私は感覚過敏の特性をもっています。
子どもの頃には、何が苦痛なのか、不快なのか、言葉で説明できませんでした。そもそも、自分でも気づいていないことが多かったです。
2015年、自身の体験もふまえて「発達凸凹なボクの世界─感覚過敏を探検する─」という絵本を描きました。
発達の凸凹をかかえた子ども(や大人)の苦手やつまづき、一見問題のように思える言動の背景に、実は感覚過敏が隠れていることがあります。
自分の感覚過敏の世界とさまざまな工夫を紹介することで、なにかのヒントになれば幸いです。
(2017.1.20 静岡県言語 聴覚 発達障害教育研究研修会でお話した内容をもとに、本コラムを作成しました)
最初に全体像。性格的には、ものすごく頑固な子どもでした。
なにかと落ち着かない家でしたが、そのあたりは本コラムでは割愛します。
質問紙での傾向はこちら。
》日本語版青年・成人感覚プロファイル(AASP)をやってみました1─チアキの感覚過敏×オガティ2(本コラムでは、感覚過敏の話しかでてきませんが、感覚鈍麻や感覚探求という感覚の特性もあります)
ではここから、それぞれの感覚を探検。
1.視覚過敏の世界
子どもの頃からとても眩しがり。口ぐせは「目がはじく」
(左)晴天の屋外のイメージ。
(右)サングラスをかけると、物の輪郭が見えるようになる。
最寄り駅の「タッチパネル式券売機」で切符が買えないことを説明した絵。
画面と照明の角度の相性なのか、指紋の反射なども重なり、画面を集中して見ることができない、結果、切符買えない(→みどりの窓口に並ぶ)。画面の向こうから、夜の工事現場の照明が自分に直撃しているような感覚です。
スライドの画面、パソコンの画面、基本苦手(特にアニメーションやカラフルなバナーが並ぶなど)。
レーザーポインター、気持ち悪くなる。
電気屋さん(特にテレビ売り場と照明売り場)、大量の商品が無秩序に置かれているような店など、大の苦手。
まぶしいというよりも「痛い」です。
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特定のテキスト・フォント・色の組み合わせなどで、極端に苦手なものがあります。
》視覚過敏のチアキが苦手なテキストパターン12選!〜明朝体、影文字etc
ここでちょっと短い動画を紹介。
子どもの頃から、教科書や目にするもののフォントや色などの好みはかなりあったと思います。
(読んでいなかったものがたくさんあったと思います…)
黄色やピンクの蛍光ペンの上の文字も読めません!
「ノート」にも左右されました。
漢字帳、英語ノートなど苦手。線が邪魔して書けない。当時、無地の自由帳しか使っていませんでした。
今は、モレスキンの無地のノートと、オキナのリングファイルを愛用しています。
苦手なテキストを読まないといけない工夫としては
・色の入った透明下じきを重ねる(私は水色が見やすい。人によって違う)
・マットな紙に白黒コピーする
などが使えます。
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高校を卒業して、スノーボードを真剣にやるようになって、ゲレンデで驚き体験がありました。
ひとつは、晴れた日のスキー場で、ゴーグルなしでいる人の存在に驚いたこと。私の視覚では、それはあり得ない。
見え方のちがいを実感したエピソードでした。
もうひとつは、自分に合う色のゴーグルを見つけたこと(メジャーな『オレンジ、ピンク、茶色系』よりも『グレーか水色系』)。コブがはっきり見えて、世界がかわりました。スノボのパフォーマンスが格段あがりました。
自分に合うアイテムを身につけたらこんなにかわるのか!
を実感したエピソードでした。
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私は春の景色が苦手です。毎日の散歩コースで、朝と夕でも景色が変わる。
木の芽や葉がぐんぐん伸びて光の反射の具合がかわって落ち着かない。
そのイメージを描いた一枚。タイトルは、視覚過敏の春…。
視覚の特性が絵を描くときに生かされているようです。
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苦手な刺激にさらされつづけると・・・
単に「まぶしい」ということではなくて
体調まで悪くなる
集中できなくてパフォーマンスが極端に悪くなる
のがしんどいのです。後編につづく。
》後編へ
聴覚・嗅覚・触覚・そのほか
お出かけグッズ、チアキ流・感覚過敏とのつき合い方