
おがてぃです。前回までは「社会のペース」の方が優先されてしまいがちな要因について少し書いてきました。今回はそんな社会の中でどのように過ごしていけるとよいのかについて考えていきたいと思います。
前回のコラムでも少し触れた社会構成主義の視点から考えると、みんなが「マイペースって大切だよね」と思ってくれれば社会はそのような社会として構成されるようになると思います。ただ、どうもマイペースが大事と言っている僕自身が、実際のところマイペースに過ごすというのはとても難しいことではないかと思っています。
例えばお家に赤ちゃんがいるご家庭だと、どうしても赤ちゃん中心の生活になるので、保護者の方はなかなかマイペースに日々を過ごすことが難しいということがあります。
また、大地震などがあり、避難所で生活を送る必要が生じた場合、なかなか自分のことだけを考えて行動するのは難しいかと思います。その場合は周囲の人達と自分のことのバランスを考えるということが求められ、なかなか自分本位に活動するというのは難しいことなのではないかと思いました。
それ以外にも例えば学生や社会人の方の場合、レポート提出の締め切りや仕事の納期が迫っていたら、のんびりマイペースに…とはいかない場面もあると思ったりしました。
よって、今の自分としてあまりよろしくないと思うのは「マイペースを後回しにし過ぎる」ことかなと思っています。
例えば赤ちゃんがいるご家庭でも、自分が風邪をひいていて熱があった場合はまずは自分の体調を回復させるための行動をとらなくてはならず、その間は他の方に赤ちゃんの面倒をお願いすることが必要になるかと思います。
また、避難所での生活も様々な理由で不都合が生じた場合(高齢者で寒さに弱いから暖かい場所に移動させてほしいとか、発達障害があって騒がしい場所があるので、比較的静かな場所で過ごしたいとか)、運営している人たちにそのニーズを伝え、解決を目指すことも特に悪いことではないと思います。
また、レポート提出や仕事の納期に関してはスケジュールを立てて、自分のペースでこなしていく道筋をつくったりなど、いろいろ工夫ができる部分もあるのではないかと考えています。
なので、まず自分にとっての「マイペース」とは何かを考えて、その上でそれがどのくらい実現可能なのかについて検討し、社会や周囲のペースに合わせていくというステップが良いのかなぁと思いました。
さて、そのような目標をもって僕は日々心理臨床をしているのですが、僕が思うマイペースの基準としては
①自分がそれなりに楽であること
②自分がある程度安定していること
③その状態が比較的持続可能性があること
④「明日はこれやってみようかな」という意欲があること
の4点が達成できている状態かなと考えています。
例えば、考え方として、わがままな感じであると短期的にはマイペースが達成できるのですが、長期的には周りの人に嫌がられて周囲から人が離れていくため③が達成できないと考えます
また、すごく衝動性の高い人で一見不安定に見える人でも、それが自分にとってリズムが取れている状態だとすれば、それは安定していると考えたりします。
まだ、この視点を持つようになって日が浅いので、もっと練った方が良い部分もありそうなのですが、今はこの視点から自分や周りの人がマイペースにやれているかなぁということを意識して日々過ごしつつ、いろいろと試しているところになります。
普段相談を受けているとマイペースが大事だと言いつつも現実的には難しいことが多いなぁと痛感しています。なのでできるとよいこととしては「なるべくマイペースに過ごす」というくらいの温度感でとりくむのがよいかなぁと僕は思っています。
次回は自分のペースと社会のペースのバランスについてもう少し掘り下げていきたいと思います。