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Q43. 子どもに興味がわかなくなってきてしまいましたーゆるゆる子育て実践編

Q43. 子どもに興味がわかなくなってきてしまいましたーゆるゆる子育て実践編
2022年12月5日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:子どもに興味がわかなくなってきてまった
年れい: ~就学前

質問内容

 

こどもが生まれてから2歳くらいまでは過保護すぎるくらい可愛がり、褒めたり面倒を見ていたのですが、3歳を過ぎてから何もかも面倒くさくなってしまい、怒りっぽくなってしまうことが増えました。とりわけ、子どもとごっこ遊びをするのが苦痛で相手を少しするだけで疲れてしまいます。トイレや着替は付き合うのですが、食事は一人で食べていても直ぐに飽きたりこぼしたりするのでイライラするためなるべく見ないようにしています。もっと子どもを可愛がったり褒[ほ]めたいのですができずに苦しいです。

 

おがてぃの回答

 

ご相談ありがとうございます。
お子さんに限らず、ご家族と向き合うことが嫌になってしまうと日々の生活がしんどくなって苦しいですよね。とてもお辛い状況かと思います。
また、自分の子どもを可愛く思えず、面倒だと思ってしまうことは、周囲の方に理解してもらうことが難しい場合も多いので、なかなか相談することもできなかったのではないかと推測しています。そうなるとますますしんどさは積み重なるので、よりお子さんとの関わりが難しくなるという悪循環があったのではないかと少し思いました。
そのような中なのでメールをお書きになるのもエネルギーのいることだったのではないかと思います。なので、まずはメールをくださったこと自体が大変な取り組みであり、その取り組みをしたということ自体が、もう少しお子さんとの関係を良くしていきたいというお気持ちの表れだと思ったので、決してお子さまのすべてが嫌いになってしまったわけではないのかなと思っています。

 

僕が今まで子育てに関する相談を受けてきた中で、お子さまのことを可愛く思えない、子育てがしんどくて面倒くさい、どうしても一緒にいるとイライラしてしまうというお話を伺うことが時々ありました。
いろいろなパターンがあって、生まれた直後から嫌だったということもあれば、思春期になって急に言うことをきかなくなった、3歳くらいでイヤイヤ期になったということもあれば、下の子が生まれてから上の子が疎[うと]ましく感じるようになったなど、年齢や家族構成が変わったり、お仕事が忙しくなったり、お引越しされたあとで余裕がなかったりなど、その要因は多岐[たき]にわたりました。

 

なので、今回相談者さんがどのようなことからそのようなお気持ちになったのかは現時点ではわからないのですが、何かアドバイスできることとしては①無理しないでつきあう②ご自身の回復を意識する③ひとりで抱え込まないの3点かなと思いました。

 

①の無理しないで付き合うに関しては、そもそも親子での相性が悪いということが時々あるので、その場合は無理やり仲良くしようとせず、ほどほどに付き合う方がお互い良い関係を築けるということです。
今までろいろな人の相談を受けていく中で気づいたのですが、どうも僕らの中には「家族は仲良くないといけない」という思い込みがあって、それに縛[しば]られることでお互いに苦しくなってしまうということが時々あります。これは社会通念として刷り込まれた家族像みたいなものからそう考えるようになっているのだと個人的にはとらえているですが、実際には親は親、子どもは子どもとそれぞれ違う人間なので、100%同じ価値観や感じ方を持つということは不可能ですし、どこかしらは合わない部分があります。また、共に生きる年月の中でそれらが変化することもあるので、かなり流動的なものだとも思っています。
なので、とにかく家族なんだから…とこだわりすぎてしまうと、余計に関係が悪くなってしまう元なので、家族相手でもほどほどに付き合うくらいがちょうどよいのかなと思っています。
ただ、お子さんの年齢が小さいとどうしてもお世話をしないといけない部分があるので、どうしても関わらざるを得ないということがあるかと思います。それは一定、しょうがない部分もあるのですが、「親だからしっかりやらないといけない」と思いこんでいる部分もあるかもしれないので、その部分を少しゆるめられると少し楽になるかと思いました。だから、食事も安全面とかは気にしないといけないかもしれませんが、そこまで無理に見なくて良いかなと思いました。

 

②に関してはご自身が疲弊[ひへい]していて余裕がないと、お子さんをはじめとする周囲の人に気づかうということも難しいというところがあるということです。
ある種、燃え尽き症候群のように、3歳まで頑張ってきたのが、今までの疲れもあって一気に疲労感がきたということもあるかもしれないですし、身体や心の調子が落ちているということもあるかもしれません。また職場復帰や保活、近所のママさんとの関係もあればパートナーやご実家との関係など、いろいろなことがストレスになっている可能性もあるので、一度ご自身の状態が今どのような状態なのかを振り返り、少しでも楽に、過ごしやすくなるように生活を見直してみてもよいかなと思いました。

 

子ども情報ステーションにもセルフケアのツールがいくつかありますが、ストレスコップなどを使ってみてもらうのもひとつかと思いました。ご自身の回復になることはいろいろあります。なかなか取り組むことが難しいという場合はちょっとしたことからでかまいません。
僕もしんどかったときはじめにやったこととしては「朝のコーヒーをインスタントからドリップコーヒーに変える」ということで、コーヒーの香りを楽しむことが、自分を大切にして回復にする一歩でした。また、楽をするということで「10分だけ遅く起きる」みたいなことをしたこともありました。そのくらいから初めてちょっとずつ自分を大切にするということはどういうことなのかを味わっていけるとよいかと思います。もちろん、もっといろいろで競うならもっとやっていただいてかまいません。

 

③に関しては、先ほどの話につながるのですがこういった悩みはなかなか周囲の人に相談することが難しいものです。なので気軽に話すということがしにくいのですが、一方で自分の中でずっとため込んでしまうとますますお子さんと関わることがしんどくなることもあります。
なので、ひとりで抱えずに上手く周囲の人と悩みを共有していけるとよいかと思いました。お伝えしたように100%価値観や感じ方を共有することは難しいものです。だから伝えたとしてもわかってもらえなかったと感じて逆に傷ついてしまうこともあるかもしれません。ただ、逆に100%まったくわかってもらえないということも少ないので「この人と共有できる部分はどんなところかなぁ」と話を小出しにしつつ、わかってもらえる部分だけわかってもらうというくらいの感じでお話しできればと思います。多少しんどさを感じ取ってもらえれば、相手から何か手伝ってくれることもあるかもしれません。そうすると自身の回復のために使える時間や機会がちょっと増えるかもしれないので、いろいろ試しながらやっていけるとよいかと思います。

 

いろいろと書いてしまいましたが、子育てはやはり大変な営みかと思います。親だからできて当たり前ということはまったくないと思うので、相談者さんが相談者さんなりのやり方でやっていければそれでよく、その方がお子さんにもプラスになるのでないかと思っています。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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