特集コラム。
メンタルクリニック、精神科の病院や診療所での、患者さんの子育て支援について考えます。
第2回は具体的な提案集(ver.1)です。
スタッフ体制、診療体制によっても、できること難しいこと、幅があると思いますが、とりいれられそうなことがあれば、試していただけたらと思います。
更新日 2019年2月2日
【待ち合いや待ち時間などの工夫】
1.地域の子育て支援に関する情報を集め、待ち合いなどに置く
2.子ども・子育て関連の書籍やグッズなどを待ち合いに置く
3.子ども連れの診察時には、コメディカルや受付スタッフなど、誰か声をかける、待ち時間を工夫する
【予診、診察や相談場面での工夫】
4.予診票、問診票に、子育て・子ども・家事などに関する設問を入れておく
5.診察場面、あるいはコメディカルから、子どもの様子、子育ての困りごと、相談相手についてたずねる
6.必要時、地域の子育て支援・行政・保健・教育機関などへつなぐ。情報提供、紹介する、連携をとる
7.患者さんのパートナーや親(子どもから見ると祖父母)など、子どもを支える家族全体を支援する
【子どもに対して】
8.子どもが来たら、挨拶と簡単な自己紹介をする
【待ち合いや待ち時間などの工夫】
1.地域の子育て支援に関する情報を集め、待ち合いなどに置く
役所(支援課・子育て支援課など)、保健センター、保健所には、いろんなパンフレットが置いてあるので、子育て関連のものをとってきておく
例)さいたま市なら「子育て支援ブック」
最近では、子育て支援サイト・アプリも充実してきている
例)神戸市なら、コープこうべ「みんなで子育て」、「神戸新聞子育てクラブ」など 地域の子育て支援情報を収集
2.子ども・子育て関連の書籍やグッズなどを待ち合いに置く
・子ども支援の書籍1)
・子どもも読める時間をつぶせる書籍やマンガやグッズ
例)知恵の輪、ルービックキューブなど音のならないもの
カウンターにお絵かき用の紙と色鉛筆など
・家事の手抜き本 など
待合の一角に、広くなくていいので、プレイマット(百均にもある)をしいたキッズコーナーがあると、乳幼児をちょっと寝かせるにも役立ちます。
3.子ども連れの診察時には、コメディカルや受付スタッフなど、誰か声をかける、待ち時間を工夫する
例)順番が近づいたら携帯に連絡するなど配慮する
みられるスタッフがいれば短時間でも子どもをみておく
(託児があれば非常に心強いです… 受診時の子どもの一時預かりなど「ファミリーサポートセンター2)」を利用している方もいますので、その情報提供など)
【予診、診察や相談場面での工夫】
4.予診票、問診票に、子育て・子ども・家事などに関する設問を入れておく
予診時、家族構成を確認する際、成人していない子どもがいたら、子どもの情報を聞き、記載する(学年・名前・学校行ってる?心配ごと?etc)
5.診察場面、あるいはコメディカルから、子どもの様子、子育ての困りごと、相談相手についてたずねる
質問例)
「子育てで気になっていることはありませんか? 園や学校で、困っていることはありませんか?」
「買い物や食事の支度、掃除や洗濯など、家事が負担になっていませんか?」
「調子が悪いときに、お子さんのことサポートしてくれる方がいますか?」
※困っていても大丈夫という人、子育てに困っていることに気づいていない人もいると思います。生活の様子全般について聞いていくなかで「これでは親御さん、子どもも大変なのではなかろうか」と想像する視点が大切です
6.必要時、地域の子育て支援・行政・保健・教育機関などへつなぐ。情報提供、紹介する、連携をとる
電話1本、申し送りしてもらえるとつながりやすいです。
情報提供は、パンフレットを渡すなど、なるべく具体的に。
クリニックにソーシャルワーカーがいても、その存在を患者さんが知らないこともあります。ワーカーさんに相談できることを伝えてください*。
医療相談室[ソーシャルワーカーの相談部門]などで、相談内容を掲げていたら「子育てに関する相談」「子育て支援」と明記しておくとわかりやすいです。
役所に電話相談・面談などがあり、悩みごとに耳を傾けてくれることを知らない人も多いです。
*ケースワーカーさんがいない病院もあります。相談が有料のこともあります
7.患者さんのパートナーや親(子どもから見ると祖父母)など、子どもを支える家族全体を支援する
例)家族にも子育てや家事などの状況やニーズを尋ねる、情報提供する、家族をねぎらう
【子どもに対して】
8.子どもが来たら、挨拶と簡単な自己紹介をする
最初からいろんな話をしようとしなくてokです。挨拶と自己紹介をして、子どもをいないことにしない、ちゃんと見てるよ、が伝わればokです。目線を子どもの目線の高さに合わせて、優しい声で話しかけてください。
「ここはママパパを支えてくれる安心な人、場所」が伝わるととてもよいと思います。
話をするなら、年齢が低ければ、子どもの好きなこと、関心のあることの話から。
小学生以降であれば「もしなにか、聞きたいことや、心配なことがあったら、言ってくださいね」と伝えてもよいと思います。病院に一緒に来院している時点である程度の状況はわかっていることがほとんどですし、聞きたいことがある場合もあると思います。
子どもが親の病気のことや見通しを知りたいときには、患者さんご本人やご家族と相談し(ご本人ご家族の意向がありますので、そこを飛び越えずに)、話をすることを含めて、対応ください。
参考ページ
》子どもに病気について伝えようと思ったら>親がこころの不調になったときの子どものケアガイド
※こちらの提案コラムは、今後も順次内容をブラッシュアップしていきたいと思います。ご意見、実践例など、ぜひお問い合わせフォームよりお寄せください。
1) 》こころに関する絵本棚(心理教育絵本を集めたプルスアルハの本棚・ブクログ)
2) 》ファミリーサポートセンター事業案内(女性労働協会のページへ)
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