精神科の診察で、時間が短くてうまく話せません。どうしたらいいですか?ー精神科受診Q&A

精神科[せいしんか]で長年はたらいてきた看護師[かんごし]のチアキが、精神科の受診[じゅしん]や治療[ちりょう]などの質問に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:精神科の診察[しんさつ]でうまく話せません
年れい:成人

精神科に通院しています。毎回の診察[しんさつ]時間が短いです。緊張[きんちょう]もするし、言いたいことがうまく言えません。聞きたいことも聞けません。どうしたらいいですか?

チアキの回答

質問をありがとうございます。
「精神科なのに、ゆっくり話をきいてもらえない。医師とのコミュニケーションがむずかしい…」というのは、本当に多くの方が感じておられる悩みです。
診察時間の長短については、医師個人の裁量[さいりょう]をこえたシステムの課題があり、この場で取り上げることがむずかしいですので、ここでは

1 診察時間を有効に使う工夫
2 医師以外で相談できる人を活用する

について考えてみたいと思います。
診察のコミュニケーションを助けるツール「紙のシートやアプリ」も紹介します。

1 診察時間を有効に使う工夫

メモやツールの活用がおすすめです。

必ず伝えること、確認することなど、事前に整理しておきます。
診察の待ち時間に書くというのもいいと思います。

  • 手帳に書く
  • スマホのメモ機能に入力する
  • 既存[きぞん]のツール(紙のシートやアプリ)を使う 

書いていても、なかなか伝えられないときは、その紙をわたしてしまいます(スマホの画面を見せます)。
なにが重要かわからなくなるので、書く分量が多くなりすぎないようにします。A4蔡図の紙、1枚まで、できればその半分くらいにします。スマホだと、スクロールしないで読める分量だといいです。

2 医師以外で相談できる人を活用する

病院に医師以外の専門家がいて、相談できることもあります。主治医にたずねてみてください(病院・クリニックによって、スタッフもいろいろです)。

例)

  • お金のことや社会制度・サービス → ソーシャルワーカー
  • 日常生活上のことや体調面 → 看護師  
  • 薬についての一般的な質問 → 薬剤師(院内/院外薬局) など

これは絶対きく、ということがきけたら… 全部きけなくてもマル、くらいの感覚も大事かもしれません。
全然きけなかった・話せなかったと…しても、受診したことに花マルをあげてください。

診察のコミュニケーションを助けるツールいろいろ

「診察日記」
ぷるすあるは/紙のツール

一回の診察につき、1枚のシートを準備して、書きます。
PDFをダウンロードできます。
コンビニのネットワークプリントで印刷することもできます(印刷代がかかります)。
》診察日記(PDF)

「つたえる日記」
エルワイス(アプリ制作団体)/無料アプリ

一度ダウンロードすると、アプリのなかで、つたえること、言われたこと、その日の調子などを残していくことができます。
手帳などの更新期限を教えてくれる機能もあります。
》「つたえる日記」のページへ(エルワイスのHP)

「質問促進[そくしん]パンフレット
/精神科外来における意思決定支援ツール開発・普及委員会(監修:池淵 恵美 帝京大学医学部精神神経科学教室主任教授ほか)
/紙のシート・ウェブページ

(主に統合失調症を持つ人が)精神科外来で主治医にききたいことをきき、より良いコミュニケーションをするための「質問促進パンフレットー精神科外来における共同意思決定支援ツール」が公開されています。
薬について、治療について、生活についてなどのカテゴリーで、質問項目がリストアップされています。ウェブページ+PDFがあります。
質問項目が多いので、一度の診察でたずねるというよりも、項目をみながら、ききたいことを整理するためにも使えます。

》質問促進パンフレットのページへ

「調子を伝えるシート・スケール付き」
/ぷるすあるは・紙のシート

自分の調子をふりかえっておくと、伝えやすくなります。
スケール付きのシートに、そのときの調子を丸をつけて、診察のときに見せながら話をしてもいいです。
PDFをダウンロードできます。
》調子を伝えるカード(からだ/きもちとあたま1,2/スケールつき) 

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チアキ
関西→関東、精神科ひとすじの看護師。
ぷるすあるはの制作担当、絵本ではお話と絵を担当しています。