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ストーリーになるように話す

ストーリーになるように話す
2018年5月25日 pulusu

5月も終盤になりだいぶ暖かくなりました。個人的にはスギ花粉がだいたい終わったのでこの時期は体調の良い時期になりになります。しばらくこういった時期が続けばいいなぁと思いつつ、割とすぐに毎年梅雨になるので、なるべく今の気候を楽しめるうちに楽しみたいと思います。

 

 

さて、今回の勝手にコミュニケーション講座ですが、テーマは「ストーリーになるように話す」です。
前回は上目線にならないことをテーマに説明の仕方などについて書きました。今回は改めて「どう話したら相手に伝わりやすいのか」について考えてみることにしました。

 

僕のところには話をするのが苦手な人がよく相談にきます。時々、本人はそう思ってなくても、周りの人から「いまいち何が言いたいのか良くわからない…」と思われている人がいます。
そういう人は共通して「自分の思ったことをそのまましゃべる」「自分のしゃべりたいことをしゃべる」という傾向があります。そしてそれが話のわかりにくさにつながっています。

 

そもそもなのですが、人が感じること、思うこと、考えることというのは散発的だったり、突発的だったりして、いわゆる「時系列」とか「論理的」ということとはかけ離れています。
例えば、満開の桜を見て「桜がきれいだ」と思った時に、視覚的な色合いとか桜が散る様子とか、花びらの形状とかを瞬時に捉えています。また、過去に見たことのある桜と比較したり、その際に一緒にあった出来事、友達と見たとか、桜祭りの縁日で焼きそばを買って食べたこと、とかも同時に思い出したりします。

 

それをそのまま話したらどうなるでしょうか?
「桜がね、昔と比べていい色で焼きそばも食べたくなったんよ。でももう友達も引っ越してしまって一緒に見られないのは悲しいなぁ。」…これだと一体何が言いたいのか、なにをしたいのか相手には伝わりません。

 

そこで、相談に来た人に僕は、もう少しストーリーになるよう語るように話してみてはどうかと伝えています。
上記の例だと…
「桜が綺麗だなぁ。今日の桜を見ていると昔見た桜を思い出すんだよねぇ。あの時ちょうど友達と桜祭りに行ってね。その時縁日で食べた焼きそば美味しかったなぁ。友達ももう引っ越しして、なかなか気軽に会えないから、ちょっと寂しいな…」
このくらい語ると、相手にも伝わりやすくなります。

 

この二つの話し方の違いはどこにあるでしょうか。
それは「聞き手を意識しているか」になります。
例えば自分の話したいこと、言いたいことだけをただしゃべってスッキリしたいのであれば、実はどちらの話し方でも構わないのです。ただ、相手と自分の感じた桜が綺麗だということや、友達と会えなくて寂しいと思ったことなどを「相手と共有したい」と思う場合は、相手に話が伝わる必要があります。
そして、そのためには、ただ説明するだけではなく、相手に「追体験」してもらう必要があります。

 

はるか昔、僕が高校生だった頃。
古典の授業で松尾芭蕉の俳句について学んだ時がありました。芭蕉が奥州平泉に立ち寄り、源義経が戦をしたと言われる古戦場跡に立ち寄った時、戦の喧騒やその後の姿を想像して「夏草や 兵どもが夢の跡」を詠んだということだったのですが… 古典の先生は、芭蕉はその戦場跡で戦った兵士達が経験したであろうことを「追体験」をしたからこそ、この句を詠むことができたのだと教えてくれました。

 

習った当時は、なんのことだかいまいちピンとこなかったのですが、相談業務の仕事をするようになって、相手のことを理解しようとする時にはこの「追体験」をしないとなかなか共感しにくいし、逆に相手に理解してもらう時にも相手に「追体験」してもらうと良いということがわかってきました。

 

そのためにはどう伝えたら良いでしょうか?
それは、何か物事を説明する際には「相手が物語を聴いているように話すと追体験してもらいやすい」ということがだんだんとわかり、そのことを心がけて話をするようになりました。

 

それ以外にも心がけていることはいくつかあるのですが、まずはこの「追体験」を目的として「ストーリーになるように話す」と相手に伝わりやすいことが意識できていると良いかなと思います。

 

 

今回のコラムはいかがだったでしょうか?
もしかしたらすごく難しいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
この「ストーリーになるよう話す」で気をつけないといけないポイントとしては「話が長くなりやすい」ことです。そのため途中で相手が飽きてしまったり、情報が多すぎて逆に理解しにくくなってしまうことがあります。
話を整理してコンパクトにまとめるコツに関しては、また次回のコラムで書きたいと思います。