本キットは、こども家庭庁「サポートプランガイドライン」に準拠し、子どもと保護者の育ちを応援することを目的に開発されました。
β版 2025年5月
作成:長沼葉月(東京都立大学)+NPO法人ぷるすあるは
仕様:A4サイズ 12ページ・PDFファイル
年齢:乳幼児・学齢児等版
対象:こども家庭センターでのサポートプランとセルフプランの作成を想定したキット内容です。そのほか、子ども・子育て支援のさまざまな面談のなかで活用することができます。


はじめに
「サポートプラン作成支援キット」は、子どもや保護者が安心して自分の思いや希望を語り、それをもとに支援のかたちを一緒に考えるためのツールです。
こども家庭庁・サポートプランガイドラインに準拠しており、こども家庭センターでのサポートプラン作成、セルフプラン作成に活用できます。そのほか、子育て支援のさまざまな面談のなかで活用することができます。
このプランの土台にあるのは、「こども基本法」に記された、子どもの権利と保護者の権利です。子どもが自分の考えや希望を表明し、そののぞみの実現が応援されること。保護者がその役割を果たせるように、社会全体で支えていくこと。そして保護者の方の持っている権利が尊重されること。そうした考え方を大切にしています。
「困りごと(ニーズ)」からの支援ではなく、「どんなふうに暮らしていきたいか」「どんなふうに子どもとすごしたいか」といった、その人らしいのぞみを出発点にできるように、本人の尊厳を尊重しながら、一緒に考える時間を支えるための、柔らかい枠組みとして、ご活用いただけたら幸いです。
キットの目次

1 表紙
2 今日 はなしたいこと/わたし・かぞくの応援
3 わたしののぞみ(Aパターン)
4 わたしがやりたいこと、手伝ってほしいこと/応援プラン/署名欄
5 ふりかえり
6 利用できるサポート
7 フリーシート
8,9 わたしののぞみ (Bパターン:リスト入り)
10,11,12 わたしののぞみ(Cパターン:切り取れるカード)
各ページの内容と使い方ガイド
P1 表紙

(〇〇市サポートプラン、など自治体の名前を追記して使うことができます)
P2 今日 はなしたいこと 伝えたいこと/わたし・かぞくの応援団

お話したいこと、という来所者のニーズから自然に面接を始められるスタイルになっています。
そういったこと(困りごとなど)があるなかで、どういう取り組みをしてきたのか、乗り切れているとき、うまくいっているときのこと、どういうことを大切にしているか、などをききます。
支えてくれている人のことなどをききます。
すぐに、サービスの提案、条件や詳細の話に入ってしまうと、本当にそのサービスが、ご本人の暮らし、希望に一番そっているのか、ズレてしまうことがあります。
まず、今の暮らしや、価値観を知ることからはじめます。「もう少しあなたにフィットしていることがあるか、こういうシートを使ってお聞きしていきたいと思います」と見せながら話せるといいです。
P3 わたしののぞみ Aパターン

保護者と子どもののぞみを、同じシートのなかで書くことができるスタイルです。
ピンクが保護者、緑が子ども用です。別々に聞く場合は、別のシートに書いてもよいです。
のぞみは、どんな小さなことでもokですし、大きなことでもokです。
たくさんあげてもらえると、これとこれを先にやりましょう、ここはお手伝いできますよなど、プランが組みやすくなります。
「どんなことがあるとうれしいでしょうか?(あなたののぞみは?)」という問いに、のぞみが出ない方がいます。疲れ果てている、絶望しているときなど、とてもよくあります。
そういったときに使えるシートは、P8-12で説明します(リストが入っているもの、カードスタイルのものです)。
P4 わたしがやりたいこと、手伝ってほしいこと/応援プラン/署名欄

ここは「自分でやりたい」「かぞくでやっていきたい」というところをきちんと確認しておくことが大切です。
たとえば、料理だけは自分で続けたいと思っている方がいたとします。
そこに、「少しでも時間をつくりましょう」「子どもとの時間がとれるように」などの理由で、ヘルパーさんに掃除・洗濯・料理まで全部お願いするプランを立ててしまうと、その方が大切にしていることを、気づかないうちに、踏み越えてしまいます。その方にとっては「料理だけはなんとかがんばってきた」という気持ちが支えだったのに、その砦がくずれてしまう… 気をつかって提案されたことだとわかるので、料理は自分でしたいと言い出せず、結果的に、サービスを引き受けたあとで、深く傷ついてしまいます。
「やらないでほしいこと」「きかないでほしいこと」など、尊重してほしいことを具体的に確認しておけると、こういったすれちがいをなるべく防ぐことができます。その欄もつくっています。
結果的に、外部の人にやってほしいところがより明確になります。
なかには、「なにから手をつけたらいいか整理するのを手伝ってほしい」という方もいます。直接的なサービスではなく、頭の中の混乱をしずめるお手伝いをしてもらえたら、自分で少しずつ進められるという場合もあります。
「応援プラン」の欄は、だれが、なにをするか、わかりやすく書いてお渡しします。
(セルフプランの場合は、自分で記入してもらってもokです。自由に使ってもらいます。)
「署名」欄がついています。
必要がない状況の場合は、とばします。コピー時に欄をなくしてもよいです。
P5 ふりかえりシート

3ヶ月後くらいを目安に、モニタリングできる欄です。
望んでいる生活に近づいているか、権利が実現されているか、という観点でふりかえるところがポイントです。(課題は持続しているか、改善しているか、だけをふりかえるのではなく!)
そして、サポートプランの見直しにつなげていきます。
実際にサポートに入ったことで、かかわりによって、どんないいことがあったか、メリットがあったか、成長が感じられたあったかを、子ども、親御さんの声できき、ポジティブな情報を重ねていきます。関係者で集まって見直しを行うときも、ポジティブな情報を重ねていきます。
「自分たちのことを、応援してくれようとしてるんだな、支えてくれようとしているんだな」ということが伝わるシートになります。読むことで、家族も支援者も元気になります。
P6 利用できるサポート

こども家庭センターガイドラインの表を貼りつけています。
このパートは、それぞれの自治体で、社会資源を整理して、表を作り直す作業ができたら・・・すごく大変ですが・・・・とてもよいと思います。地域の子育てサークルなど、民間の方と一緒に作成したり、手伝ってもらう方法もあります。「利用者目線で使いやすい分け方や見せ方って?」「地域のことをもっと知ろう」そんな機会になると素敵です。
P7 フリーシート

何に使ってもいいシートです。
P8,9 のぞみカード・Bパターン(チェックリスト入り)


のぞみを言いやすくするためのツールです。
手がかりがあると、言いやすくなる方がいます。具体的に項目の例があがっていると、そこから選ぶことができますし、こういうことも言っていいんだというメッセージにもなります。
P10,11,12 のぞみカード・Cパターン(切り取り式のカード)



切り取り式のカードです。
カードごとにテーマがあるので、ひとつを選んで、他のものは隠します。気が散らなくて話しやすくなります。

困りごとしか言えないとき
のぞみ、の言葉が言えたらよいですが、言えないときは、関連する困りごとやイヤなことが少しでも軽くなることを最初の目標にしましょう、と決めていくことができます。
一度のセッションで終わるのではなく、定期的にふりかえりをしていけるとよいです。少し回復してこられると、そのうちに、本当ののぞみの言葉がでてくることがあります。
このキットは、1〜6ページを基本セットとし、7〜12ページはアレンジ用の補助資料となっています。
シートは、相談のたびに書き足したり、ファイルに追加していくような使い方を想定しています。
セルフプランを立てられる方には、自分で書いてきてもらって、「さらにくわしくきかせてくだい」という面談をすると、スムーズにいくこともあります。
子どもだけが来所された場合でも、年齢や状況に応じて活用することが可能です。
利用規約
自治体の名前を書き入れて使うことができます。
クレジット部分が切れないように印刷ください。
他機関への譲渡は禁止事項です。
イラストの切り取りは厳禁です。
内容をカスマイズして使いたい場合は、事前にご相談ください。なるべく柔軟に対応したいと考えています。そのほか、ご不明点やご質問、ご相談など、気軽にお声かけください。
一度の申し込みで、複数のご家庭への使用が可能です(ケース毎の申し込みは不要です)。
内容を改良していきたいと考えていますので、フィードバックフォームから、ぜひフィードバックをお寄せください。
申し込み方法
以下のフォームよりお申し込みください。
内容を確認ののち、一週間以内に、PDFデータをメールでお送りします。
フィードバックフォームのURLもあわせてお伝えします。
みなさまのご応募をお待ちしています。

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