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ディスレクシア・読字障害(後編)…判定方法と支援の例

ディスレクシア・読字障害(後編)…判定方法と支援の例
2017年10月15日 pulusu

おがてぃです。ディスレクシアに関するコラムの後半になります。前回はディスレクシアの症状とその要因となっている音韻処理について説明しました(》前編)。今回はディスレクシアの更に詳しい判定方法と支援の仕方について説明していきたいと思います。

 

ディスレクシアの判定方法
「症状チェック表」と「ひらがな読み検査」

 

・症状チェック表

「読み」と「書き」がそれぞれどの程度であるか、心理的負担やスピード、読んだり書いたりしている際の様子や仮名や漢字の誤りについてチェックできる表

 

・ひらがな読み検査

文字どおりひらがなを読んでもらう検査
誤りだけでなくどのくらいのスピードで読めるかを検査します

 

僕が研修に参加してこの検査の存在を知ったとき「こんな短時間にディスレクシアの判定できるのか!?しかもしっかりと研究されて作られた検査だから信頼もできるし!」ととても驚きました。
こういった検査が広まるともっとディスレクシアの支援も広まるのではないかと思います。
それぞれの検査は、子どもに対して検査やテストなどをしたことがある人であれば実施は可能だと思います。検査は下記の参考文献に掲載されていますので、興味のある方はせひ一度見てください。

 

ディスレクシアの子どもに対する支援

 

支援には2段階あって
(1) 文字と音がスムーズにつながるようにする
(2) 文字をまとめて単語として読めるようにする
という順番になります。それぞれ説明します。

 

(1) 文字と音がスムーズにつながるようにする

 

例えば「あ」というひらがながあったらそれが「ア:A」という音であることがスムーズに出てくるような練習をすることです。
ディスレクシアの子どもは、ひらがなの音を曖昧に覚えていることがあり、それが読みの困難さにつながっています。特にディスレクシアの子ども達の中には、「意識すれば読める」「言われればわかる」というレベルの子がいて、そういった子は「とりあえず読めるので、ま、いいか」と特に支援が必要と思われないままになってしまうことがあります。しかし、実際には、ディスレクシアでない子どもは「意識しないでもスラスラと読める」という状態なので、状態としてはかなりの差があります。

小学校低学年くらいならまだ差は大きくないのですが、年齢が上がるに従って差はどんどん大きくなっていくので、やはり早い段階からそういった傾向に気づいて練習していけると良いなと思いました。最近だとこの仮名の読みを練習するアプリなどもあるので、そういったものを利用するもの良いかと思います。

例)練習用アプリ『ディスレクシア音読指導アプリ 単音直音統合版』(iOS)

 

(2) 文字をまとめて単語として読めるようにする

 

ひらがなを並べて単語にし、読み方だけでなく意味や視覚的なイメージなどを一緒に覚えていく練習です。
単語を読む際に、ディスレクシアではない人たちは一文字ずつ読んでいるわけではなく、一連の音として覚えています。なかなかイメージしづらいのですが、音楽を聞く際、一つ一つの音としてではなく、メロディーとして捉えているような感じといえばわかるでしょうか。

 

一方、ディスレクシアの人は程度の差はありますが、単語を一連の音としてではなく一文字ずつ読むことがあるので、時間がかかったり、そもそも単語として認識するのに時間がかかったりします。なので、文字を単語として認識し、読める単語が増えていくと少しずつ文章の読み方は流暢になっていくので、地道に一つずつ増やしていくことになります。

 

最後に、日常的な良い関わりとして、本の読み聞かせがあります。
ディスレクシアの子ども達は物語を聞くのは好きな子が多いのですが、本を読むことを強制されているうちに苦手意識を持って、だんだん本を読まなくなることがあります。苦手なものをしなくなるとますます苦手になっていくので、むしろ本を読むのが楽しいという体験を積んで、自分でも本を読んだりしていると単語を覚える機会も多くなります。自分のペースで良いので、楽しく本を読む経験をすることがひいては支援につながっていくと思います。

 

いかがだったでしょうか?
ディスレクシアときくと一体どんな支援をしたら良いのかわからず、そのまま支援をせずにいたり、無理やり本を読ませたりしているような話を聞くことがあります。しかし、それでは逆に読むことが嫌いになってしまうという悪循環が生じてしまいます。
今回お伝えした支援方法は非常にシンプルです。
はじめに文字と音とが結びつくよう支援して、その後は自分なりのペースで読めるように手伝い、わからない単語があったら一緒に意味を調べてあげれば良いのだ!とわかることで、支援をしてみようと思われる方が増えればいいなと思います。

 

 

参考文献:『特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドライン(編集代表:稲垣真澄、診断と治療社,2010)