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[3人で比較編]日本語版青年・成人感覚プロファイル(AASP)をやってみました3─チアキの感覚過敏×オガティ

[3人で比較編]日本語版青年・成人感覚プロファイル(AASP)をやってみました3─チアキの感覚過敏×オガティ
2016年9月18日 pulusu

ぷるすあるはの発達障害&ゆるゆる子育て担当のおがてぃです。今回は感覚過敏をテーマとしたコラムの4回目となります。

前回、前々回とAASPという質問紙を使ってちあきの感覚過敏について取り上げてみました。

》日本語版青年・成人感覚プロファイル(AASP)をやってみました1:総評
》日本語版青年・成人感覚プロファイル(AASP)をやってみました2:五感別にそれぞれの特徴をみる

一部から「他の人がその質問紙をしたらどんな結果なんだろう?」というご意見があったため、今回は、ぷるすあるはにゆかりのあるAさんとBさんにも質問紙をしてもらい、いろいろと比較してみることになりました。

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ちょっと間が空いたのでおさらいです。AASPとは感覚の過敏さや鈍磨を調べる質問紙で、いわゆる5感を4つの領域に分類します。それぞれ

1 低登録 :強い刺激に対する受身的な反応
2 感覚探求:強い刺激に対する能動的な反応
3 感覚過敏:弱い刺激に対する受身的な反応
4 感覚回避:弱い刺激に対する能動的な反応

と分けられており、統計学的に一般的な人と比べて高いのか、あるいは低いのかを評価します。

AASPカット

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さて、まずAさんですが、

1 低登録 :普通
2 感覚探求:普通
3 感覚過敏:普通
4 感覚回避:普通

…なんともまあ、ツッコみようのない(?)結果になりました。ただ、誤解のないように言っておくと、基本的にはこの結果になる人の方が多いので(だいたいテストを受けると60数%はこの結果になるよう統計学的に調整されているのです)、ある意味自然な結果と言えます。

質問紙をしたAさんは「自分がなんだかなにも気にしてない鈍感な人のような気がした…」と言っていましたがそれは違います。比較しているのがちあきだからそう感じるのであって、彼女が過敏なんです(笑)項目ごとに分析してみると、若干人と距離を置く傾向があるくらいですかね。そんな結果でした。

 

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続いてBさんですが

1 低登録 :非常に強い
2 感覚探求:強い
3 感覚過敏:非常に強い
4 感覚回避:強い

…ちあきにつづいて、これまたかなりの結果が出ました。ひとつひとつみていきましょう。

はじめの低登録は強い刺激に対する反応が低いことで、いわゆる「感覚鈍磨[どんま]」の傾向です。
Bさんは「非常に強い(感覚鈍磨)」と結果が出ています。ただBさんの場合は、低登録内の項目にもばらつきがあって、味覚や嗅覚はあまり問題なく、人に触られるといった触覚はむしろ過敏に反応しているようです。
知らないうちに物にぶつかっていたり、どこで怪我をしたかわからなかったりすることがあるようなので、どちらかというと『不注意』の傾向がある可能性があります。

2番目の感覚探求は強い刺激を求める傾向で、これも「強い」と出ています。花の香りをよく嗅いだり、裸足でいるのが好きだったり、衝動的に取り掛かったりする傾向があるようです。ただ、香水などはあまり好きでなかったり、人に自ら触れることはあまりしなかったりするので、対人関係においてはどちらかというと刺激を回避する傾向がありそうです。

3番目の感覚過敏はちあきと一緒の「非常に強い」となっています。特に高いところや乗り物といった動きのある物に対する過敏さや視覚、聴覚の過敏があるようで、刺激が多いとどれに注目したら良いのかわからなくなってしまっている可能性があります。

最後の感覚回避も「強い」と結果がでていて、どちらかというとたくさんの刺激からは距離をとって対処しようとする傾向があるようです。

Bさんの結果をみると全般的に刺激に対して反応しやすく、自分である程度意識して優先順位をつけて対処できれば大丈夫なのだけど、いっぺんにたくさんのモノがあると処理しきれなかったり、イライラしたりする傾向があるようです。自分なりに工夫しているところもあるので、その工夫を増やしていけると良いかなと思いました。

 

Bさんの感想…

私の感覚過敏は、先天的な部分と、後天的な部分があるのかもしれない、って思いました。後天的なというのは、例えば音。ある音楽はきょうだいがすごくイライラしていてもうすぐ爆発しそうっていうサインだったとか、こういうしゃべり方は家族のなかで怒鳴りあってしまう時に近いとか、ある特定のテンションの音がすごく苦手なんですよね。だから対人関係の刺激を避ける傾向とかは、もしかしたら対処の工夫なのかも、なんて思いました。 たくさんの刺激が同時にくるとイライラするのはまさに、今でも続いています(笑)こればかりはなかなか対処できなくて、職場でもわかりやすく「おかしく」なってます。 感覚過敏と低登録のどちらもとても高くて矛盾しているのかなって思ったんですが、個別に細かく検討していただいたおかげで自分なりにはすごく納得がいきました。検査やってみて、わかりやすかったし面白かったです。こういうのを使って一見矛盾しているようにみえる自分の感覚の特徴とか人に伝えられたらいいのかも!って思いました。

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3人の感覚の特性を比較するとこんなかんじ。

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いかがだったでしょうか。成人の感覚過敏や鈍磨[どんま]の問題への取り組みに関しては、日本ではまだ始まったばかりです。まずは自分にそういったモノがあるかどうかを知ってそのうえでどう対処していくか、みんなでその工夫を共有していけると良いかなと思っています。コラムを読まれた方で何かご意見、ご感想があればお教えください。よろしくお願いします。

 

<今回使った質問紙は日本で発売されてまだ間もないものになります。成人期の発達障害について先駆的に取り組んでいる医療機関や相談機関であれば、導入しているところもあるので、気になる方はお問い合わせいただければと思います。>

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