H-1 アルコール依存症[いぞんしょう]

イラストで学ぶ病気や障がい

アルコール依存症

アルコール依存症は、いろいろな問題が起きていても、自分の意志だけではお酒をやめられなくなる病気です。治療やさまざまなサポートによって、回復できる病気です。

ページにおこしいただきありがとうございます。
大人も子どももいっしょに見れて、基本的な知識を学べるページです。およそ小学校中学年~大人の人向けです。もっとくわしい情報を知りたいときは、参考サイトがページの下の方にあります。
子どものみなさんは、わかりにくいことや、ぎもんに思ったことは、大人の人に聞きながら読んでください。

印刷用まとめシート

ページのポイントをA4×2枚のシートにまとめました。

1 どんな問題が起きるの?(症状と経過)

  • 身体の問題:肝ぞう[かんぞう]、脳[のう]、すいぞう、心ぞう、胃[い]、食道などの合併症[がっぺいしょう]
  • 精神症状[せいしんしょうじょう]:イライラ、不眠[ふみん]、不安、うつ、幻覚[げんかく]や妄想「もうそう」など
  • 社会的な問題:仕事への影響、人間関係のトラブル、飲酒運転、借金、社会からの孤立[こりつ]など
  • 家庭での問題:パートナーや親子間の不仲、暴言暴力、子どもへの影響、家庭内の役割の変化など

コントロールできなくなる病気です

お酒のせいで、生活に明らかに問題が起きているのに、それでもお酒をへらせない、やめられないときには、依存症の病気のレベルになっていると考えられます。進行性の病気で、最終的には命にかかわります。
家族や子どもをまきこみやすいことも、この病気の特徴[とくちょう]です。

みんなの気持ちいろいろ

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2 回復のサポートになることは?

  • 自助[じじょ]グループ*/リハビリ施設**
  • 専門医療機関[せんもんいりょうきかん]、相談機関
  • 新しい生活習慣、考え方や対処法 など
  • 家族が元気になること

*自助グループは、共通の問題や悩みを抱えた人が集まり、解決を目指して自主的に運営しているグループです。断酒会(本人・家族向け)、AA[エーエー](本人向け 家族も参加できます)、Al-anon[アラノン](家族向け)などがあります

**リハビリテーション施設は、入所や通所しながら、お酒を飲まずに安定した生活を送ったり、仕事に就いたりする目的で利用される施設です。アルコール作業所などと呼ばれる場合があります。「マック」などがあります(全国マック協議会に入っている施設は17 か所あります)。

回復は…「お酒をやめてよかったと思える」「酔うことを必要とせずに幸せな生活を送る」など、ひとりひとりの回復があります。いろんな道すじがあり時間がかかります。そのきっかけになることも人それぞれです

 

家族だけでも相談できる公的機関に、精神保健福祉センター、保健所(精神保健担当)があります

ポイントは、相談できる人から相談に行くことです。

》ご家族のみなさんへ
かかわりについてと、家族向けの情報などのページです。

3 原因は?

飲酒の習慣があれば、性格や学歴、職業、性別にかかわらず、だれでも依存症になる可能性があります。

アルコール依存症の原因は単純ではなく、多くの要因が複雑に絡み合っています。
アルコールの分解が良いか悪いかという体質、子どもの頃の環境要因、飲み出したころの学生時代や就職したころの周囲の飲酒環境、職場や家族などの人間関係とストレスなど、様々なものが関係しています。なんらかの生きづらさを抱えている人が、酔いで気分を変えたり、心の痛みを和らげていくうちに、依存症になることもあります。

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4 病気をかかえながらの子育てについての情報は?

病気をかかえながら親をすることは大変な取り組みです。

》親のみなさんへ〜ゆるゆる子育て
少し気持ちが楽になるような情報、サービスの情報、イラストブックやリンク集、自助会の情報などをのせています。

》こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け) <外部サイトへとびます>
(公益社団法人⽇本精神神経学会・⽇本産科婦⼈科学会)
精神疾患と妊娠・出産・授乳・子育てに関する情報がまとまっています。
Q&Aスタイルで読みやすいです。
Q17 「アルコール使用症または薬物使用症」の診断を受けている方の妊娠・出産・子育てに関してのQ and Aものっています。

アイテム案内

『ゆるっとこそだて応援ブック』
(プルスアルハ著)
病気をかかえながらの子育てを応援しているイラストブックです
》絵本紹介ページへ

5 (親が依存症のとき)子どもの安心のためにできることは?

  • お酒の問題や大人のケンカは子どものせいではないことを伝える
  • 子どものどんなきもちもみとめる
  • 日常生活をサポートする:食事、生活リズム、身だしなみ、学校の準備、遊びなど
  • こまったときの対処法を相談しておく:「こまったときカード」を作る、暴力や暴言に対してはその場をはなれ(子どもをその場からはなして)安全を守る
  • (当事者の親は)治療や自助グループにつながりつづける
  • (まわりの家族は)少し元気になる、病気や対応について知る、ひとりだけでかかえずに家族会や相談きかんにつながる
  • 子どもの応援団をふやす、大人も応援団をふやす

アイテム案内

『ボクのことわすれちゃったの?ーお父さんはアルコール依存症』
(プルスアルハ著)
ハルの物語、子どものきもちの理解と対応のための絵本
》絵本紹介ページへ

子どもさんとみられるメッセージと工夫のページ

》小学生のみなさんへ
》中高生のみなさんへ
》ヤングケアラーのみなさんへ

ページ案内

親が精神障がいやこころの不調になったときの子どものケアガイド
子どもへのかかわりについて、とくに病気を伝えることについて、くわしく説明しています
》ページへ

「権利から始まるリソースマップ」
子どもがのぞむこと、親がのぞむことから、のぞみをかなえる仕組み(サービス)を見つけるシートです
》ページへ

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6 よくある質問 Q&A

Q 自助グループや病院へ行こうとしません・・(家族より)

A 心配をしていることを、日をあけて、本人がお酒を飲んでいない時に伝えていきます。毎日「行け行け」というと、家族の関係が悪くなります。家族の方がまず、家族会へ通い続けてみてください。その中で家族が息抜きしたり、関わり方のヒントを得ることができます。時間がかかることもあります。まずは家族から元気になることを目指します。

Q 再飲酒してしまいました・・・(本人・家族)

A お酒をやめていく中で、再飲酒はほとんどの方が経験します。
もうだめだ・・・と投げやりにならずに、連続飲酒にならないように、生活を立て直すことを考えます。
(まわりの方へ)責めることは解決になりません。病気の症状と考えて前を向けるようにすることが大切です。
そのために、自助グループや病院、家族会に足を運ぶことは有効です。

7 関連ページ

》自助グループへ初参加するときに知っておくとよいこと・会場の調べ方や豆知識

》アルコール問題Q&A(回答者:岡崎直人氏)
ベテランソーシャルワーカーによる、さまざまな質問への回答をのせているページ

》依存症と家族ー地域生活Q&A(精神科看護師チアキのスキマ相談)
》「問題解決しない事例検討会」ハンドブック

ギャンブル依存症
薬物依存症

8 くわしい情報を知りたいときの参考サイト&図書

参考サイト

》依存症対策全国センター
アルコール健康障害・薬物依存症・ギャンブル等以上症について、さまざまな情報が掲載されています。
全国の相談窓口・医療機関が検索できます。

アルコールによる健康障害 》アルコールと社会問題 (厚生労働省:e- ヘルスネット)

(独)国立病院機構久里浜医療センター(WHO アルコール関連問題研究・研修協力センター)

特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)

アル法ネット(アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク)

厚生労働省アルコール健康障害対策のページ

SNAPPY-CAT 飲酒チェックツール
|WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究
コンピューターを用いた簡易介入ツールの開発と有効性検証

チェックリスト形式で気軽にでき、お酒の飲み方をチェックできるサイト
医学的な裏付けがあり、アドバイスもついてきます

》市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン

厚生労働省科学研究費 「アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究」研究分担者 長 徹二 平成28年3月

図書

  • 》『ボクのことわすれちゃったの?─お父さんはアルコール依存症─』
  • 絵本『かぞくがのみすぎたら』リチャード・ラングセン作,ニコール・ルーベル絵,サウザンブックス社,2017
  • 『専門家と回復者に聞く 学校で教えてくれない本当の依存症』風間暁著,合同出版,2023
  • 『世界一やさしい依存症入門 やめられないのは誰かのせい?』,松本俊彦 著,河出書房新社,2021

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