こんにちは。おがてぃです。今回は「生きる冒険地図」についてのコラムを依頼されたので、この本を読んだ僕の感想を書いてみたいと思います。
ただ…この本の感想を書くのは、とても難しいと感じています。なぜかというといろいろと矛盾[むじゅん]することを感じり、考えたりしたからです。それらを上手く整理して書こうとしても、だいたいどこかでまた矛盾してしますので、今回はその矛盾をそのままにして感想を書こうと思います。
さて、どこから書こうかと悩みましたが、はじめは支援者としての僕の視点を書こうと思います。
支援者としての僕はこの本を読んだ時「子ども達にどうやってこの本を届けようか?」と悩みました。この本に書かれていることは、子ども達にとってのサバイバル技術であると同時に「ありのままでいい」というメッセージも込められている気がしました。
この本の内容に触れることで、より生きやすくなる子どもがどれだけいるだろう、またこの本を必要としている子ども達は、なかなか支援が行き届いていないところにいるので、この本を届けることはとても大事なことだと思いました。
ただ、一方で「僕のような大人が、この本をそういった子ども達に読むよう伝えたとしても果たして素直に読んでくれるだろうか?」とも悩みました。読み聞かせをしたり、貸してあげたり、面接で一緒に読んだりしようとしても、とても一緒に内容を共有できる気がしなかったのです。むしろ嫌がられたり、もう相談に来てくれなくなったりしそうで、とても扱いが難しいなと思いました。
次により子どもの気持ちに近い僕の視点から読むと「好きだけど、素直に従いたくない」という気持ちになりました。
「書かれていることは大事な気がするけど、これを書いた人はなんでこんなことを書いてくれたんだろう?」「どうしてこんなことを書くんだろう?わかるけど…」という気持ちにが湧[わ]きあがり、非常にモヤモヤする気持ちになりました。書かれていることに共感するけど、一方で自分と同じような人がいるわけないと思ったりもしたので、素直に信じていいのかよくわからないという気持ちになったのです。
だから読みたいけど…読めば読むほど、なんだか突き放したくなるような…そんな気持ちになる気がしました。
さらに3人の子どもを持つ親としての視点を語ると「こんな状態に子どもをして申し訳ない」という気持ちになりました。
きっとこういった境遇[きょうぐう]にいる子どもはそんなこと絶対に思われたくないだろうと思うのですが、でも大人として、親としてもし我が子がこういった状態であったとしたら…とても申し訳なく感じ、どうにかしてこの状態を改善したいとおもいました。
でも、もし本当に我が子がこういった状態になっていたとしたら、その時の自分は自分のことで精一杯でとても子供のことまで配慮[はいりょ]できない状態になっていることが予測されるので、きっと何もできずにいるだろう…そんなことを感じて無力感や、やるせなさが湧いてきました。
最後に「ぷるすあるは」制作部の「おがてぃ」としての自分の視点を語ると「…これはちあきさんでないと描けないなぁ」と思いました。
世の中にイラスト付きでこんな本を描ける人が一体どれだけいるでしょうか? またこんなリアルに、こういった境遇[きょうぐう]にいる子ども達の様子を描ける人がいるでしょうか? なかなか想像しにくいかもしれませんが、ここに描かれている内容は、子ども達に対する想像のアドバイスではなく、すでにこういった子ども達が実践[じっせん]している事実です。なので、実際にここに描かれていることをして、どうにか生きていっている子ども達が、いろいろなところに存在しています。
ただ、僕ら大人側はそれに気づけていません。子ども達が精一杯[せいいっぱい]やりくりして生きているのを見過ごしているし、そもそもそういった子ども達は身近な大人に気づいて欲しくありません。なぜかというと…いろいろな複雑な思いがあるからです。
そんなところまで含めて描かれているこの「生きる冒険地図」はやはり非凡[ひぼん]な存在であると思うし、ちあきさんにしか作成できないものであろうと思います。
こんな感じのことを思ったので、とてもまとめられませんでした。でも、素直な気持ちとしては「…すげぇ!」と思います。
大人の方々に対して、この本を読んで子どもに何かして欲しいとは、逆になかなか言えません。ただ、こういった子ども達がいて、日々どうにか生きているので、もしそういった子が身近にいたら、そっと支えて欲しいと思います。
役に立つのは同情や憐[あわれ]みではありません。親に説教をすることでもありません。ただ、そういった子ども達の日々の生活の登場人物の一人として、面白かったり、暮らしの役に立ったり、のんびり時間を過ごしたりしていただければ、それで良いのだと思います。