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【レポート】家族療法学会の自主シンポジウム 「精神疾患のある親とその子ども―親子への支援と『絵本』の活用」

【レポート】家族療法学会の自主シンポジウム 「精神疾患のある親とその子ども―親子への支援と『絵本』の活用」
2020年9月11日 office

2020年9月5日

家族療法学会 自主シンポジウム
「精神疾患のある親とその子ども―親子への支援と『絵本』の活用」
登壇させていただきました。

2014年神戸大会で同じく長沼先生の企画に参加させていただいた、自主シンポジウム「精神障害のある親のもとで暮らす子どもへの支援をめぐって」からひきつづいての流れで…その後絵本の翻訳・出版・出版予定が続くなかで、それぞれの特色、味わいを知り役立てていただきたいと企画されました。

 

 

ぷるすあるはは、久々の公の場のチアキの読み聞かせから参加。
絵本は『ボクのせいかも…-お母さんがうつ病になったの-』

「ひとりじゃないよ、はなしていいよ、あなたのせいじゃないよ」の絵本にこめた想いをお話ししました。
そして2012年の最初の絵本からこれまでに読者の方からいただいた声の一部を紹介。子どもさん、親御さん、パートナー、支援者… 同じ立場の中でもさまざまな反響があり、多様な声が生まれる場になっています。

たのなか先生からは、精神疾患の親をもつ子どもの困難や統計的なこと、ドイツでの精神疾患の親と子ども、家族への様々な支援のお話があったのち、絵本の紹介とミニ動画の上映。何度みてもいいですね。

上野先生からは、親子に向けて作られた2冊の本の目的、作者のソランタウス先生の素敵なメッセージ! 活用方法についてなど。親、子に力がある。絵本は話すきっかけに、支援のきっかけづくりに。

そして長沼先生から、心理教育ツールとしての絵本、支援者などへの研修ツールとしての絵本について。二者関係ではない絵本を挟む効果のことや、朗読の読む、きく、間合いの話なども…「 もっとじっくりききたいー」という、あっという間の時間でした…

絵本を切り口に面白い試みでした。
絵本が少しずつふえてきて、お子さんご家族にあわせて使える選択肢がふえてきたのは嬉しいです。
来年翻訳出版予定のデンマークの絵本も楽しみです。

今日のメンバー、今日の企画でまたできたらいいな。byチアキ(だけど、オンラインzoomって難しい……)
ご参加のみなさまありがとうございました。
素敵な企画とシンポジストの先生方にもありがとうございました。

 

 

トップの画像は、今日の主役の絵本たち。
慌ててつくった背景とともに(絵を飾ったり、白い布をかけたりしています)。
ぷるすあるはのストアでは、各々の絵本とセット販売と取り扱っています。
このコラムの最後にリンクをつけています。


シンポジウムでいただいたチャットメッセージからの追記


Q 絵本の使い方で気をつけることについて

精神疾患をもつ親をもち、現在精神疾患をもちながら子どもを育てているお母さんを支援しています。お母さんとお子さんとの両方に絵本を見せられたらと思いますが、年齢や状況により注意も必要かと思います。何か気をつけることがありましたら、お教えください。

…年齢共通にはなりますが、子どもの理解や気持ちをきくこと、 また、大人のペースで疾患に関する説明をするのではなく、できる限り雑談などしながら関係をつくっていき、子どもの安心・安全を確保することが必要な配慮かと思います。
思春期頃からは態度で自分の気持ちを出してくるので、言動をよく見守ることも大切だと思います。
…親御さんの了解を得ることも大切だと思います。親御さんの意向をすっ飛ばしてしまうと、絵本を使った後のフォローができなくなるからです。 あとはお子さんの理解度に合わせて、家族構成に合わせて、言葉を言い添えたり言い変えたりする必要があります。 絵本はひとつのツールなので、絵本を使った後も、継続したフォローが大切です。

Q 今後の展望について

今後「精神疾患の親を持つ子どもへの支援」をどのように発展させることができるのか?についてお聞きしてもよろしいですか?

 

…まだまだあらゆる面で発展途上な領域だと思います。未就学児への対応はある程度整いつつあるかもしれませんが、その先の対応、サービス共にまだまだ不足している状況だと思います。子どもが成長していけるまで、しっかりサポートできる体制をどのように構築していくことができるのか、課題は山積だと思っています。一方で、子育て世代包括支援センターの設置や、ヤングケアラ―への注目など、少しずつ期待が持てる状況も進んでいると思います。

…就学以降、学校教員や児童福祉、子育て包括支援センターなどの子ども達の周囲にいる専門職や大人と共通認識がもてると次の展開が広がると思います。

…「精神科病院」「精神科看護師」がもっと動くと、発展への力になる思っています。 現在、保健師や地域で子育て支援に関わる支援者を対象にしたLet’s Talk About Childrenの講演会や研修会を開催しておりますが,精神科看護師へのアプローチももちろん考えており,タイミングを見計らっている状況です。最近では,精神科訪問看護にも注目しています。

Q 子どもへ届けるには

子どもたちに絵本が届くにはどうしたら…?

 

…やはりまずは大人たちに絵本を届けていきたいと思っています。
大人たちが絵本の価値、意味を実感してくれれば、子ども達の手に届くところ、目に入るところに絵本が置かれる可能性が増えると思うからです。絵本を糸口にして、親や子どもと大人の精神疾患やその影響について話し合う機会を少しでも広げていただきたいですね。

…「薬局に絵本」を置くことをずっと前から気になっています。 身近でたくさんあること、色んな病気の本が普通に置いてある場所、大人も子ど ももアクセスする場所、薬剤師も頼りになる専門職であることなどから。
もう一つは精神科病院の図書室や病棟に置いてもらう、です。
外来や精神科クリニックにもあるとよいですね。

…まずは大人の方によんで頂きたいと思います 病院の待合室や、学校の図書室に置いてもらえると嬉しいです。

ぷるすあるはのオンラインストア

》ソランタウスさんの絵本2冊セット ←NEW
》親子の応援絵本5冊セット ←NEW

の2つが新たにオンラインストアに加わっています(期間限定)

》『悲しいけど、青空の日』

》『ボクのせいかも…-お母さんがうつ病になったの-』

プルスアルハの絵本全巻、『かぞくがのみすぎたら』などいろいろ取り扱いあり…

絵本の紹介コラム

(たのなか先生訳の絵本のミニ動画も掲載!)

》『絵本』の紹介〜精神疾患をかかえた親とその子どもを応援する絵本

プルスアルハの絵本に寄せられた声のコラム

》絵本の活用法を考える(1)読者のみなさまの声より「ボクのせいかも…ーお母さんがうつ病になったの」

リンク

》こころの病気をかかえている親の子どもへの支援

「子育て支援Let’s Talk!子どものことを話そう」のこと、ソランタウスさんの動画メッセージ、ハンドブックの紹介などの情報が掲載されています。