イラストで学ぶ病気や障がい
薬物依存症

薬物依存症は、いろいろな問題が起きていても、自分の意志だけでは薬物をやめられなくなる病気です。
治療[ちりょう]やさまざまなサポートによって、回復[かいふく]できる病気です。
ページにおこしいただきありがとうございます。
大人も子どももいっしょに見れて、基本的な知識[ちしき]を学べるページです。およそ小学校中学年~大人の人向けです。もっとくわしい情報を知りたいときは、参考サイトがページの下の方にあります。
子どものみなさんは、わかりにくいことや、ぎもんに思ったことは、大人の人に聞きながら読んでください。
印刷用まとめシート

ページのポイントをA4×2枚のシートにまとめました。
1 どんな薬物があるの(種類)?
大麻[たいま]、覚せい剤、危険ドラッグ、シンナー、ガス、処方薬[しょほうやく](睡眠薬、安定剤)、市販薬[しはんやく](せき止め、いたみ止め)など。
違法[いほう]のものだけでなく、ドラッグストアで買えるものや、病院でだされる薬など、依存性のある薬物にはいろいろな種類があります。アルコールやタバコも薬物のひとつです。
共通する特徴[とくちょう]は、体の中に入れると、「気分を変えられる」ことです。すーっとしたり、なにかを忘れられたり、緊張[きんちょう]がやわらいだり、心や脳のしんどさがやわらいだり、気力がでたり…。
クスリをのみすぎてしまう
市販薬[しはん やく]・処方薬[しょほう やく]の乱用
(準備中のページです)
2 どんな問題が起きやすいの?(症状[しょうじょう]と経過)

薬物の使用をコントロールできなくなる進行性の病気です。
例)問題が起きているのに使ってしまう、自分でもヤバイ・やめなければと思うのにやめられない、何度約束してもまた使ってしまう etc
家族などまわりの人を巻きこみやすいことも特徴です。本人も、家族も、社会から孤立[こりつ]しやすくなります。


3 原因は?どれくらいの人がいるの?

薬物を使う習慣があれば、性格や学歴、職業[しょくぎょう]、性別にかかわらず、だれでも依存症になる可能性があります。
学校の先生や医師などの社会的な責任が大きいと考えられるような人でも逮捕[たいほ]される報道を目にすることがあると思います。
脳[のう]の中の快感[かいかん]にかかわる場所に薬物が作用して脳がかわってしまう影響も考えてられています。
原因は、いくつもの要因が重なっています。
仲間にさそわれて、好奇心でといったきっかけであっても、はまりこんでしまう人は、なんらかの生きづらさをかかえている人が心のいたみを和らげていくうちに…依存症になってしまうことが多いです。

女性の依存症
女性のアディクション(依存症)は、DVや虐待、性暴力など、さまざまな暴力の被害との関連が大きいと言われています。
アディクションの問題をかかえると、偏見にさらされやすく、さらに育児や家事をしながらの治療、自助グループ参加がむずかしいなど、女性の回復支援の環境が整っていない社会の側の課題があります。

4 回復のサポートになることは?

自助[じじょ]グループは、共通の問題や悩みを抱えた人が集まり、解決を目指して自主的に運営しているグループです。NA[エヌエー](本人向け)、ナラノン(家族向け)などがあります
リハビリテーション施設[しせつ]は、入所や通所しながら、薬物を使わずに安定した生活を送ったり、仕事に就いたりする目的で利用される施設です。「ダルク」などがあります。
「薬物をやめてよかったと思える」「薬物を必要とせずに幸せな生活を送る」など、ひとりひとりの回復があります。いろんな道すじがあり時間がかかります。そのきっかけになることも人それぞれです。
ポイントは、相談に行ける人から相談に行くことです。

家族だけでも相談できるところに、精神保健福祉[せいしん ほけん ふくし]センター、保健所があります。相談は無料です。相談の秘密は守られます。
「7 相談先情報」にいろいろな相談先をのせています。
5 病気をかかえながらの子育てについての情報は?
薬物依存症をかかえながら親をすることは大変な取り組みです。
》本『親になるって、どういうこと?! シラフで子どもと向き合うために』
子どもをもつ依存症をかかえた女性が回復していくときに必要なサービスや配慮[はいりょ]について、ご本人たちの語りと、ダルク女性ハウスでの子育て支援の取り組みの経験がまとまっています。
》親のみなさんへ〜ゆるゆる子育て
少し気持ちが楽になるような情報、サービスの情報、イラストブックやリンク集、自助会の情報などをのせているページです。

》こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け) <外部サイトへとびます>
(公益社団法人⽇本精神神経学会・⽇本産科婦⼈科学会)
精神疾患と妊娠・出産・授乳・子育てに関する情報がまとまっています。
Q&Aスタイルで読みやすいです。<Q17 「アルコール使用症または薬物使用症」の診断を受けている方の妊娠・出産・子育てに関してのQ and A>がのっています。
6 親が薬物依存症のとき、子どもの安心のためにできることは?

- 薬物の問題や大人のケンカは子どものせいではないことを伝える
- 子どものどんなきもちもみとめる
- 日常生活をサポートする:食事、生活リズム、身だしなみ、学校の準備、遊びなど
- こまったときの対処法を相談しておく:「こまったときカード」を作る、暴力や暴言に対してはその場をはなれ(子どもをその場からはなして)安全を守る
- (当事者の親は)治療や自助グループにつながりつづける
- (まわりの家族は)少し元気になる、病気や対応について知る、ひとりだけでかかえずに家族会や相談きかんにつながる
- 子どもの応援団をふやす、大人も応援団をふやす
アイテム案内
『ボクのことわすれちゃったの?ーお父さんはアルコール依存症』
(プルスアルハ著)
アルコール依存症のお話ですが、子どものきもちの理解と対応にいかせます
》絵本紹介ページへ
7 相談先情報
- ダルク:薬物依存症のリハビリテーション施設
》全国のダルク(日本ダルクのページ) - NA[ネヌエー]:本人向け自助グループ
》NA日本公式サイト - ナラノン:薬物の問題をもつ人の家族や友人の自助グループ
》ナラノン公式ページ
- OKチャット:クスリ、ドラッグ、薬物。使うことがあるって安心して話せる。使うことがある人の健康・暮らしに役立つ。なんでも話してOK。
「やめろといわない」「そういうことあるよね」「わたしたちにもにてるところあるから…」
(日本薬物政策アドボカシーネットワーク(NYAN)のプロジェクト「ハームリダクション東京」が提供)
》OKチャット
- 精神保健福祉センター:こころの健康について 専門的な相談ができる公の機関。各都道府県・政令指定都市ごとに1か所(東京都は 3 か所)
》全国の精神保健福祉センター一覧(全国精神保健福祉センター長会のページへ)
- 保健所:精神保健担当でこころの健康についての専門的な相談ができます
》全国の保健所管轄区域案内 (厚生労働省のページへ)
- 専門医療機関(本人が受診[じゅしん]する場合):薬物依存症の診療[しんりょう]を行っている医療機関の情報は、精神保健福祉センターや保健所へたずねます
- 厚生労働省のリーフレット:最後のページに相談先、家族会の一覧があります。薬物依存症についての説明、家族の対応について、Q&Aなどのくわしい冊子です。
》ご家族の薬物問題でお困りの方へ
依存症対策全国センター
全国の相談窓口・医療機関を検索[けんさく]できます。
アルコール健康障害・薬物依存症・ギャンブル等依存症について、さまざまな情報がのっています。
》依存症対策全国センター
薬物の相談のコツ
特に電話相談の前に、紙に書いて、頭を整理しておくとよいことをまとめました。

8 よくある質問 Q&A
Q 自助グループや病院へ行こうとしません(家族より)
A 心配をしていることを、日をあけて、本人が薬物を使っていない時に伝えていきます。
毎日「行け行け」というと、関係が悪くなります。ご家族の方がまず、家族会へ通い続けてみてください。その中でご家族が息ぬきしたり、かかわり方のヒントを得ることができます。時間がかかることもあります。まずは家族から元気になることをめざして。
*
Q 家族会へ通うことが大切なのですか?(家族より)
A 家族から元気になると、本人が引きづられて元気になると信じて大丈夫 です。依存症とは?を勉強して理解してみようという気持ちは、本人にも伝わります。
本やネットの情報だけ見ていると、頭でっかちになりしんどくなりこともあります。家族会で、他の家族の体験やうまくいったかかわりを聞くと、これなら自分のところでも試せるかもというヒントがあります(せめる、しかるで効果がないなら違う方法を試す)。
自分の家だけじゃないことを知るだけでホッとしたり、大変そうな家の話でホッとすることもあります。 家族会に行くという「自分の時間を取る」練習にもなります。
しりぬぐいをしない気持ちを持続するためにも、家族会に出たり相談を続けることが大切です。
家族教室で勉強する方法もあります。
*
Q 再使用してしまいました・・・(本人・家族)
A 回復過程で、多くの方が再使用を経験します。
生活を立て直すために、自助グループや病院、家族会に足を運ぶことは有効です。
(まわりの方へ)せめるだけでは解決につながりません。

Q 親が刑務所[けいむしょ]にいる(いた)ことを子どもにはどう説明したらよいでしょうか?
A 逮捕[たいほ]された時には、(むずかしいことではありますが…)まず大人の家族が落ち着くことが必要です。弁護士[べんごし]が今後の裁判[さいばん]などの流れを説明してくれます。
子どもへは、たとえば「今は上手く話せないけれど、〜まで、はなれて生活する」といった事実は伝えます。事故[じこ]にあった、しんだ、遠くに仕事に行った、などのとりあえずのウソをつかないことが大切です。
子どもも気がついていることもあると思います。2回目以降などは、可能なかぎり今の状況[じょうきょう]を伝えます。
薬物での逮捕に関しては、ダルクが場数をふんでいますので、ダルクへ家族が相談する方法もあります。
9 関連ページ
》自助グループへ初参加するときに知っておくとよいこと・会場の調べ方や豆知識
》友人が薬物(覚醒剤etc)を使ってるかも…というときにあなたにできること
》ダメと言わない薬物教室「断り方・通報されない相談先・打ち明けられたときには」
》薬物依存症体験談『今、ダルクで、希望や目標を探しながら1日1日を過ごしています』
》ご家族のみなさんへ
かかわりについてと、家族向けの情報などのページ
相談をうける支援者向けのページ
》[薬物の困りごと]ご家族からの相談への対応チャート
》依存症と家族ー地域生活Q&A(精神科看護師チアキのスキマ相談)
10 くわしい情報を知りたいときの参考サイト&図書
参考サイト
》依存症対策全国センター
アルコール健康障害・薬物依存症・ギャンブル等以上症について、さまざまな情報が掲載されています。
全国の相談窓口・医療機関が検索できます。
》ご家族の薬物問題でお困りの方へ
厚生労働省のリーフレット:最後のページに相談先、家族会の一覧があります。薬物依存症についての説明、家族の対応について、Q&Aなどの詳しい冊子です。
》TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」2017年1月17日(火)放送分)
「薬物報道ガイドラインを作ろう!」荻上チキ×松本俊彦×上岡陽江×田中紀子【書き起こし】
薬物報道における「望ましいこと・さけるべきこと」のガイドライン。薬物問題の受け止め方やかかわり方へのヒントにもなります。
》国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 NCNP
各種資料がのっています
図書
- 『専門家と回復者に聞く 学校で教えてくれない本当の依存症』風間暁著,合同出版,2023
- 『増補新版 生きのびるための犯罪(みち)』,上岡陽江・ダルク女性ハウス著,マガジンハウス,2024
- 『誰にも聞けなかったドラッグの話―「薬物依存症」回復者が答える96の相談メール』,ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)編,2010
- 『誰にでもできる薬物依存症の診かた』,成瀬暢也,中外医学者,2017
- 『世界一やさしい依存症入門 やめられないのは誰かのせい?』,松本俊彦 著,河出書房新社,2021
病気や障がい・精神科について知る(病気の一覧のページへ戻る)
このページの担当
ぷるすあるは

ダメ絶対。だけではない病気・依存症の視点を持って欲しいと思い、このページを作りました。
生きるために薬物を使ってがんばってきた。やめようと思って何度も何度も自力でがんばって、でもやめられない…。意志の弱さや性格のせいで薬物を止められいのではなく、病気の症状です。相談できる場所や治療の場所、リハビリできる場所に、SOSを出してください。