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Q25. ADHD、自閉スペクトラムなどの母親です、姉妹の学校生活、対人関係の心配についてーゆるゆる子育て実践編

Q25. ADHD、自閉スペクトラムなどの母親です、姉妹の学校生活、対人関係の心配についてーゆるゆる子育て実践編
2021年3月15日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 注意不注意型ADHD 自閉スペクトラム 聴覚情報処理障害(APD)の母親
年れい: 小学1-3年, 小学4-6年

 

質問内容

専業主婦で、来春2年生 4年生になる姉妹を育てています。
子供達が幼い頃は、自分の特性も理解できていないまま、家事、育児の負担が重く、火の消し忘れでボヤを起こしたり、鍵をドアにつけたままだったりとにかく毎日たくさんの失敗がありました。
10年かけて物を捨て続け、
・一つずつしか手をつけない
・火をつけたらタイマーを必ずつける
・揚げ物は主人がいるときだけにする
・とにかくふせんを貼る など
今は医師のアドバイスに従い自分で失敗しにくい工夫を凝らし、家の環境も整って混乱せずに暮らせるようになってきました。
家に物は一般家庭の10分の1程、TVの音もごく小さい、そういう暮らし。

 

下の娘は、入学当初教室から校門を出て脱走、登校中に道を変えて1人どこかへ行ってしまったり、やっと教室の椅子に座れるようになったら、ドアから授業中でちゃダメと言われて、窓から脱走したり、避難訓練のベルでパニックになって泣き叫んだりしていましたが、3ヶ月ほどで落ち着き他の子と同じように過ごせて、今では嫌なことや困ったことにも自分で判断して過ごせるようになりました。

 

上の娘は、正しくないことをしているクラスメイトが許せないで腹を立て、低学年のうちは乱暴な物言いで注意する事をやめられず、相手を泣かせても平気。そんな感じでした。
3年生になる頃には、いろんな子がいるというのを理解して、注意してまわるのは減りましたが…正しくない事をやめてくれない理不尽な物言いで強い態度に出るクラスメイトに対して、言われた相手はかなりの嫌な気分しか残らないような、対応を続けています。(交換丸付けで、正解してるのに×とつけて返してくる男子相手に「死ねばかクソ!」と言って泣かせ、他の女子に「言い過ぎじゃない?」と言われ嫌われる)(自分の席に座っていた子に、「どいて」と言ったら「はぁ〜?さっきは空いてたし!」などとぐちゃぐちゃ言ってどかない子にぐうの音も出ないほどの物言いでいいまかす)
4年生になれば 女子で口の立つ子も増えるでしょうから、応戦すべくさらに悪い方向に口汚く成長しクラスメイトからも嫌われて孤立していくのだと思うと怖いです。
教室はいろんな家庭の子が39人集まってる。うちの家での当たり前は、他ではみんなそれぞれ違う。その子のちゃんとやってる=あなたのちゃんとやってるじゃない。必要なことは先生が注意する方人を注意するのはやめよう、と言い続け、落ち着いてきたのに、嫌な事をやめてくれない相手に対応しきれていません。世の中にも教室の中にも、いつだって理不尽な主張をしてくる人間はいる。と、ニュースなどを見ているときも説明しています。どんなふうに、娘に話せばいいのでしょうか?
父親は口がかなりきついので、口汚くやり返して良いという感じです。ランドセル蹴られたと娘が言えば、「蹴り返せ、口に石詰めてボコボコにしてやれば良いじゃん。俺なら許さない」と言った具合で、ぜんぜん参考になりません。
家庭の中では「絶対」というキーワードが多いなか、娘たちもキツく育たざるえなかったので、人をゆるしたり穏やかに受け流す。そういうのを知らない環境でここまできてしまった。部分もあるかと思います。

 

あとひとつ。
家が何もない、静かであるといったように、失敗しないように、私が暮らしやすい、私が楽な暮らし方を徹底している為…
娘たちが入学当初・トラブルのあるときなど学校で強いストレスを抱えているとき「教室がうるさいのが嫌 人が多いのが嫌」(私が学校に半日付き添っていた時期に耳栓をしていたためか)「耳栓したい。でもみんなに文句言われるからムリ」などと言います。
私の家の環境の普通は、子供達にも普通の環境となっている為、学校生活をおくる際、不快に感じる要因が多いようです。
家の中のルールは教室のルールと違うよ!みんなそれぞれ違うんだよ。というのは、だんだんわかってくれていますが、今後、家の中の環境で子供たちのために変えたり工夫したほうが良いことは何かあるのでしょうか?
どうぞ、アドバイスお願いします。

 

おがてぃの回答

 

メールでご相談くださりありがとうございます。お母様ご自身も発達の特性があり、生活上でもいろいろ工夫しながら家事や子育てなどをなさっているのですね。日々ご苦労も多いかと思いますが、主治医の先生のアドバイスなども参考にしながら生活しやすい環境を整え、いろいろと工夫されていることがわかりました。なるべく物を減らし、シンプルな生活を心がけていられるというのは良い工夫だなと思いました。

 

今回のご相談では2人のお子さまのことのうち
① お姉さまの学校での対人関係に関すること
② お二人の学校生活に関すること
についてのご相談かと理解しましたので、その2点についてお話ししたいと思います。

 

① お姉さまの学校での対人関係に関すること

現状ではまだ、お友達がなぜ自分の思う正しいことをしないのかすぐに理解するのは難しいのかなと思いました。
ただ、いろいろな人がいるということに関しては理解しつつあり、その点では成長がみられるので、少しずつ相手に対する認識は変わっていくのではないかとも思いました。

一方、お友達に対する関わり方、特に乱暴な物言いという点をお母さまは気にされており、この部分が悪化しているのではないかと心配されているので、この点を改善していけるよう関わっていければと思います。
この乱暴な物言いに関してなのですが、お姉さま自身は乱暴な物言いを「正しいこと」として認識しているのでしょうか? もし、そうなのであればより丁寧な伝え方の方が相手に伝わりやすいし、トラブルも起こりにくいことを伝えて、まず相手に意見することは良いこととして、言葉づかいの方を取り上げて改善していってはどうかと思いました。
その際には「アイ・メッセージ」と呼ばれる伝え方を説明して「私は○○だと思った」「私は××と言われてイヤだった」と自分の意見を伝えられるよう促しても良いかと思います。自分の意見を伝え、それで必ずしも相手の態度や行動が変わるわけではありませんが、意見を伝えること自体は悪いことではないと説明して、相手との関係が悪くなりすぎないよう配慮できればと思います。
こういったことを伝えていく際には、親御さま自身がモデルとなって実践していくと伝わりやすくなるので、まずはお母さま自身がお子様たちやパートナーの方に対して「アイ・メッセージ」でお話していけると良いかと思います。
また、言葉遣いを身につけていく際には、乱暴な物言いを注意するよりもより丁寧な言葉を使えた時にそちらをほめたり、注目したりできると良いかと思います。もし、親子で取り組んでいけそうなら、丁寧な言葉をどのくらい使えたかで、お子様が楽しめる時間を増やすなどの取り組むためのモチベーションが上がる工夫ができると良いかと思います。

 

②お二人の学校生活に関すること

音に対する感じ方は人それぞれなので、もし仮にお母さまが家庭でさまざまな工夫をしていなかったとしても、お子様たちが学校でうるさく感じることもあるのではないかと思いました。
その場合、なかなか学校内で我慢するのも限界があるのではないかと思うので、担任の先生などと相談して、耳栓など実際に音のうるささが軽減できるように配慮しても良いのではないかと思います。
その際、お子さまたちには、自分なりに対処することは何も悪いことではないことも併せて説明できると良いかと思います。近眼の人がメガネをかけるように、音に対して人よりもうるさく感じたりする人は耳栓をするのだと説明できると良いかと思います。
また、学校は休み時間などが特に騒がしいので、人の少ない場所(図書室や保健室、スクールカウンセラーのいる相談室など)に避難したり、自分の世界にこもってその場をやり過ごせるような対処をしたりなどできればと思いました。

 

お母さま自身も発達の特性があるのであれば、お互いのやりとりや生活を過ごしている中でも合う部分と合わない部分があるかと思います。無理に同じように生活するのではなく、お互い過ごしやすいようにしていくことが大切ですので、日々の生活の中でそれぞれが自分のペースで楽しめる時間を作りながら、ゆるゆると関わりあっていけると良いかと思いました。多様性を尊重し合いながら、日々を過ごせればと思います。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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