ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。
質問タイトル: 母子分離のこと、どう考えればいいですか?
年れい: 1歳未満, 〜3歳
質問内容
夫のギャンブル依存症が発覚して自助グループに通ううちに、わたし自身にも共依存という問題があることがわかりました。子育てに対しても、自分の目指したい状態がはっきりしています。そこからズレないように軌道修正しようとし過ぎてしまうところを自覚しました。親自身が心休まらず、セカセカと何かに追われている状態でいることは、親の庇護下でしかいられない(登園時間除く)子どもにとっても休まらないことにも気がつきました。自身の回復も、していきたいと希望しています。
ただ、一般的に世間で言われている子育て情報(愛着、寝かしつけ、歯磨き等)は、事実だとしても、共依存のわたしからするとわたしの強迫的な癖を強めてしまいかねません。元々、他人のことには非常に目がいき厳しくなる特性です。
どういう心構えで家で過ごすのがいいでしょうか。また、なにか参考になる子育て情報やその得方(母が陥りやすい心理の本とかだと、自分ごととして読めそうだなあと思ったり…)を教えて頂きたいです。
おがてぃの回答
メールをいただき、ありがとうございます。
メールを読んでとても難しい悩みだなと思いました。というのも、メールをくださった方はご自身が共依存の傾向があることを自覚し、ご自身のお子さんに対してもそういった関わりをしてしまうのではないかと心配されていますが、子育てというのはある種共依存的な関係になりやすいのです。
共依存というのは、アスク・ヒューマン・ケアのHPによると「自分自身に焦点があたっていない状態」とされており、自分よりも周囲の人の方を優先し、その結果として自分自身が苦しくなったり、状況が悪化してしまったりすることをいいます。
子育てに関していうと、自分のことよりも子どもの方を優先して関わることはあります。それは乳幼児であれば自分で食事をとったり、着替えをしたりすることが難しいので「寝不足でもお腹を空かせているからミルクをあげなくては…」ということがままあるからです。
また、少し年齢が上にいくと、自分でご飯を食べたり、歯みがきをしたり、服を着替えたりなど、自分のことを自分でできるよういわゆる生活習慣を身につけさせたりすることも求められます。すべてを親が担う必要はないのですが、保護者として子どもの心身の成長を大事にしたいと思うこと自体は悪いことではないと思います。
ただ、ここで共依存の問題が強くなると、つい良かれを思ってやり過ぎてしまうことがあります。まだ子どもが求めていないのに「お腹が空いたら困るから…」と無理にご飯を食べさせたり、まだ、子どもがそこまで成長していないのに「早くできたほうが良いだろうから…」とできないことを強制して練習させたりしてしまうかもしれません。
メールをくださった方はそれを「強迫的な癖」とおっしゃっており、その点をどうにか工夫して乗り越えたいというご相談になります。
こういった共依存の傾向のある方が子育てをしていくポイントしては、何よりも「やりすぎていないか」を常にチェックしていくことかと思います。
どうしても関わりが極端になりやすいので、なるべくその中間ぐらいを目指してバランスをとっていくということが大切になります。ただ、このバランスをとるということがなかなかできないので、できれば継続的に子どもへの関わり方を他の人に相談しながら、チェックしていけると良いのではないかと思いました。
ポイントしてはなるべく複数の人に話をきくことです。子育てに絶対の正解はないですし、ひとりからの意見ばかりに従うと、それもまた極端になってしまう可能性があるので、複数の意見を参考にして、どう関わったら良いかを考えていけたらと思います。
たぶん、このようなお話をすると「最終的にどう判断したら良いかわからない」「自分では決められない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。それは共依存の方であれば自然な反応で、それがまさに「自分自身に焦点が当たっていない状態」であり、自分がどうしたいかがわからないという課題だからです。
迷ったときは、ぜひお子さんの様子をみてあげてください。最近笑顔が減っていたり、苦しそうにしていたりする印象があったら、たぶんやりすぎです。逆に笑顔が増えていたり、時に注意してお子さんが泣いてしまったりしてもちゃんと仲直りできているなら、それはバランスがとれているではないかと思います。
最終的にはお子様と向き合いながら程よいバランスを見出していくしかないので、ご自身の回復に合わせて、良い親子の関係を築けていければと思います。