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作者チアキ・インタビュー『ゆるっとこそだて応援ブック』

作者チアキ・インタビュー『ゆるっとこそだて応援ブック』
2021年3月1日 pulusu

『ゆるっとこそだて応援ブック』(ぷるすあるは,2020)について。作者チアキへのショートインタビューです。youtubeのライブ配信を編集しました。


目次(主な内容)


・どんな本ですか?
・だれにどんなふうに使ってほしいですか?
・いくつかのページについて教えてください
『きもち』
『伝え上手になる』
・本のアイデアが生まれたところ
・ナビゲーターについて、マメについて
・表紙のモザイク
・制作で難しかったこと
・こうあるべき、から楽になるには
・ゆるっとこそだてのコツ
・頼るって難しい…
・ゆるっとケア3点セット

ー『ゆるっとこそだて応援ブック』はどんな本ですか?

 

ちょっと肩の力をぬいて、だれかに頼ることを応援する本です。

 

ーだれにどんなふうに使ってほしいですか?

 

子育て中の方はもちろん、まわりの支援者の方にも手にとっていただきたいです。
ストーリー仕立てではないので、自由な読み方ができます。
しっくりきたページをお守りがわりに。その日のコンディション、お子さんの年れいなどでも、ふむふむというところはちがうのかなと思います。

 

ーいくつかのページをピックアップして教えてください

 

「きもち」(p6-7)
生きてる中で、「嬉しい」と「しんどい」が同居してたり、「助けて、ダメ、疲れた」と「スキ、かわいい」が同居していたり、あると思います。
どんなきもちも否定せずに、どんなきもちがあっても大丈夫、というメッセージをこめました。
それから、家族だからって気持ちが通じるわけではないです。
良かれと思っても愛情のどしゃぶりは、やめてー傘が折れちゃうよ、小分けにしてください….というマメの声なんかもあります。

 

「伝え上手になる」(p30-31)
お気に入りのページです。
伝えることを紙に書きだす工夫を入れています。
書いて眺めて相手にできるかを見極めたり…。
「伝えるカード」もついていて、伝えきれないことは、カードで伝えることもいいのかな。
アイメッセージというんですが、自分を主語にして話すことや、話すシチュエーションも大事なので、そんなヒントも書きました。

 

ー本のアイデアはどこから生まれたんですか?

 

精神疾患をもちながらの子育てを応援する本でもあります。
精神科の看護師として、地域でながく仕事をしてきて、精神的にしんどい親御さんとお話しする機会が多かったです。そこで伝えてきたことや、一緒に考えた工夫を盛り込んでいます。

 

ーナビゲーターについて教えてください
特に「マメ」の存在がユニークです

 

「マメ」は子どもナビゲーターで、リトルチアキ(自分の子どもの頃)がモデルです。そして、ソーシャルワーカーのカトさんが登場します。
私は落ち着かない家で過ごしたんですが、精神的に不安的な母はだれにたよることが苦手でした。
どんなサポートがあったらよかったかな、どんな声かけがあったらよかったかな、というのをマメに託しています。

 

ー表紙のモザイクの絵にこめた想いは?

 

今回は、『生きる冒険地図』(学苑社,2019)とはちがって、中身をポップなかんじにしたので、表紙もポップに。
もともとモザイクは好きです。
いろんな色やいろんな形があっていいよな。
いろんな個性、親は親、子は子、それが家族そのものだし、そんな社会だといいなという想いをこめて描きました。

 

ー制作で難しかったことがありますか?

 

どこにあわせるか?というところ。
お子さんの年齢も幅広いし、世代をこえて伝えたいことってなんだろう?と考えたり、いろんなテーマがあるなかで、なにをとりあげるか、しぼりこむのが難しかったです。
結果的に、お子さんの年齢によらず、一貫して、だれかにたよっていいよ、というメッセージになっています。

 

ー「こうあるべき」から楽になるにはどうしたらよいでしょう?

 

…むずかしいですよね。
理想を求めるのはいいことだけど、べき思考が強くなると、調子がいいときはうまくまわっても、調子がよくないと途端に自分の首をしめてしまう。
親なら、大人なら、母親なら、父親なら・・・
普段から、べきから離れるのを少し意識できるとよいかなと思います。
役割にしばられすぎてませんか?というメッセージもかいています。

 

そして。
こうあるべきは、社会が押し付けているところがあると思います。
親だったらこうで当然、から解放されるように…社会へのメッセージでもあります。

 

ーつづけて、ゆるっとこそだてのコツを教えてください

 

これもむずかしいですよね…。
ひとりでがんばりすぎずに、しんどくなりすぎるまえに誰かに頼るということでしょうか…。
子育てだけでなく、仕事やほかの場面でも。
だれかにたよることを、社会全体でもよしとできるように。
インスタント食品も、家電も、手抜きしてもいいんだなと。「疲れているときは手抜きしようしよう」と。
社会もパートナーや祖父母も… だれかに頼ることを応援、少しゆるっとできるように。

 

ー頼るってむずかしいです…

 

頼れ頼れといってる自分が実はすごく苦手で…
どうにもならないところまでいってしまうこともあります。
頼るって、練習もあると思います。練習して少しずつうまくなっていけるといいかな。
大人だって相性があるし、一人目の人とは気持ちが通じわないかもしれないけど、あきらめずに3人目、4人目と…(これは「脱・孤立」のページに)
そして、大人が頼る姿をみて、それを子どもがみて学ぶ機会になるといいな、子どもだれかに頼れるようになるといいな、と思います。

 

ー「ゆるっとケア3点セット」があるとのことですが

 

はい。
「ポジティブワード集」「イイトコ探し」「ハッピーリスト」(p40-45)です。
自分がまずやってみる。ポジティブワードは自分にほめる言葉をかける、イイトコ探しも、人と比べずに自分に。そして、気分転換もまず大人から。
コツは自分に優しく、どれだけいたわれるかです。
オススメなのでぜひやってみてください。

 

ー『生きる冒険地図』と一緒に使えますか?

両方あると、子どもの気持ちに近づけたり、親御さんにちょっと気を楽にしていいよを伝えられたり、両方あるとお役に立てる感がふえるのかなと思います。

 

ーどういう場所にひろがるとよいでしょうか?

 

『生きる冒険地図』をひろげてくださってありがとうございます!
こちらの本も子どものまわりに、そして保健センターや子育て支援センター、保育園、小児科などもいいと思います。

<ゆるっとこそだて・だれかにたよることを応援>のメッセージは「社会へ」もっと届けたいなと思いました。多くの大人の人が手にとって本を見られるように、たくさんの場所に置かれるように、広げていきたいと思います。読者のみなさま、活動を応援してくださるみなさま、ぜひ協力いただけると心強いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。

 

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