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Q62.何らかの障害、病気を抱えた両親の狭間で辛い思いをしている孫ーゆるゆる子育て実践編

Q62.何らかの障害、病気を抱えた両親の狭間で辛い思いをしている孫ーゆるゆる子育て実践編
2024年5月13日 pulusu

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:何らかの障害、病気を抱えた両親の狭間で辛い思いをしている孫
年れい: 年齢を選ばず質問したい

質問内容

 

私の娘は何らかの精神病を抱えています。
10代の頃から自傷行為、過食、拒食、引きこもり、死にたいという気持ちを経験してきました。
いくつかの心療内科に相談しましたが、いく先々でこれといった病名は付かず、20代に入って自分の居場所を探すかのように付き合いはじめた人の子供を妊娠し結婚しました。
妊娠中から夫の生活の乱れや困った癖などで安定した生活ができず、生まれるまでの半分は実家で過ごして出産しました。
かわいいと思える時は猫っ可愛いがりしましたが、泣くと叩いたり無視したりしていて、娘自身もこのままだと子供に取り返しのつかない事をしそうで恐くなるようで、助けを求めてきました。
その度に長く実家に滞在しました。
娘の夫は子供のように自分の趣味に没頭し、お金の使い過ぎなどの問題を起こしてきました。
孫は今、小学生になりましたが、学校へ行くのを嫌がったり、子供にはよく有りがちなヤンチャや聞き分けられないことなどあり、その度に娘は「こんな子、死んでほしい、消えてほしい、ムカつく」などと言ったり、自分も「死にたい」と言います。
娘の夫はやはり自分の事で頭がいっぱいで、話しかけてもいつもスマホから目を離さず、空返事だそうです。
長くなりましたが、孫ももう自分の意思を表すようになり、ばぁばの家で暮らしたい、と言います。
近くに住んでいて、一人で来られるようになり、来れば帰るのを嫌がります。
娘は孫が実家で暮らすのは絶対に嫌だと言います。
その理由が、自分の子供も育てられないダメな人間だと世間に見られるのはごめんだ、というのです。
娘も自分自身のことで悩んでいると思いますが、幼い孫がどんどん心を病んでいってしまうか、もしかしたら傷害事件にでも発展しないかと心配です。
娘は相談窓口や医療機関へ行く事はどうせ何にもならないと行こうとしません。
私は、どう助けたらよいでしょうか。

 

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
娘さんのこともお孫さんのこともそれぞれ心配ですね。本当であれば、娘さんがお孫さんを育てられるようにサポートしていきたいところですが、娘さんにあまり余裕がなく、ご自身のことだけでも精一杯という感じなので、なかなかお孫さんのことまで気持ちが追いつかないのだろうなぁと思いました。すぐにぱっと状況が改善できるとも思わないのですが、一旦こういった場合のどんなふうに支援の方向性を考えたら良いかについては少しお話しできるかもと思ったので、その点についてお伝えできればと思います。

 

まず、一番優先的に考えなくてはならないのはお孫さんのことだと思います。
相談者さんにとっては娘さんもお孫さんもそれぞれ大事な家族だと思うので、どちらを優先すべきか…と悩まれると思うのですが、基本的にはより小さい子どもの健全な育ちを支え、守るという観点が重要であるため、お孫さんのことについて考える方が優先順位として高いのではないかと思いました。
理想としては娘さんが相談機関や医療機関につながり、状態が落ち着いてお孫さんの子育てについても何らかのサポートを得ながら取り組めるのが良いと思うのですが、今回のご相談を読ませていただくと、現状でそれを望むことは難しいと感じました。
であれば、今の状況であったとしてもお孫さんにできること、少しでも助けになることは何かと考えることが大事かと思います。それは相談者さんのお家にいさせてあげることだったり、ご飯や衣服などを準備してあげることだったり、生活リズムを整えてあげることだったり、一緒に遊んであげることだったりと、いろいろなことがあると思うのですが、まずは相談者さんが今できていることを続けてあげるのが何よりの助けになるのだと思います。

 

そのうえでできることとしては、相談者さんだけでこの問題を抱えないということです。
相談者さんお一人でこの状況をどうにかしようと悩まれていると、いずれ共倒れになってしまうのではないかということを心配しています。また、お孫さんには相談者さん以外にも頼れる大人がいて困ったことを話したり、聴いてもらったりする体験が、これからのことも考えると必要なのではないかと思いました。
なので、娘さんが相談機関にいかなかったとしても、相談者さんがこども家庭センターや児童相談所などに相談して、どのようにお孫さんに関わったらよいのかを伺うことは良いことだと思います。頼りになりそうだったら、担任の先生や学校のスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーの方とかでも良いです。そして、そういった方々にお孫さんにも関わってもらうのがよいと思いました。

 

また、もしできそうであれば「極力、娘さんの問題にお孫さんを巻き込ませない」ということも大事かと思います。
時々、お子さんの前で自傷行為や「死にたい」というような発言、あるいは夫婦けんかなどをしてしまう保護者の方がいらっしゃいますが、それらをお子さんの前ですることはお子さんにとって良いことではありません。どうしてもする際には、お子さんの見えないところでしてくださいと僕はアドバイスすることがあるのですが、今回の娘さんの状態を伺うと、なかなかそういった配慮が難しい状況なのではないかと思いました。
なので、もしできそうならなるべくそういった場面にいなくても済むように配慮してもらえるとよいかと思います。たぶん相談者さんのお家にいる際にはそのあたりが守られていると思うので、その時間はお孫さんにとっては安心できる貴重な時間だと思います。一方で娘さんとお孫さんが一緒にいるときにそういったことをどう防ぐかは改めて検討する必要があります。相談者さん一人で考えることは難しいので、先ほどお伝えしたこども家庭センターや児童相談所などにも相談しながら、どうやったらお孫さんの育ちを支えられるか、あるいは守れるかについて考えていければと思います。

 

改めてになりますが、娘さんもお孫さんもどちらも大切にしたいお気持ちはあって自然だと思います。ただ、どうしても年齢が小さいお子さんの方がより受けるダメージは大きいので、その点を考えながら相談者さんのできるサポートをしていただければと思いました。大変な対応だと思いますので、相談者さんご自身のお身体も大切にしながら、取り組んでいってください。

 

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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