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Q36. 自閉症、ADHDの子の子育てが辛いですーゆるゆる子育て実践編

Q36. 自閉症、ADHDの子の子育てが辛いですーゆるゆる子育て実践編
2022年6月29日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 自閉症、ADHDの子の子育てが辛いです
年れい: 小学1-3年

 

質問内容

 

子供が産まれ、何となく初めての子育てがながらに育てにくさを覚えていました。
要所要所、発達障害のような気配を感じ、周りの家族や友人に相談しても『あなたの小さいときもそうだった』『私の子供もそういうときあるよ』等、みんな口を揃えて考えすぎ、子供ってそんなもんだよ。と一言で片付けられ、モヤモヤしながら子育てしていました。
2、3歳の頃、発達支援センターに相談をしましたが、なかなか診断が難しい年齢だと言われ、しばらく様子を見て再度気になるようだったら再検査されたら?と言われました。
そして、小学生になってから授業になかなか集中できない、授業中にお友達に話しかけてしまう、わからないことがあると奇声などではないが『あー!もう!』と声が出てしまう、など他にも数点問題が生じ、再度検査をし診断がでました。
知的障害についてはグレーで、一般的には低いが知的障害には該当しないラインだと言われて自閉症とADHDのみの診断でした。
それから子供が学校生活を送りやすいよう、手続きをし面談や見学を重ね、進級と同時に特別支援学級へ転籍しました。
年齢を重ね、環境の変化の影響もあり最近は反抗も多く、周りの助言などに耳を傾けてくれません。さらに、現在進行系でしていた適切ではない行動をリアルタイムで注意すると、そんなことしてない。そんなこと言ってない。など自分の言動を覚えていないのか、認めたくないのか受け入れてくれなくなりました。
仕事、家事、育児、それに夜な夜な発達障害について勉強したり、いろんな方のブログを見たり、参考にしたり実践しても、うまく行かず、しまいには人の気持ちを察することが苦手な子供に当たってしまい、私の心の余裕がなくなりました。
正直親として最低な発言ですが、子供が全く可愛く思えず、一緒にいたくないです。
あんなにお腹を痛めて産んだのに、そんなことを思ってしまう自分に更に自己嫌悪になり悪循環に陥っています。
子供と目を合わせたり、子供がくっついてくるだけでも嫌悪感を覚えます。
そんな状況でも育児放棄はできない、
でも逃げたい。
その狭間にずっと居て、抜け出せません。
心では子供と沢山笑顔で過ごしたいのに、真逆の方に行ってしまっています。
発達支援センターの方や、病院の先生に相談しても、親が大人になるべき、ある程度スルースキルを身に着けないといけない。
子供のダメなところに着目せず、出来たことに目を向け褒めてあげて。と言われます。
旦那からも何言われても受け流せ、一つ一つ真に受けるから疲れるだと言われます。
頭では、理解しています。
ただ心がついていけません。
それができたら悩んでいない。と思ってしまいます。
なので、周りに相談しても理解してもらえないと思い、発散ができずストレスが溜まるのみです。
頑張って子供を褒めて実践しても、子供からそんな言葉いらない。など私の気持ちに応えてくれず。
どうしたらいいのか自分でも解りません。
子供と笑顔で向き合える日、みんなのように子供が可愛く思える日が私に来るのか、解りません。
長文乱文になり、申し訳ありません。
なにか変われるキッカケができたらと思い
質問させて頂きました。
ご多忙とは思いますが
お返事頂けると、幸いです。

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
本当に辛い、苦しいむねのうちをお書きいただいたのだと思いました。お子さんが小さい頃から育てにくさを感じ、ここまで様々なことを学ばれ、そして取り組まれてきたのではないかと思い、それは本当にご苦労の多いことだったろうと思います。

 

僕の方からこうした方が良い、こう考えた方が良いというようなことがはたして何か言えるのだろうかとメールを読みながら考えていたのですが、なんというか何を伝えるにしても、相談者さんのプラスになるようなことはなかなか言えないなと思いました。ただ、感じたこととしては今相談者さんが感じているそのお気持ち自体は、とても大切なもので、この気持ちを無理やり変えるということはしたくないなという風にも思いました。
それはなぜかと申しますと、そもそもお子さんに発達の特性があり、世の中でそうした方が良いと言われているような関わりを実践しようとしても、それがすぐに上手くいくわけでも、すぐに成果が出るわけでもありません。また、ご自身の中で様々な葛藤がありながら取り組んでいくことは本当に大変なことなので、このように思われること自体はとても自然な気持ちの動きなのではないかと思ったからです。

 

「正直親として最低な発言ですが、子供が全く可愛く思えず、一緒にいたくないです。」とお書きになられていますが、本当に率直なお気持ちを書いてくださっていると感じています。子育てをしていく中で子どもが言うことをきいてくれず、かわいく思えないことは相談者さん以外の方にもあると思うのですが(そして僕自身も自身の子どもに対してそのように思うこともありました)、それを語ることをよしとしない文化があるため、そういった気持ちはまるで存在しないような扱いを受けています。なので、今回相談者さんがこういった気持ちを率直に書いてくださったことで、そう感じている人達のある意味代弁してくださったように感じています。

 

また、相談者さんがおっしゃっているように、頭で理解できたとしても気持ちがそれについていくかというとそれはまた別問題だとも思っています。世の中には「正しい」と言われる関わりや考え方が情報として溢れていますが、じゃあ実際にそれが実践できている人がどれほどいるかというとそこまでいるわけでもなく、みんなその正しさに苦しんでいるような気がしています。
なので、様々なものごと、ここでは子育てにおいてもですが、あまり正しいことにとらわれ過ぎずに取り組んでいくことが実は大切なことなのではないかと僕自身は思っております。

 

この考えを相談者さんに押しつけようとは全く思っておりません。それはこの考えが「正しい」と伝えてしまうと、またこの考えに縛られてしまう可能性があるからであり、それは本末転倒だと思うからです。ただ、人は完ぺきではないので、時に矛盾する気持ちになったり、正しい行動がとれなかったり、受け入れた方が良いことが受け入れられなかったりすることがあり、でも、それも含めて生きていくということが人生なのかなぁと僕は思っております。

 

このメール相談は「ゆるゆる子育て」という名がついていますが、実際に子育てでどこまで「ゆるゆる」できるかというと、それは本当に難しいことだと感じています。日々子どもの世話に追われ、園や学校から言われた課題をこなし、家事や仕事にも手が抜けない…このような状況でどのように「ゆるゆる」すればよいのかと言われると、確かに難しいと相談の中で思うことがよくありました。
ただ、しいて言うなら「ゆるゆる」というのは肩の力を抜いて、完璧を目指さない自分をよしとすることなのだと思うのです。そして、何かを成し遂げるよりも今を楽しく、ちょっとハッピーに過ごすことに目を向けるということなのではないかと思っています。
手を抜いてもよいですし、上手くできないことは無理にやらなくてもよいかと思います。そこにエネルギーを費やすよりは、相談者さんがまずほっとひと息つける時間を大切にし、余裕があればお子さんとも仲良くし、その上でできることをしていけるとよいのではないかと思いました。

 

この文章が相談者さんを変えるキッカケになれるかはわかりませんが、同じ子育てに悩む者として、共感と僕自身の考えをお伝えいたします。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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