更新日 2022年1月
精神障がいのある親と、その子ども、家族をささえるサービスをまとめました
養護教諭を対象とした調査*でよせられた「支援ニーズ」をもとにしています。
子どもや家族の支援にかかわっている方、サービスの調整を行なう方へ。
目次
家族全体を見すえた生活支援・障害のある親への支援
01 経済的な支援
02 家事全般・子育てケア
*
子どもへの支援
03 子どもの一時的な暮らしの場
04 放課後の子どもの居場所
05 精神障害について学ぶ機会
親御さん、お子さんと一緒に見られて、チェックをできるシートができました
支援者の方へのお願い
自治体によってサービスの提供内容や、利用条件がことなっていたりします。サービスが使えるかどうか確認して、見通しをもってから、情報提供を検討ください。申請窓口への同行や、書類の記載サポートなど、いっしょに取り組んでくださるととても心強いです。
家族全体を見据えた生活支援、障がいのある親への支援
01 経済的な困窮状態への支援
生活保護制度(窓口は市町村役場)
・収入が「最低生活費」に満たない場合に、その差額を補填する形で受けることができます。
・働いていても、受給することができます。
》生活保護制度|厚生労働省のページ
》知っていますか?生活保護のこと〜生活保護制度の正しい理解と活用のために〜|生活保護に関する日本弁護士連合会のパンフレット)
》生活保護制度申請ガイド・生活保護申請用書類・4点セット|認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)
》路上からもできるわたしの生活保護申請ガイド2017年版|ホームレス総合相談ネットワーク(120ページにおよぶ、とてもくわしいガイドです。「福祉事務所で申請するときこう言われたらこう言おう」など実践[じっせい]的な内容もあります。)
生活困窮者自立支援制度(窓口は市町村役場)
・生活に困っている時に就労や家計管理のやり方についての相談を受け付けています。
・困窮者向け学習支援事業を行っている自治体もあります。
02 家事全般・子育てケア
障害者総合支援法による「居宅介護(家事援助が中心の場合)」
<利用には「計画相談」が必要です。まずは市町村役場または障害者相談支援事業所に相談>
・障がいのある本人に対する調理・洗濯・掃除・育児支援などの日常的な家事(生活していく上での必須のこと)を提供。
・「育児支援」は、①利用者(親)が障害によって家事や付き添いが困難な場合・②利用者(親)の子どもが一人では対応できない場合、③他の家族等による支援が受けられない場合に受けられることになっている。
・支援例としては、親子の掃除や洗濯や調理・子の通院付き添いのほか、学校との連絡援助等もあげられる。
・②の条件について、自治体により判断が分かれる。
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※障害者総合支援法で使えるサービスについて
(WAM NET(ワムネット)のサイトで説明されています)
外出を支援するサービス。
外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行います。(親の通院の付き添いを子どもが行なっているような場合、親へのサービス導入の可能性を考えます)
身体介護、家事援助など。
ここでいう家事援助とは障害者本人の日常の家事だけではなく、育児にかかる支援も含まれます。
その根拠として以下の厚生労働省の通知があります。
》障害者自立支援法上の居宅介護(家事援助)等の業務に含まれる 「育児支援」について
親が障害によって家事や付き添いが困難であり、子どもが一人では対応できない、かつ、他の家族等による支援が受けられない場合、個々の親、子ども、 家族等の状況を勘案し、必要に応じて、「居宅介護(家事援助)」又は 「重度訪問介護」の対象範囲で親が、本来家庭内で行うべき養育を代替する。(その対象範囲に含まれるものについて、これまでの事例がQ&Aで示されています。)
※「行動援護や居宅介護などの、障害者福祉サービスを利用するためには、「計画相談」を利用する必要があります。
これは、介護保険制度では介護を必要とする方がケアマネジャーさんに相談しながらケアプランを作成してもらい、それに基づいてサービスが提供されるのと同じ仕組みです。
つまり「相談支援専門員」さんが相談に応じながらそれぞれのご家庭に最適なサービスプランを作成し、それに基づいて実際のサービスを提供する仕組みになっているのです。制度やサービスのことがよくわからなくても、まずは相談支援専門員さんに会って話を聞くことで、お住いの地域の様々な情報をもらえます。
最寄りの相談支援専門員さんに出会うには、市町村役所の障害福祉課にご相談いただくか、障害者の「相談支援事業所」にご相談ください(地域によって名称が異なることがあります)。
自治体独自のサービスによる家事支援・子育て支援<窓口は市町村役場>
・子育て中の家庭に対するヘルパー支援制度を設けている自治体がある。
・対象者・利用上限・利用条件等自治体により格差が大きい。
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養育支援が特に必要であると判断した家庭へ、保健師・助産師・保育士などが訪問して子育てのアドバイスや相談にのります。
育児・家事援助については、子育てOB、ヘルパー等が実施します。
》自治体独自の育児支援ヘルパー派遣等に関する国の規定(養育支援訪問事業)
基本的には学齢期は対象外ですが、自治体によっては小学生くらいまで派遣の対象とされていることがあります(さいたま市等。》さいたま市の該当事業のページ)。
》子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)(厚生労働省のページへ)
育児の援助を受けたい人と、援助を行いたい人とをつなぐ事業。
小学生くらいまでの子どもを一時的に預かってもらったり、保育園の送迎などを手伝ってもらえます。弟妹の世話の負担を減らせるかもしれません。
子への支援
03 子どもの一時的な暮らしの場
ショートステイ事業<市町村の子育て支援担当に相談>
・親の入院等で一時的に子どもの面倒をみられないときに、児童養護施設などの施設を借りて一時的な子どもの安全な暮らしの場を支援する事業。
・一部の自治体で実施。
》子育て短期支援事業(短期入所生活援助(ショートステイ)事業/夜間養護等(トワイライトステイ)事業) 内閣府のページ
》ショートステイ事業(子育て短期支援事業) 厚労省の事業実施要綱
一時保護<児童相談所に相談>
・棄児・家出などの理由で適当な保護者がいない場合。虐待、子どもの非行などの理由で、子どもの安全を守る必要が生じた場合に、一時保護所で保護することができる。
・職権措置・一時保護所や児童養護施設・里親等に保護される。
04 放課後の子どもの居場所
学童保育(放課後児童クラブ) ※厚労省系
》放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ) 厚生労働省のぺージへ
放課後支援事業 ※文科省系
小学校の余裕教室等を活用して、地域の多様な方々の参画を得て、子供たちとともに行う学習やスポーツ・文化活動等の取組を支援しています。具体的な活動内容は地域によって様々です。
※「新・放課後子ども総合プラン」(2018年9月策定)では、放課後児童クラブと放課後子供教室の両事業を一体的に又は連携して実施し、うち小学校内で一体型として1万箇所 以上で実施することを目指しています。
生活困窮者支援制度における学習支援事業
「子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援、高校進学者の中退防止に関する支援等、子どもと保護者の双方に必要な支援を行います。」
子どもの居場所づくり活動・子ども食堂・学習支援
各県ごとに組織されている場合がありますのでそちらも確認ください
05 精神障害について学ぶ機会
精神保健福祉センターでのプログラム
・県や政令市の精神保健福祉センターで、精神障害について学ぶプログラムを開催していることがあります。
・どのような疾患・障害について扱っているかは、センターによってかなり異なります。
医療機関や学校での心理教育/メンタルヘルスリテラシー教育
・医療機関や学校での精神障害について学ぶ機会を設けている場所もあります。市役所の精神保健福祉相談員に情報を確認してください。
》学校メンタルヘルスリテラシー教育について
全国のいくつかの取り組みについての取材記事
往診・訪問看護
・医師による往診、看護師らによる訪問看護のなかで、精神障害について個別に相談する機会が得られます。
TKLF 長沼葉月(精神保健福祉士)
*調査:科学研究費補助金(基盤研究(C)研究課題番号16K04149研究代表者長沼葉月(首都大学東京))により、埼玉県の全公立小中学校の養護教諭を対象として行った調査「メンタルヘルス面での課題を抱えた親の元で暮らす児童生徒の実態と支援ニーズに関するアンケート」。
このページの内容は、この調査研究を基盤としている「精神障害のある親と暮らす子どもへのチーム学校を基盤とした支援モデルの開発研究会(TKLF)」が、2018年8月9日に行なった、ワークショップの資料の引用です。内容は順次バージョンアップさせていきます。