2年あまりの制作期間を経て、新作絵本『こころにケガをしたらートラウマってなんだろう?』が11/20に刊行されます。見本も届き、いよいよ…という気持ちです。とても緊張もしています。
原案・解説を担当する児童精神科医の犬塚峰子先生(みぃ先生)は、前職でご縁があり、ぷるすあるは設立時からアドバイザーを務めてくださっています。
ゆまに書房から刊行した最初の3冊の絵本も監修いただきました。
犬塚先生からは、その頃から、子どものトラウマをテーマとした絵本を作れたら…という想いをお聞きしていました。
なかなか取り組めずにいたのですが… タイミングが合って、担当編集者さんの後押しもあって、制作にとりかかることができ、完成までくることができました。
自分に起きていることを体験できるような「絵本」で表現できたら
「(ぷるすあるはが始まった)2012年頃は、一部の専門職を除いてトラウマについてあまり知られていませんでした。子どもたちが、何が起こっているのかわけがわからないまま、自分でコントロールできないような症状に圧倒されて、自責感を深め、再トラウマ体験を繰り返し、どんどん事態が悪くなっていく様子をみてきました。早いうちに周囲の大人がトラウマに気づき、トラウマからの回復に向けて必要な対応をしていくことが大切だと感じてきました。
10年がたち、トラウマについて、トラウマインフォームドケアについて、多くの本やリーフレット、情報がでて、たくさんの方が知識を深めてきています。対応できる方もふえてきました。
そういったなかでも、子どもにトラウマの知識を届ける手段として「絵本」で表現できたら、というのが変わらずありましたーー自分に起きていることを、物語のなかに入って、なるほどとか、ああそうかなとか、体験できるような絵本。
トラウマについてはまだ研究途上でいろんな知見がどんどんでてくる状況なので、書いていて難しさや不安もありましたが・・・なにか役立つものになっていたらうれしく思います。」(みぃ先生)
解説は、まず大人の方へ
物語という点と、もうひとつの大きな特徴は、解説部分です。
これまでの絵本では巻末に「大人向けの解説」がつくスタイルでしたが、本作は「子ども取り組む解説」というパートがあります。
ボリューム(文字量)が多いです。
この点は、制作過程のなかでも何度も話題になりました。
まず、子どものまわりにいる大人の方が、こころのケガについての知識や対応方法について情報を得ていただく目的もあります。
全部のページを一緒にくまなく読んで取り組まないといけないわけではありません。そのお子さんの年齢や状況にあわせて、活用いただけたらと思います。
対象年齢(一概には言えませんが…)
《物語部分》
・大人といっしょに読むなら、小学校低学年から
・ひとりで読むなら、小学校高学年くらいから
《解説部分》
・小学生は大人といっしょに、内容をしぼって使うことを考えます
・ひとりで読むなら、中学生くらいから
※解説部分は、物語部分にくらべて、内容が少しむずかしく、文章量が多いです。その子どもの様子や理解にあわせて、内容をかみくだいて伝えます。むずかしいところは読みとばしてもよいです。大人の方の理解に役立ててください。
※絵本ですが、対象年齢の上限はなく、大人の方も自分向けに活用いただくことができます。
絵本を読むときに
もしも読んでいるときに、こわいきもちになったり、胸がざわざわしたら、無理に読まずに、なにかきもちが落ち着くことをします。
年齢にかかわらず、絵本を読むことで…こころのケガになったできごとを思い出してしまい、不安な気持ちが引き起こされてしまうこともあります。まわりの大人の人は、その苦痛を受けとめ、そうなるのは自然なことと伝えながら「リラックス法」をいっしょにできるとよいです。
まず最初に(解説や絵本を読む前に)、「安心のきもちをふやす方法」を練習することもいいです。
・リラックス法
・「今、ここは、安全」というきもちを強める方法
・たのしいこと・ほっとすることをする
を絵本の解説のなかで紹介しています。
つかれる前にひとやすみしながら、無理のないペースで読み進めます。
すこし安心できる人といっしょに読むのもよいと思います。