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[参加レポート] ヤングケアラー・若者ケアラー支援者向けシンポジウム

[参加レポート] ヤングケアラー・若者ケアラー支援者向けシンポジウム
2018年8月6日 pulusu

平成30年7月30日(月)
ヤングケアラー・若者ケアラー支援者向けシンポジウム
@成城ホール

 

ケアラー(carer)とは、サポートの必要な家族や友人などを無償でケアする人のことです。
18歳未満の子どもををヤングケアラー、18歳-おおむね30代くらいまでを若者ケアラーと言います。
「ヤングケラー」という言葉。最近、耳にする機会が増えました。
世田谷高齢福祉課主催のシンポジウムに参加しました。
会場は盛況、メディアも入っていました。
ぷるすあるはの取り組んでいるテーマとも重なること。それをまた別の視点からも考える機会になりました。2時間の中に濃い時間で、多くの学びがありました。

 


プログラム

前半 澁谷智子氏の基調講演
「介護を担う子ども・若者をサポートするために考えたいこと」

後半 3名のパネラーの方からの発表とパネルディスカッション
「まりねっこの取り組み」若年認知症ねりまの会MARINE 伊藤氏
世田谷区あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター) 島尻氏
代田児童館長 清水氏


 

 基調講演
「介護を担う子ども・若者をサポートするために考えたいこと」
澁谷智子氏(成蹊大学 文学部現代社会学科准教授)

 

イギリスのヤングケアラー支援を紹介しながら、日本でのサポートを考える。
ヤングケアラーがしていることや、受けることのある影響の話。学校生活に集中できなかったり、友人づきあいや部活、趣味などに時間を使えないこと。感情的にも身体的にも疲れていたり、自分の健康や進路が後回しになること。
若者ケアラーでは、さらにケア責任が重くなることも。
大人への移行期にあたり、人生を大きく左右する決断をするときに、ケアのことを考えてしまう…

 

ヤングケアラーを支援するときの課題。…4つの課題があげらえていました。


課題(配布資料より引用)
1.見えないヤングケアラーら若者ケアラーをどのようにして見つけるか
2.自分の子どもは「ヤングケアラー」なのかと不安に思う親への配慮
3.誰(どの部署)が何をどこまでやるのかを、どう明確にするか
4.ヤングケアラーや若者ケアラーの「その後」にも目を向ける


 

・見えないケアラーhidden carer

「ヤングケアラー」という名前がつくことで、社会的に認知されてサポートされやすくなると同時に、ラベルが貼られる印象になる面もあり・・・子どもは、他の人に話したくない、ふつうでいたい。大変、かわいそう、と見られたいわけではない。
ケアを担うことを通して確かに身につけたプラスの面を言語化することが大切で、これは大人の役割。そのうえで、過度なケアを長期間担うときには自分の生活に影響がでてきてすまうことがあり、そのサポートは必要だということとあわせて伝えるということが話されていました。

 

・親にとって「ヤングケアラー」という言葉が突き刺さる

イギリスで、ヤングケアラー支援が進むプロセスの話。
…非常に困難な環境にある子どもたちを、親の地位を傷つけることなく、どのようにサポートしていけるか?
とてもデリケートで大切な課題。
「家族全体を考えたアプローチ」へということが話されていて、この流れは共通…と感じました。

 

印象に残った写真。イギリスの話で親のグループの様子。
身体障がいをかかえた親御さん、精神障がいをかかえた親御さん…と障がいの種類によらずグループを囲んでいるもので、日本では、障がい毎にというイメージが強いので、印象的な写真でした。

 

》ヤングケアラープロジェクト

*藤沢市、南魚沼市の教員調査の結果も公開されています

 「まりねっこの取り組み」
若年認知症ねりまの会MARINE 伊藤氏

 

会の紹介…子ども世代 20-30代を中心に集まり語り 3ヶ月に1度 41名がつながっている。東京都外からの参加あり。年1回シンポジウム開催(今年は9月)

苦労話ではなく普通の生活の話。
わかってもらえる、わかる。
ピアの力。語りの力を感じる発表でした。

 

》若年認知症ねりまの会MARINE

》若年性認知症と向き合う子ども世代のつどい「まりねっこ」の公開イベント「子ども・若者ケアラーの理解 9/22(土)@池袋

 

世田谷区あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター) 島尻氏

 

区独自の政策で、高齢者だけでなく、障がい者、子育てされている方も対象。
家族全体を応援する大きな取り組みだと思いました。
そして、そこから支援がつながった例—20代の若者ケアラーからの相談から、家族全体の支援をおこなった例の報告がありました。
今回のシンポジウムの主催でもあり、世田谷区の取り組み、注目です。

 

》世田谷区>あんしんすこやかセンター

》厚生労働省>地域包括ケアシステム
*ページの中頃に全国の地域包括支援センターへのリンクがあります

 

代田児童館長 清水氏

 

児童館の案内、出会った若者の話。
子どもへの温かく真剣な眼差し。
「声をかける」
「ちょっと面倒くさい大人がいるけど、楽しいから遊びに行こう」というばをつくる
「職員…大人として胸をはっていこう」
「子どもへ、好きだよ、というコミュニケーションをしっかり言葉で入れていく」

いろんな個性の素敵な大人、子どもを気にかける大人がいる場。いいなと思いながらお聞きしていました。

質疑の時間にはフロアからの情報提供も。

 

》横浜ヤングケアラーヘルプネット

若い世代や学生の頃に介護を経験した当事者を中心に専門職、時には研究者なども交えて毎月フリートークの定例会をしています、毎月第4水曜日開催

 

 

ぷるすあるはの活動ともつながる、ヤングケアラー・若者ケアラーの応援。
調査、発表、実践を重ねておられる取り組みから学ぶことも多いですし、これからも注目、連携していきたいと思います。
貴重なシンポジウムをありがとうございました。