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絵本の活用法を考える(2)制作の想い「ボクのせいかも…ーお母さんがうつ病になったの」

絵本の活用法を考える(2)制作の想い「ボクのせいかも…ーお母さんがうつ病になったの」
2018年12月29日 pulusu

 

プルスアルハ最初の絵本
「ボクのせいかも…ーお母さんがうつ病になったの」
作者チアキの頭の中から、最初の構想がおりてきて、ノートに描き残したところからスタートしたオリジナルの企画です。
2012年12月、ゆまに書房より発刊されてから丸6年が過ぎました。

 

発刊から今までに届いた声と、制作にこめた作者の想いを紹介しながら、改めて、絵本の活用方法を考えるコラムです。
手に取ったみなさんが、絵本を活用するとき、あるいはしないとき、なにかヒントになれば幸いです。

(2)制作にあたっての想い

 

いくつかのキーワードをあげながら、制作で大切にしたところをお伝えします。
(2012年、サンプル版の完成のタイミングで、制作を振り返った座談会の内容を、リライトしました)

キーワード

①ボク目線のお話
②生活もふくめて現実的に
③日本人にあったもの
④あとがき付(出版時には「解説」となります)
⑤ご本人・ご家族の罪悪感への配慮
⑥フィードバックを大切に
そして全部あわせてこれまで日本にないこと

①ボク目線のお話

 

チアキ:病気は、ボクやわたしのせいやない。誰のせいでもないよって。悪い子やからとか、もっといい子にしてたら、ではなくてということをまずは伝えたいと思います。
でも、そう感じちゃうんよね・・・そういう気持ちも含めて、頑張ってんな。病気の症状なんやで、たとえ怒りっぽくなったりしてても、嫌いになったわけやないよって。

 

キタノ:チアキの絵本、ボクが一人称で語るお話というところが、大きな特徴だと思います。読んでる人もぐっと体感できる。時間の流れがあって、その中での子どもの気持ちの変化があって。

 

チアキ:ボクに注目・・・「ボクここにいるよ」と。子どもって、感じ方はそれぞれやけど、いろんなこと考えてる、よーく見てるよって。この絵本を通して、代弁とまで言うとおこがましいかもしれないけど、子どもの感じ方を、大人の人に、感じて欲しいというのはあります。

 

②生活をふくめて現実的に

 

キタノ:病気という面を見ると、こういう症状があって、病院に通って治療をして、例えばお薬をのんで休息とって、波はあるけど少しずつ回復に向かうんですよ・・・といった説明が考えられますが、実際には、生活しながらというところが大きくて、それ抜きには考えられないです。

 

チアキ:休むということひとつとっても、実際にはスゴク難しいです。自分のうつ病があっても介護しないといけない家族がいるとか、お仕事もそんな簡単に休めない、診病断を出すのも躊躇[ちゅうちょ]する、学校の役員会で病気のことなんて言えない、とかいろいろ。病気に伴う生活や社会的なこと、感情面や対人面や、いろいろなことが絡んでいて、子どもも、病気そのもので困っているというよりは、そういう家の中のごちゃごちゃに巻き込まれていたり・・・。

 

キタノ:ひとりひとりに、ご家族ご家族にいろいろな事情があります。それは、お話づくりでは難しかったとこでは?

 

チアキ:はい。実際には、病状や、お子さんの年齢、きょうだいがいるかとか、いろんな状況があって、家族が離れて暮らしたり、パパが登場できないこともあるやろうし、それを全部を盛り込むことはできないので。

 

キタノ:その中で、この設定を選んだというのは?
(主人公のスカイは小学校2年生。ママとパパと、ちょっぴりおばあちゃんがでてきます。)

 

チアキ:一緒に生活をしながら、お母さん(やお父さん)が療養するって、子どもを外しては考えれないと思うんです。ゆっくり休むために、家族で協力してとりくもう・・・そのひとつのモデルケースというか。
「ボクのせいかも…」では、この設定にして、ちょっと上手くいく場合があるかもよ、と。ガマンでなくて、なるべく混乱せずに、子ども自身が納得してとりくむ、そういう場合を紹介できたら、と。子どもの感じ方の中で、なんでも自分と結びつけやすいといことを盛り込みながら、これまでに出会ったいろいろなご家族の物語をつなぎつなぎして作ったお話です。

 

キタノ:これは次回のテーマだけど、いろいろな状況に応じて、というのは、あとがき(解説)作りでも意識しました。

 

チアキ:どこまで話すかというのは、ご家族によってだけど、秘密にしない選択肢もあるよって。隠し事がなくなる安心感というのも大きいと思います。家族みんなで、ちょっぴり安心できる生活をみつける、その一歩を踏み出す、という意味では、温かいエンディングだと思います。

 

③「日本」と④「あとがき」のはなし

 

チアキ:海外からの翻訳のものって、やっぱり、海外テイストで・・・そのまんまですけど。日本は、そんなに自己表現をする文化ではないのでね。精神疾患に対して、どうしても、まだまだオープンではない部分もあります。
治療の環境がことなる部分もあるし、同じ境遇[きょうぐう]の子どもたちが集まって、みんなでわいわいゲーム~という雰囲気ではないかなと。身近な大人の人が、個別に関わって、無理に気持ちを引き出したりせずに・・・安全に取り組みやすいようなお話にしました。

 

キタノ:あとがき解説は、絵本の1ページ1ページに、言葉をそえています。導入部分では、目的や対象、使い方なんかをまとめて。

 

チアキ:絵とリンクするというとこがいいなあと。気になるとこだけ読めて、エッセンスを取り入れられるし、途中で休憩を入れたり、自分のペースで読めるところ。

 

キタノ:読みやすいようにということを意識して作りました。専門用語は使わないように、なるべく具体的なたとえや、言葉かけをいれて、イメージしやすいように。
絵本の設定や場面の作り方は、それはひとつの例なので、現実を考えたときに、なるべく、いろいろなご家族の状況に合わせて使っていただけるように、解説の中で膨らませています。お父さんが気づくことが難しければ、別のどなたかに担っていただく。スキンシップがあまり馴染まない親子なら、一緒にゲームしたり。そのご家族、お子さんに合ったやり方でいいんですよって。

 

チアキ:絵本もだけど、解説と合わせて、お子さんやご家族をサポートする立場の方にも是非、読んでいただきたいですね。学校の先生とか、保育士さんなんかにも。子どもに読み聞かせをしなくても、大人の方に知っていただくだけでも、意味のあるような内容になってます.

 

⑥ご本人とご家族の罪悪感に配慮

 

キタノ:なかなか難しいテーマですが、この絵本が、病気を抱えたご本人・ご家族にとってのご負担やプレッシャーにならないようにしたい・・・ということです。

 

チアキ:病気は、子どものせいではないだけでなく、ご本人やご家族のせいでもない。誰のせいでもない.だけど「申し訳ない」「こんな思いさせてしまって」・・・と多くの親御さんが感じてますよね。うつ病からも申し訳ないって気持ちを抱きやすくなりますし。

 

キタノ:ご家族も余裕がないというのがあって.本当にいろんなことが押し寄せて来て、それに追われていて・・・実際にお子さんにどうやって伝えるかというノウハウが、これまでなかったこともあるし。

 

チアキ:ご本人をゆっくり休ませたいって思いから、つい「いい子にしてたらお母さん早く治るよ」とか言ってしまうんことがあるんだと思います。そういうときの「伝え方」。子どもに伝えられることを具体的に、盛り込みたいと思いました。子どもにも大人にも、みんなにとって少しでも多くの安心をお届けできたら、と解説にもそんなふうにあります。

 

チアキ:(親の精神疾患は)子どもに影響があるの?と聞かれたら・・・そうですね、それはひとつの視点として、知っておいて欲しいです。勿論、お子さんのキャラクターによるところも大きいですけど、子どもは気をつかう、関連づけやすい、ということ。それはご家族の対応いかんに関わらず、そういう特徴はあると思います.

 

キタノ:お子さんに申し訳ない・・・と感じていらっしゃるご家族には・・・?

 

チアキ:もしも、これまでの対応で、心にひっかかりがあるとしたら、今、あるいは取り組めるタイミングで、お子さんにできることを、ご負担のない範囲でやってみてはいかがでしょうか、と・・・。同時に、矛盾するようだけど、全てを育てと関連づけないことも、大切だと思います.

 

キタノ:同感です。それはご家族の病気があっても、なくても。そのバランス感覚というのは、難しいけど、スゴク大切なことだと思います。

 

チアキ:そうですね。なにより、子どもには生き抜いて行く力がある。いろんなタイプの子がいるけど、その子なりに。
そのためのひとつの手段?として、大人が誠実な対応をしていく、真剣に向き合って、伝えられることは伝えていく・・・。プルスアルハの絵本が、少しでもそのお手伝いができれば、と思います。

 

 

長文に最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございましたm(_ _)m

》(1)出版した絵本への読者のみなさまの声

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