もあります。

 

—そういったご家庭は、どんなふうにつながるってくるんですか?
さらりとお話されていますが…つなぐ人たちの工夫があってこそではと思います

 

・地域のケアマネさんや、ソーシャルワーカーからです。
例えば、家族に依存症の問題があって、本人は否認しているけどすごく問題になっていて、だけど行政機関に相談にいってもあまりかかわってもらえない… といったときに相談があります。ご家族の方をファーストクライアントにして、糖尿病や高血圧などの主治医の先生に指示書を書いてもらって、訪問看護で入るといったことを打ち合わせてやることがあります。
それは、地域で日頃のやりとりがあるから、あそこだったらこういう動きをしてくれるのでは、みたいな話になるんだと思います。

 

・精神科訪問看護をやっているところが、山ほどでてきましたけど….
私はソーシャルワーカーがいるのは大事なことだと思っています。診療所や医療機関にも、ソーシャルワーカーがいるのは、特に親子ケースの場合は大事だと思っています。うまく繋いだり、こういう(制度やサービス)が使えそうだと引っ張ってくる力がいるので。
そこに、診療報酬がついてくるといいなと思っています。
(話は、精神科訪問看護の増加、そしてブラック化の話題にもなり…)
せっかく育ててきたのにな…という気がすごくしますが…
よい実践とはなにか、現場から、丁寧にやっている実践の報告をあげられていくといいなと思っています。

 

 

訪問看護ステーションの名前「ふろーる」は、スペイン語で「お花」のこと。
以前、あるACTが紹介されたビデオを見たときに、「お花が枯れる前にまた訪問しますよって」お花を持って訪問しているのをみていいーなと思い、そのイメージで、名づけたそうです。「実際にはお花が枯れるよりもっと早く行ってますね。今は、利用者さんのお誕生日に、お花を持って行っています」

連携の言葉で終わるのではなく、切れ目ない支援の仕組みを制度に

 

最後に、読者の方へ伝えたいことをお聞きしました。

 

・支援者の方へ伝えたいこと。
連携連携って、耳にタコができるくらい聞いてますけど…支援の仕組みをちゃんと制度にしなくちゃいけないと思っています。連携をするんだということで終わってしまうんじゃなくて、制度として、どう切れ目のない支援にするか。特に子どもさんは、乳幼児から… 就職したり、30歳くらいまで。困難な暮らしを生き抜いてきた子どもさんたちにとっては、30歳すぎくらいまででも支援がずっといるので、切れ目ない支援をする仕組みを、制度として考えなくてはいけないというのがひとつです。

 

誰だって病気になるんだし、恥ずかしいことじゃないし、もっと当たり前の世の中になるには、どうしたらいいんやろう…

 

・それから…
障がいがあって子育てするってことが、病気があることを親として言いにくい世の中なんだろうなととても感じています。
お母さんが、訪問看護で話をしているところ、何の病気…とかを聞かれるのがイヤで、子どもさんがいる時間には来ないでくださいとなったり。子どもさんは知っているんだけど…。
生活保護の医療券では病院に行かず、自分で働くようになってから行く、と行って必要な受診をしないお子さんがいたり…。
お母さんたちを見ると、なんとかして隠そう、隠さなきゃいけないと思っているから。それは本人にとっても、子どもさんにとっても、とってもしんどいなと思っていて、隠さないでいい世の中にするにはどうしたらいいんだろう、って本当に思います。

 

・それは、今のお母さんを取り巻く環境が、そういう雰囲気なんだろうなと思うんです。
福祉や医療でも、病気や疾患があって子育てしていることに、厳しい目で見ていたりすることがまだまだ多い…
みんな誰だって病気になるんだし、恥ずかしいことじゃないし、もっと当たり前の世の中になってほしいと思います。

 

・ソーシャルワーカーになって、27年になりますけど、このあたりの暮らしやすい世の中って一向に進んでなくて、私も自分で何やってるんだ、て思ったりするんですけど。
(当時は)依存症は精神障がいじゃない自己責任だとまだまだ言われていた時代で、その頃からちょっとは変わったにせよ、まだ、子育てしていることに関する厳しい目はなくならないですよね、27年経っても。

 

・どんな親御さんでも大変な子育てでも、子育ての困難さが、親御さんの病気に結び付けられてしまうところもあります。親御さんに精神疾患、依存症があると、子ども支援の人たちがちょっとひく…腰がひけるみたいなことこそが、うまくいかない原因になっていることもあると思います。

 

・病気であっても、依存症があったって、親の悩みをきいてくれたらいいのにね。

 

家族をみる、子どもをみることは、ほっといていい領域じゃない。精神医療が妊娠子育てに配慮すること。伝えるべき人が伝えていくこと

 

—どんな仕組みがあるとよいでしょうか?

 

・まだあまり具体的なイメージにはなってはいないんですけど…
例えば、医療機関に患者さんが来ました、障害福祉サービスの事業所などに本人が相談に来ました、というときに、(現状は)子どもの支援はプラスアルファのやってもやらなくてもいいサービス、やったらやっただけ仕事が増えちゃうから大変、みたいになっています。そうじゃなくて、子ども支援も込みでちゃんと評価される、ちゃんとやらなくちゃいけないこと、にならないといけないと思います。
医療機関の依存症の家族教室も、実費をいただくか持ち出しで、やらなくていいことになっているのを、やらなくちゃいけないに。家族をみる、子どもをみることがもう少し担保される、ほっといていい領域じゃないことが仕組みになるといいと思います。

 

・診療報酬もそうですけど…
地域精神医療をなんとかしないといけないとも思います。今、利用者さんで、多くの女性の精神疾患のある方が診療所に通院していますが、大阪では、ソーシャルワーカーさんがいない診療所が圧倒的に多いです。うつ病の薬はだしてもらえるけど、生活を楽にする情報をいただけてない。生活がしんどいものだから眠れなくて、睡眠薬がどんどん増えるとか…。妊娠しました、となったら薬出さないからもう来なくていいよ、と言われるとかね。

 

・最近ある冊子で、精神科医自身が患者さんの妊娠や子育てにもっと積極的に関わっていこうといった記事が載っていたので、やっとこういう記事が出るようになったと思いました。そういう態度で関わっていくことが、一般的な考え方にも影響していくんじゃないかなと思います。伝えるべき人が伝えていくということが。
例えば、コロナのことに関しても、間違った情報や変なデマがいかないように、お医者さんたちがしっかり言っていきますよね。正しいことを伝えるべき人がちゃんと言っていかないと、誤解や偏見はいつも置き去りにされたままで、変なデマがまかり通るんだろうなと思います。
私たち精神保健福祉士もそうなんですけど、いかんせん社会的地位があまり高くないなーと思って。もうちょっと頑張らなあかん私たち、と思ってるんですけどね。

座談会をおえて

 

ぷるすあるはもゆかりのある関西のことばで、リラックスした雰囲気の座談会でしたが、ひとつひとつの言葉に… あたたかくも熱い真剣な眼差しがずっとあって、背筋を正す想いでお話をおききしました。

 

病気をかかえた親の子育て支援が、虐待予防や虐待対応の言葉でないとなかなか目を向けてもらえないという話。悲しく歯がゆい思いです。今年、精神保健福祉士協会のハンドブック(『子ども虐待に気づくためのソーシャルワークハンドブック』)作成に装丁でかかわらせていただいたときにも話題になったことでした…。まだまだ二歩先の世界かもしれませんが、一歩目は踏み出されていると思いますし、それは長年こつこつと積み重ねてくださった実践があってこそだと思います。ありがとうございます。
まだまだ先…と言っていないで、今、必要とされている方へ届けていかないといけないですね。

 

制度やサービスの知識の話では、引き出しをたくさんもっておくことの大切さを改めて感じました。使えるものを「探しにいく」姿勢と、そして丁寧な使い方もセットであること。
ぷるすあるはのサイトや本でも、発信に力を入れてしていきたいと思います。メンバーとして参加しているチームクリフでも取り組んでいるテーマですので、コラボしていけたらと思いました。

 

辻本さん、ご協力ありがとうございました。

 

訪問看護の利用を希望する場合はどうしたらよいですか?

 

→まず主治医にご相談ください。訪問看護ステーションの情報などはお住いの地域の保健所・保健センターに相談するとよいと思います。

 

関連リンク・資料

 

・「発掘!!親子の力 創出!!地域のネットワーク 〜精神障害のある親と子の支援をするPSWのためのチェックリスト」

カンガルーの会で作成しています。桃山学院大学総合研究所共同研究「マルトリートメントの親に対する子育て支援に関する研究」の成果物です。

活用に関するお問い合わせは…
訪問看護ステーションふろーる(メール:oracion-inc@nifty.com ,FAX:
06-6730-9899>にご連絡をいただければ幸いです。

 

・『親になるってどういうこと?! シラフで子どもと向き合うために』

編集・作成:オフィスサーブ
発行:ダルク女性ハウス
2019年 A5サイズ 80ページ

※ぷるすあるはのオンラインストアで取り扱いを始めました。
》ストアへ

 

・子ども情報ステーション>子どもと家族を支える社会福祉サービスあれこれ

子どもと家族を支える社会福祉サービスあれこれ

 

精神科と新型コロナウイルス感染症について

》精神科医療機関における新型コロナウイルス感染症等への対応について (厚生労働省の通知 令和2年6月2日 ) 

》神奈川県、県立病院機構、湘南鎌倉総合病院の三者が連携し、「精神科コロナ重点医療機関」を設置します(2020年05月01日記者発表資料) https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/prs/r8574623.html (一般の医療機関では対応が難しい、精神疾患の症状が重く、かつ新型コロナウイルスに感染した方 に適切な医療を提供するための先駆的な取組です)

 

「子ども虐待防止オレンジリボン運動 新型コロナウイルス感染症対策下における子ども虐待防止に資する活動への助成」を受けて行っています。

》トビラのページへ