18 環境の「可塑性[かそせい]」とマイペース

こんにちは。おがてぃです。 最近は少し自分のペースが取り戻せてきたようで、忙[いそが]しくなりそうなときにも、周りの人と相談してペースの調整ができるようになってきました。過去の自分を振[ふ]り返ると、こうやって誰[だれ]かに相談したり、頼[たよ]ったりするということが苦手だったので、ちょっとは自分も変わってきたかなぁと思いました。

そこから少し考えたのですが、マイペースに過ごすためには自分の置かれた環境がどのくらい変わる余地があるのか、つまり「可塑性*」というものの影響[えいきょう]がけっこう大きいのではないかと感じました。

自分のことを振[ふ]り返ると、この領域で仕事を始めたばかりの自分は、人に頼ったり、相談したりするのは「周りの人に迷惑[めいわく]をかける」「自分でどうにかできるならその方が良い」と思いがちでした。なので、環境を変えるというよりは自分がその環境に適応できるようどう自分を変えていくかということにつながりやすく、いわゆるスキルアップや自己研鑽[けんさん]などに目が向きがちでした。

なので、やたらと研修やら資格やらにこだわったりしていたのですが、だいたい6-7年くらいでこのアプローチの限界を感じ、自分だけではどうにもならないということと散々向き合った結果として、環境を変えていく重要性を学びました。
ただ、重要だとは思っても人に相談したり、頼ったりすることは苦手だったので、やたらと根回しをしたり、自分じゃなくてみんなの意見として伝えたりと、なんというか、まどろっこしい関わりをすることが多かった気がします。今になって思うと、人と向き合うということがなかなかちゃんとできなかったので、素直に伝えられなかったんだろうなぁと思いました。

こういった経験から環境への働きかけが大事だと思っているのですが、一方で働きかけても環境が変わらないことも世の中にはあるよなぁと思いました。
例えば、仕事などでも、子どもが生まれたので働き方を変えたいと思い、時短勤務とか勤務地の要望とかがあったとしても、今の職場でそれがどのくらい認められるかは会社によってだいぶ異なるのではないかと思います。自分の希望が通るように上司や人事と交渉[こうしょう]していくのは大事だと思う一方で、あまり変わらないのであれば、いっそ転職してしまった方が早いということもあります。

理想を言えばどの会社でもそういったことが認められるのが望ましいのですが、この交渉[こうしょう]というのがけっこうやっかいで、時間も労力もかかるし、かなりのストレスにもなったりするので、それこそマイペースが保たれないと感じることが良くあります。

また、学校などでも例えば合理的配慮[はいりょ]を求めるときとかも同じようなことが起こったりします。発達特性の影響でノートに字を書くことが苦手なので、黒板の板書をタブレットで撮[と]らせてほしいと伝えても、それがかなうかどうかはいまだに学校によって大きな差があります。難しいのは会社と違って学校の場合だとすぐに転校という選択肢[せんたくし]をとることができず、通常級から特別支援[しえん]学級への移籍[いせき]などもそれほどスムーズではないことが良くあります。なので、そういう時は校長先生や担任が変わったタイミングで再チャレンジしてみるなど、本来だったらしなくていいような苦労をすることがあります。

こういった事例を踏[ふ]まえると、自分の今いる環境がどのくらい変わる余地があるかで、その場にとどまるか、あるいはいっそ別の場所に行くかなどが変わってくるので、この「環境の可塑性」を見極めるということが、マイペースをつくっていく上では重要なのではないかと思いました。

最近の僕[ぼく]の仕事では、個の可塑性を一緒に検討することが多いのですが、意外とみんな考えたことがなかったみたいで「絶対変わらないものだと思ってました」とか「え、言えばやってくれるんじゃないんですか?」とかいろいろなお話しを伺[うかが]います。

みなさんも、もしより自分のペースで過ごせるようにしていくと考えたとき、周囲の環境をどのくらい変えることができそうか、一度考えてみると面白いかもしれません。

*可塑性[かそせい]:もともとは、物に力を加えたときに形が変わり、その変化が残る性質を表す言葉です。神経や発達の分野では、経験や学習、環境などに応じて変化したり、損傷後に機能を補ったりする性質を指します。ここではそこから転じて、環境や状況がどのくらい変わる余地をもっているか、という意味で使っています。

心理士おがてぃの勝手にコラム「マイペースに生きる」

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