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Q31. 昼夜逆転ーゆるゆる子育て実践編

Q31. 昼夜逆転ーゆるゆる子育て実践編
2021年10月11日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 昼夜逆転
年れい: 中学生

 

質問内容

 

中1の娘は入学して2週間くらいから渋るようになり、遅刻、早退などからそのうち通えなくなりました。原因色々のようですが人間関係に気を使いすぎたり、クラスの雰囲気、男子からのからかいなど、重なり心身ともに疲れ果てたという感じでした。
休み始めてから気を遣いながら休んでる感じで、そのうち感情が波なように荒れたり泣いたり起こったり落ち込んだり、とても辛そうでした。夏休みも入り随分と家でも明るくなりましたが、それでも、まだまだ子供なりに考え、罪悪感、孤独感、からの不安に落ちることもあります。
最近は、夜中まだYouTubeなど見て過ごしてます。聞くと、ママたちとは違い昼間は生きづらい。明るいしうるさいと。だから夜中が1番すき。そんなことを言います。
あの子の気持ちはよく分かりました。でも聞いていて切なくなりました。どんなあの子でも受け入れてあげると決めたはずなのに、なんとかしたいの思いから、私が辛くなってます。改善してあげる方法、声かけとかありますか?

おがてぃの回答

 

メールをいただき、ありがとうございます。
お子さんもメールをくださったお母さんもそれぞれ辛い状況ですね。昼夜逆転もさることながら、不登校である際のご自宅での過ごし方ということで、お答えしていけるとよいかと思いました。

 

まず、お子さんが学校を休めたこと自体はよかったことなのではないかと思っています。なぜかというと、自分が辛い、苦しい、しんどいと思ったときにそれを自分で理解し「学校に行かない」という選択ができたからです。ご自身の心身からくるサインにきちんと気づき、自分を守るという選択ができたといってもよいでしょう。
今まで不登校やひきこもりの相談を受けてきましたが、ときどき「もっと早い段階でひきこもれていれば…」と思うことがありました。無理をしてずっと学校や会社に通い続け、心身の具合が本当に悪くなってから行かなくなると、回復にもそれ相応の時間がかかることがあったからです。

 

日本だと、学校に通うことが当たり前であるという前提があるので、この辺りは理解してもらいにくいのですが、例えばブラック企業にずっと勤め続けるようなものだと思ってもらえるとよいでしょうか。
自分に合っていない、仕事が大変な会社に、いくら仕事とはいえ調子を崩したままずっと勤め続けていれば、心身の不調は悪化して、いずれは動けなくなってしまうので、早い段階でお休みするか、転職した方がその方にとっては有益だというのは皆さんわかるかと思います。自分に合わない学校に通い続けるということはそれくらいストレスフルなことなのだということを伝えておきたいと思いました。

 

また、学校に行かないとすぐお子さんに精神的な病気や障害があるのではないかとみなされることもありますが、みんながみんな病気や障害があるわけではありません。純粋に学校での集団授業や団体行動、時間割をはじめとするスケジュールに合わないということはありえます。だからすごく特殊なことだとは思わなくてよいのでないかと思っています。

 

そのうえでのお話なのですが、今は昼夜逆転していても仕方ないのではないかと思いました。基本的に不登校のお子さんで一番しんどい時間というのは朝7時から9時くらいです。どうしてかというと、どうしても登校を意識せざるを得ないからです。そしてその後も日中起きていると、どうしても「ああ他の子は学校で勉強しているんだろうな」「私は何をしているんだろう…」など考えてしまい、とても辛い気持ちになることがあります。

 

そして、だいたい夕方くらいになると学校も終わり、自分が外に出ていても不自然じゃない時間帯になるので、そのくらいから気持ちが落ち着いたりすることがあります。そう考えるとお子さんが夜中の方が落ち着くという気持ちも少しは理解できるのではないでしょうか。

 

不登校やひきこもり中に昼夜逆転になっているお子さんは多いのですが、実際には少しずつ回復していくとそれらは自然と直っていくことが多いです。どうしてかというと日中活動したいことが出てくるからです。
不登校のお子さんの回復は決して学校に戻ることばかりではなく、「自分のしたいことができるようになる」「自分の行きたいところに行けるようになる」ということが目標の一つとなります。なので、学校以外で日中行ってみたいところややってみたいことが出てくれば、昼夜逆転は直っていくことが多いのです。
今はお休み期間ととらえて、お子さんのやりたいことをして過ごさせてあげて、ちょっとずつ自分のしたいことが増えていくようにしてあげられるのがよいかと思いました。

 

ただ、昼夜逆転はしていてもよいのですが、睡眠時間があまりとれていないのはちょっと問題になるかもしれません。今は大体どのくらい一日寝られているでしょうか? あまり一日の睡眠時間が短いとそれが精神的な不調につながってしまうこともあるので、その場合は一度お医者さんにかかってみるのも大切かと思います。

 

また、たまに感覚の過敏さがあって音や光に強く反応してしまい、それでしんどくなってしまうお子さんもいます。この場合は学校以外の場所でも大変さが続くので具体的な対処(例えばサングラスをする、ヘッドフォンをする、人の多い場所は避けるなど)が必要な場合もありますので、その場合はお子さんと少し話し合って、どうすると外出しやすくなるのか検討してみてもよいかと思います。

 

いかがでしょうか。お子さんを見守ることは相談者さんにとっても「今後どうなってしまうのだろう…」と心配になることかと思います。そういった場合は同じ不登校のお子さんを育てる親御さんの集まりに行ってみたり、自治体の運営する教育相談室などで個別相談ができるとよいかと思います。
親子で機嫌よくお家で過ごせることが回復には何より大切かと思いますので、相談者さんも思いつめないよう、ご自身のケアも大切にしながら日々を過ごしていただければと思います。

 

参考

》全国の親の会 | NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク (futoko-net.org)

》各教育委員会が設置している相談窓口一覧:文部科学省 (mext.go.jp)

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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