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目標をみつけにくい単調な詰めこみの毎日に、子どもも教員も疲れているけれど、保健室が安心の場になるようにしていきたい

目標をみつけにくい単調な詰めこみの毎日に、子どもも教員も疲れているけれど、保健室が安心の場になるようにしていきたい
2020年11月24日 pulusu

目標をみつけにくい単調な詰めこみの毎日に、子どもも教員も疲れていますが、保健室が安心の場になるようにしていきたい(保健室からコロナ禍の半年を振り返るコラム)

 

コロナ禍での学校現場。突然の一斉休校からの半年余り、そして最近の様子について、保健室から振り返る座談会コラムです。

 

参加者

養護教諭Eさん 公立小学校勤務
養護教諭Hさん 公立中学校勤務
養護教諭の養成にたずさわるMさん
チアキ、キタノ

 

基本情報

EさんとHさんは、ベテラン養護教諭で、同じ地域にある小・中学校にそれぞれ勤務しています。中核市で都心へのアクセスのよい立地で、相対的には裕福な家庭が比較的おおい地域です。
(座談会は9月中旬、オンラインツールで行いました)


子どもも疲れがぬけないのかな…という状況で、先生方ももう本当に疲れています

 

— コロナ禍のおよそ半年間、学校の状況について教えてください。

 

・(Hさん)一斉休校から…3ヵ月、中学校は、6月から分散登校を開始しました。進級してクラス替えがあったものの、人数を半分に分けて午前と午後の授業。その後、6月中旬から普通授業になり、もう7月からは毎日6時間びっちりの授業でした。土曜日も6時間授業を行い、部活動も開始。行事はなくなり、休校中の授業の遅れを取り戻すためにハードでした。しかも、感染拡大防止のために、音楽では歌が歌えない、英語では会話の練習はできない、理科の実験も密になるのでできないことがある、給食は全員前向きでしゃべってはいけないなど様々な制限がありました。
いつもの半分しかない夏休みがあって、8月の終わりから登校して、今、9月を迎えています。
ほぼ全ての行事がなくなったので、毎日6時間授業をやって部活動をやっての繰り返しの単調な生活が続いています。

 

・(Eさん)小学校もほとんど同じです。高学年は、土曜授業6時間まるまるやっています。委員会やクラブ活動は、一学期はなしになって、2学期になってやっと少し動きがでてきました。
行事はほとんどなくなってしまいましたが、体育部の提案で、表現の発表会を9月末に学校独自でやることになりました。コロナ対策で、学年ではなく縦割りのクラスで、屋外で、クラスごとの発表を見合うという形です。保護者も来て。この行事に向けての練習で、子どもたちは一生懸命ダンスを踊っていて、ちょっと何か目標ができたので元気になっているかなというかんじがあります。反面…やっぱり疲れが抜けないのかなという気もしています。

 

—ハードスケジュールで子ども大変… 先生方もお疲れではないですか?

 

・疲れています!!!

 

・(Hさん)先生方、もう本当に疲れています。中学校は、土日の部活動もありますし、消毒作業があったときは、6時半に生徒が下校した後、そこから30-40分かけて、みんなで一斉に、トイレや机イスの消毒作業をやっていたのもあって、その頃が一番きつかったです。
夏休み明けから、消毒は清掃活動に組み込まれたので、そういう意味では少し楽になりましたが、体力的にも精神的にも、子どもたちもですが先生方もすごく疲れています。

 

・(Eさん)体調不良を訴えて休まれる先生も増えているので、ちょっと心配です。もともとメンタルヘルスの不調をかかえている先生もいらして、ここへきておやすみがパラパラあって心配しているところです。

 

—学校が落ち着かない大変な状況で… 学校に来られない子が増えたりしていますか? もともと来れていなかった子が、また来れなくなっているのか、くるようになった子もいるのか…などどうでしょうか?

 

・(Hさん)6月に分散登校が始まって、午前午後にわかれて登校している時期が2週間あったのですが、その頃は、半分の人数で、半日授業のみということもあり、来られていなかった子が来ていたりもしました。そのまま来られるようになった子も何人かはいるんですが、2学期、9月に入ってトータルすると、もともとは来ていた子が来れなくなった子もふくめて来れなくなった子の方が多いです。やはり不登校の子は増えています。

 

・(Eさん)小学校では、もともと来れなかった子はそのままですが、親子一緒に家族で過ごす時間が増えて安定したご家庭もあって、ちょっと心配だなあというかんじの子が来られるようになったりもしています。

 

—保健室の様子はどうですか?

 

・(Hさん)分散登校の間は、半日でしたし、緊張感があって、保健室の来室はほとんどありませんでした。6時間授業が始まってからはぽつぽつと…ですがその頃はコロナに対する心配があって、今までのような保健室の使用はできずに、すごく緊張した様子でした。
7月に入って少し慣れてきたところで、風邪や体調不良、熱中症と思われるような子どももでてきて、なんとか乗り切って夏休みを迎えて… 2学期を迎えてからは、それプラス、精神的に子どもたちが不安定だなというところがみえます。朝から途切れなく誰かがいる状態です。
保健室の利用者の中では、教室に行けない子が半分くらいをしめていて、相談活動しているというのが、2学期に入りこの2週間くらいつづいています。

 

保健室の利用について

 

感染症が疑われるお子さんは別室を用意してと文部科学省からの通知がありました。ですが養護教諭はひとりなので… 例えば隣に部屋がとれる学校なら両方に出入りができますが、うちの学校ではそれはできなかったので、発熱や風邪症状とけが対応の入り口をわけて、保健室内もカーテンやパーテーションで仕切り対応しています。保健室便りでも保護者にお知らせてしています。
来室する生徒の数が増えて来たので徹底が難しいところもありますが、保健室のなかでも気を遣うところですし、子どもたちも、長くはいられないかなと思っていると思います。(Hさん)

 

 

保健室も相談室も満タン状態で、保護者のスクールカウンセラーへの相談がすごく増えています

 

・(Eさん)授業が軌道にのってから、休校中の課題をきちんとこなしていた子と、取り組めていなかった子の差がでてきているかなと思います。7月、学期末に小学校でもテストがあって、そのあたりで体調不良を訴えての来室がかなり増えた印象があります。
今も、熱中症もありますが、授業に対する不安、コロナに対する不安もあるんでしょうけど、メンタルで(精神的な不調で)来室するお子さんが増えています。
今、保健室で休ませるということはあまりしていません。一時間くらい座って休む程度しか… 一時間おしゃべりをして、それなりに元気なんだけど教室に行くのは抵抗を感じるお子さんがぱらぱらでてきてちょっと心配です。

 

・(Hさん)保護者のスクールカウンセラー(SC)への相談がすごく増えていて、予約がいっぱいです。短時間しかいられないので、保健室とSCさんのつながり〜チームワークをうまく組めないことが不安で、そこのフォローをしないといけないと感じています。

 

・(Eさん)同じです!

 

・(Hさん)保健室も朝から満タン状態ですが、相談室も…相談室登校の子もふくめて、相談活動がいっぱいです。
体にでるタイプの子は保健室にきて窓口がこちらに。相談室がいっぱいなので保健室に来ている子もいますし、逆に保健室にきて「あ、今、話せないな」と思うと相談室へ行ったり…。子どもたちもうまく使い分けていますが、連携が大変です。

 

起立性調節障害、生理痛、視力低下…課題がたくさんですが一番の課題はスマホ利用です

 

ー保健室に来る子どもたちの様子、不調や負担はどのようなかんじですか?

 

・(Eさん)起立性調節障害の診断を受けるお子さんが多いです。登校しても体調が悪い、あるいは登校できなくて、医療につながるとその診断を受けたという生徒が、休校開けから何人もいます。
生理痛を訴える女性生徒もすごくふえています。休校中にリストカットが始まった子も。
休校開け、学力の差がでて、親御さんが「いいスタートがきれなかった…」と焦ってしまって虐待と思われるような状態になっていることもちらほらとあります。家に帰りたくない…と保健室や担任に行って来ている子がいます。

 

・(Eさん)親御さんの収入が減ったことが見えてきたご家庭も…教材を買えなくて不安定になり、お休みしはじめている子もいます。

 

・(Hさん)それから、中学校で一番大きな課題はスマホ利用です。
休校中、コミュニケーションをとるのにスマホが何よりの頼りになっていて、それが学校が始まってもずっとつづいています。学校が始まっても、学校でも話す時間もないし、なかなか遊んだりもできないし…。LINEによるトラブルがこの2週間くらい急増しています。コミュニケーションでの女の子同士のトラブル、夜遅くまでやってしまう依存の問題…スマホ利用の課題がいろんな形ででていて、使い方をもう一度見直さないといけないと考えています。
まとまりませんが…課題がたくさんです。

 

・(Eさん)小学校も、高学年でラインいじめが何件かはじまっていました。スマホ利用で昼夜逆転、不登校… 休校開けに自傷、生理痛がひどい女の子もふえてきていますし、摂食障害で入院していたお子さんもいました。
ご家庭の方がびっくりされていたのは… 休校開けの視力低下が多くて…私自身もびっくりしました。

 

・休校明けの子どもたち同士の様子はどうですか?(Mさん)

 

・(Eさん)スマホをもっていなかったお子さんは、ほんとに「ひさしぶり」というかんじだったようです。休校中にIT機器を買ってもらって使うようになったお子さんも多かったと思いますが、使い方がうまくできないこともあったり、もっていない子との差もできました。ツールのあるなしでのちがいはあります。教室でみているお友達のグループと、ツールのなかでのグループがあって、学校で把握しきれない部分もあって、高学年の先生はそのあたりの指導が難しいと言っていました。

 

・(Hさん)感染者や濃厚接触者が比較的多い地域です。保護者の感染や濃厚接触者もでてきているので、おやすみしていても、長くなるともしかしてコロナ?といったことが今後は心配です。

 

先生方の肌感覚での…例年の子どもたちの様子と比べて、どれくらい子どもの来室や課題が増えていますか?には…「2-3割増し」の答えがかえってきました。
新入生、受験生の様子についても話題になりました。

 

・(Eさん)一年生は、入学式もできなかったので、幼稚園、保育園から小学校にあがる大きな山をすり抜けちゃったというか… 幼稚園の子は家でずっと家族と一緒に過ごしていて、保育園だった子は学校でお預かりをしていました。8時くらいから-14時半くらいまで学校、それから学童へひきついで、19時とか19時半のお迎えまで、お家ではないところで過ごしていました。そういう一年生のお子さんがすごく多かったです。
入学にあたって、学校に慣れる部分や生活の部分もあって差がでるんじゃないかと心配していましたが、表面上は、ほとんど欠席もなく子どもたちはがんばっています。先生方も保護者の方もすごくがんばっていました。
これから少しずつ…課題をやって来ていたお子さんとやれて来なかったお子さんの差が、小学生なりにでてくる予感がしていて、すごく心配しています。

 

・(Hさん)中学3年生は、進路に向けて、お子さんも親御さんも不安の塊です。
先週、修学旅行の中止が決まりましたが、「いろんな制約の中で行くよりは、コロナが早く収束して、高校生活でたくさん思い出を作りたい」といってくる子もいて、勉強をがんばって自分の進路で期待するしかないというかんじになっています。これから(受験へ)大詰めに入っていくなかで、不安がもっと大きくなってくるのかなと心配しています。
1,2年生は、コロナでの制約が少しずつ緩和して、部活動で少しずつ対外試合ができるなど、少しずつ目標もみえてくるのかなとは思いますが、でも、まだ、日常に戻すのが目標です。

 

コロナ禍での学校や授業のあり方を率直に言ったら…

 

授業:授業減らしてもいいんじゃないかと…命の方が大事なんじゃないかな。こんなにぎゅーぎゅーにする必要はないし…というのは他にも言っている先生がいます。

部活動:希望性でいいのかなと。今は全員入らないといけなくて、授業6時間終わって掃除してから各部活動へ18:15 まで。かなり長い時間集団に拘束されています。体力的にも気力的にもきつい。発達の課題をかかえたお子さんもいます。部活動にやりがいを見出しているお子さんはいいけど、そうでないお子さんにとってはほんとにきついです。下校後や土日に塾や習い事に行く生徒も多く、両立が大変です。

行事:「なくていいんじゃないか」はいろいろ先生方からでています。入学式や卒業式を「簡素化」してやったけどそれで十分だよねと。長時間拘束して挨拶の練習したりはいらないんじゃないか。
すべてなくなってしまったけど、「やり方を変えて新たな行事のあり方を見出して」いけたらよいのかなというのは常々思っています。具体的に、というのはまだですが。

 

—行事がなくなってほっとしている子もいるのではないでしょうか…?

 

・確かに。いますね!

 

感染症への不安や対策、子どもや家庭によっても、教員間でも温度差が大きいです

 

ー感染対策についてお尋ねします。マスク着用についてはどうでしょうか?

 

・(Hさん)夏は熱中症のこともあって、マスクは絶対ではなくて、外しているお子さんもいる時期でしたが、そうすると、しない人がいてイヤだとつけていないお子さんへの冷たい目があったり、「先生、あの子がマスクしてないので言ってください」と言われたりすることもあります。コロナの前から夏でもずっとマスクしているお子さんもいましたし、「つけてないと心配」というお子さんは増えています。
(一方で)感覚過敏でつけられないお子さんも何人かいます。
感染症に対して、すごく不安をもっているお子さんやご家庭と、もう大丈夫〜というお子さんたご家庭があって、この冬のインフルエンザの流行状況もふくめて、どうなっていくのかなと思っています。

 

この辺りで、外を歩いている子どもたちも、真夏でもほとんどマスクをしています。だれもいない屋外なんだからマスク外していいよ、と声をかけたくなります。せめて…子どもたち同士が、そのことでいがみ合わないといいなと思います。(ちなみに…私もマスクがつけられない人なので… チアキ)

 

・(Eさん)マスクをしていないと責められている子を…見かけます。発達の課題のある子で長時間しているとしんどそうで、ポッケに入れておいて、言われるとしているという子もいます。
マスクをしているとなかなか表情がわからないのもあります。
だんたんいろんなマスク、さまざまな手作りのマスクもでてきて、マスクの柄などちょっと楽しんでしているところもあり、それはありがたいなと思います。

 


》マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について|厚生労働省(10月に通知がでています)

》感覚過敏でマスクやフェイスシールドを付けられない人向けの意思表示カード|感覚過敏研究所

4.29公開。カードの種類も豊富で、せんすマスクへの展開あり。多くのニーズがある。


 

—教員の間での温度差や、保護者からの意見など、ありますか?

 

・(教員の間の温度差は…)ありますあります。
例えば、消毒を几帳面にしていたクラスと、そうでもないクラスと…。

 

・(保護者からの意見や訴えは…)思ったよりも少なかったです。ほとんどなかったです。
子どもたちは、登校する途中からかなり密な状態で、学校でも先生にもお友達にも密な状態で生活しているのが実情です。
授業参観でも、保護者からの訴えはないです。温度差はあって、まだ登校されていないお子さんもいらっしゃるかんじですけど、それはただ感染症がこわいから、というだけではないと思います。

 

こんなお子さんの例もあったそうです。

 

・(Hさん)中学生で、家族がコロナに感染、本人は陰性だった例で、濃厚接触者として2週間の出席停止明けに登校するとき、クラスの生徒に隠さないできちんと説明して欲しい、と自分の気持ちを担任に伝えたお子さんがいました。結果的には家族の意向で説明はしませでしたが、職員の方がいろいろ勉強させられた出来事でした。
これからいろんなケースがでてくるのかなと思いますが、ウィズコロナでの子どもたちの成長も見つけられたらと思っています。

 

(本校では)教員のなかで…オンライン化には前向きではないです…

 

—少し学校のICT化は進みましたか?

 

・…なさそうです。
休校中、県のe-ラーニングを使う指示はありましたが、うちの学校では独自での配信もなかったです。進んでいないです。塾はオンラインになっていると子どもたちから聞きます。
先生たちの中に、オンラインの授業では伝えられない、直接会ってでないと反応がわからない…といった意見があり、オンライン化には前向きではないです。

 

・職員会議の資料がなくなりました。必要なものだけ印刷することに。そのくらいです。データだと読み飛ばしたり、見ていない開かない人もいて、紙の方が徹底するという話がでています。そういうなかで、子どもたちへのオンライン授業というところにはまだいっていないのかなと思います。

 

紙でも、見ていないものは見ていないと思います…。
学びや教育参加の選択肢がふえるよいチャンスだったのでは…と思うので残念です。

 

 

子どもに目をむけてくれている家庭が多いように感じます…
保護者のサポートはもっと必要です!

 

—保健室からみえてくる家庭の様子について。

 

・(Hさん)コロナがあって、保護者はすごく子どもに目を向けているように感じます。今まで以上に子どもの様子を気をつけてみてくださっている保護者がふえている印象です。それが重くなっているお子さんもいますが…。
検温ひとつをとっても、毎朝必ず声かけしてくれています。(保護者は)そうではない中でがんばっているお子さんもいます。
お父さんが家にいるケースがふえて、お父さんが子どもに近い距離にいて、いいことかなと思います。思春期の女の子たちは家にいてイヤと言っていますが。

 

・(Eさん)小学生はまだ大丈夫。パパが送迎をしてくれたり。例年だと、もう9月なのでそろそろ…と思うところですが、今年はいいかなと思っています。
小学校では、毎朝、昇降口で子どもを待っています。ほとんどのお子さんは毎朝検温をしてきていて、決まったお子さんが忘れたので…と私のところに来ます。機械よりも人がいるのもいいかも…と思います、大変ですが。

 

—こんなサポートがあったらいい、と思うこと。気になっていることを教えてください。

 

・(E・Hさん)保護者のサポート。
お母さんからの相談がふえて、カウンセラーの予約がたくさん入っています。そこの資源は足りないです…相談室の先生も部屋も欲しいです。

 

・(Hさん)家庭のなかがぎくしゃくしてると想像されるお子さんで、本人もどこまで話していいのか迷っている様子のとき、どこまで聞いてあげた方がいいか迷うことがあります。家庭内の問題をかかえたお子さんとの会話は、すごく気をつかいます。「いつでも来ていいんだよ、話したい時には来てくれていいんだよ」は伝えるけど、待ちで大丈夫なのかな?と迷うことも多いです。聞いたところで、うなづいてあけることしかできない、解決できないのが、はがゆいです。これはコロナの時期だけでなくあります。

 

・(Eさん)発達障害の特性をもったお子さんが、普通学級にも多いです。
お家の方もしっかりみてくれていて、目立って問題があるわけではないですが、コロナの影響でどんな支援があった方がよいか、気をつけて見た方がいい点などがあれば聞きたいです。

 

・(Mさん)教員もそれぞれの立場で裁量権があるといいと思います。また、学校の教育活動の中で、できることと限界もあるので、情報共有して組織で動くことが大切なのかなと思います。コロナ対策の会議に参加できず、養護教諭の裁量権がなくてモチベーションがすごく下がったという例も伺いました。校長先生をはじめ管理職の先生方のリーダーシップにかかっていると思います。

 

 

子どもの成長を見つけてあげたいです
子どもたちが話ができるような保健室でありたいです

 

おわりに。
子どもたちの学校生活で保健室で、今年度の残りの半年、養護教諭としてこんなことを大切にしていきたいですということをお聞きしました。

 

・(Eさん)…子どもたちは不安に思って生活している部分がたくさんあるのかなと思います。コロナにうつったらイヤだなというのもあるだろうし、コロナ自身、まだまだわからないウイルスで、先が見えないところもあって、何に対する不安かわからない状況で生活を続けていることに対してなにかできたらなと思っています…ひとりひとりお話を聞いてあげるのが大事なのかなと思います。
新しい生活様式で生活しながら、感染予防しながらがんばっていこうねという話をしています。濃厚接触になったお子さんもいますし、コロナにかかってもふしぎではない状況だよということは伝えながらも、不安をあおってもいけないので、保健指導しつつも、個別でフォローしないといけないです。
今も(自宅待機で)長くお休みしているお子さんもいます。それを発端にいじめがでてこないように。
まだまだ小さい子どもたちは言葉にもできないし、不安を訴えられない分…アンテナ高く子どもたちをみていきたいなと思っているところです。

 

保護者も不安を抱えているかんじはすごくします。(Hさん します!)
保護者の方も、吐き出せる場、横のつながりがあるようなないようなという状況で、保護者の方の状況も、今後ひきつづき丁寧にみていかないとと思っています。

 

・(Hさん)(今、健康診断は半分くらい終わったところで)これから、健康診断の結果もみえてくるんですが、体の健康状態ももちろん大事ですけど、本人たちも見えていないストレスを抱えていて、うまく表現できないでいる子たちが、体調をくずしたり、「なんかどうしたのかな?」と思えるような行動をとったりすることがあるので、子どもたちの様子や子どもたちの話すことに耳を傾けて、ひとりひとりを大事に、話す時間をいっぱい増やしたいな、それが私にできることかなと思っています。

 

・(Eさん)休校でいろんなことを我慢してきて、ほめてあげたいところもありますし、少ない授業、行事のないなかでも、子どもの成長を見つけてあげたいなと思っています。あまりにも単調な毎日なので、子どもも時間が止まっているようなところがあって、自分を出しきれてないところもありますが… 自分を見つめる時間にもなっています。これから人間関係のことなんかでもおそらくいろいろでてくるのかなと思いますので、その中でも、いろんなことを学んで、人間として成長していることを、伝えたいし支援していきたいと思います。

 

家庭がだいぶ変化しているのが見受けられるお子さんもいるので、そういうお子さんが話ができるような保健室でありたいな、養護教諭でありたいな、と思っています。

座談会を終えて

 

 

コロナ禍の学校の感染症対策や児童生徒のケア…最前線にいる養護教諭の先生方の緊張感やご苦労を感じながらのインタビューでした(そして記事公開の11月はまた感染者が増えています…)。
保健室は、教室や担任の先生とはちがうつながりができる、子どもにとっての安心できる場所であってほしいなと思うので、がんばりすぎずにがんばって欲しいです…と思いました。

 

Eさんも、Hさんも、やわらかくて心強くて安心の雰囲気で、自分が子どもだったら、家のことは話さないだろうけど…なにかのときには保健室で安心して過ごせたやろうな思います。

 

自分の子ども時代を思い出すと…
コロナでなくても、毎日がドタバタと大変だったので…
もし、当時、コロナのようなことが起きていたらどうやったろう、と考えます。
うちには体温計がありませんでした。学校のプールや注射の日の朝の検温は、兄に言われた通りに毎回「36.2℃」と書いて提出していました。
毎朝検温してそれを学校でチェックされるときくとゾっとします(ほとんどの家には体温計が常備さえていることを知って驚いたかもしれません)。

 

保護者(うちの親)は、横のつながりは全く、学校とのつながりもありませんでしたから、休校や分散登校などの日々かわる状況にも全く対応できなかったやろうと思います。
今でもそんな子もいるかもしれない…。きっといると思います。
だけど。しんどい家の子どもたちの話はあまりでてこないな、どうしてるのかな? …だれもが余裕なく大変ななかで、気にかけていても、なかなかそういうご家庭には手や目が届かないかもしれないと思いました。
あらためて、休校のインパクトの大きさ、コロナのインパクトの大きさを感じます。子どもたち、親御さんご家族が、だれかにつながれますように。(チアキ)

 

Eさん、Hさん、Mさん、ご協力ありがとうございました!

資料

 

》学校における新型コロナウイルス感染症 に関する衛生管理マニュアル ~「学校の新しい生活様式」~ (2020.9.3 Ver.4) |文部科学省

 

》小児のコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に関する医学的知見の現状|日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
2020年11月11日 第2報

COVID-19 流行期の子どもの心身の健康において
・学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい
・教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身に影響を及ぼしている
ことが指摘されています。ほか、疫学、臨床などについて触れられています。

 

》コロナ*こども アンケート|国立成育医療研究センタ

コロナ禍におけるこどもたちの生活と健康の現状に関する調査をしています。こどもアドボケイト(こども自身の気持ちや意見を聴き、それを社会につなげる)事業としても運営しています。これまでに3回の調査を行い、第4回調査を2020年11月17日~12月20日の期間で実施しています。アンケート結果の公開に加えて、こどもから、おとなたちへのお願い、保護者さまの声、教育機関向け資料など。

成育医療研究センターでは…

》新型コロナウイルスと子どものストレスについて

のコーナーでも、ストレスケアのためのわかりやすいリーフレット各種を公開しています。


》メンタルヘルス面での課題を抱えた親の元で 暮らす児童生徒の実態と支援ニーズに関するアンケート 結果まとめ |チームクリフ

某自治体の養護教諭を対象とした調査。子どもへの対応、親や家族へのかかわり、学内外の連携など、さまざまな役割を担い、有機的な連携の要を担っている様子も示唆されました。

 

 

「子ども虐待防止オレンジリボン運動 新型コロナウイルス感染症対策下における子ども虐待防止に資する活動への助成」を受けて行っています。

》トビラのページへ