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Q1.癇癪[かんしゃく]がひどくて困っていますーゆるゆる子育て実践編

Q1.癇癪[かんしゃく]がひどくて困っていますーゆるゆる子育て実践編
2019年1月12日 pulusu

ゆるゆる子育てを担当している臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 癇癪
年れい: 小学4-6年

 

質問内容
小学5年男児の母です。
怒りのスイッチが入ってしまうと、癇癪がひどく困っています。小さい頃から泣き出すと止まらなかったり、気持ちを切りかえるのに数時間かかる子でした。去年、担任の先生と合わず、ますます癇癪がひどくなり他害も始まりました。家族だけでなく、先生にもたたいたりけったり。
今年は学校での環境を整えてもらい、頻度はかなり少なくなりました。しかし癇癪が出ると他害や物を投げる、暴言をはくなど、度合いはひどくなってきているようです。
きっかけは、自分のあやまちを指摘されたときや他人のルール違反[いはん]が許せないとき等。つかれていたり体調があまり良くないのに自分で気づけない時もある気がします。

中学入学まであと一年ちょっとなのに、こんな調子なので中学で問題にならないのか心配です。

おがてぃの回答

 

メールをいただきありがとうございます。
癇癪がひどいとのこと、日々とても対応で悩[なや]まれているだろうと推測[すいそく]しています。癇癪の相談は時折受けることがありますが、すぐにピタッとおさまる方法というのはなかなか見つからず、対応について僕自身も頭を悩ませていることが多いです。ただ、そんな悩ませている今までの経験から、保護者の方と主に3つの点を大事に進めていくことが多いなぁとメールを読みながら思いました。

 

ひとつは、本人は癇癪のことをどのように思っているかです。

 

能力的な問題がそれほど大きくなければ、だいたい小学生高学年くらいから、大人と言葉で自分の気持ちに関するやりとりができるようになってきます。癇癪を起こすことで本人自身も困っているようでしたら、僕はそれをテーマに本人と話し合っていくことにしています。
その際は自分の癇癪に名前をつけてもらうようにしています。
「おこりんぼ君」とか「もう一人の僕」とか、最近だと「ダークサイド」とかいう子もいました。
それすることで少し距離[きょり]を取って癇癪を起こす自分について理解してもらい、どんな時にかんしゃくが起こりやすく、またどうやっておさめることができているのかを考えていきます。(専門的には「外在化[がいざいか]」と言います)。
この時のコツとしては「一緒に研究しているように関わる」ということで、大人が子どもの問題を解決するのではなく、一緒になってどうしてこういったことが起こっているのか調べてみるというスタンスが必要になります。

 

癇癪の問題は大人も起こしている子ども自身も冷静に検討[けんとう]することが難しい課題です。どうしても加害者、被害者が生じるので、感情的になりやすい話題だからです。
なので、少しでも冷静に話し合うにはこの「研究」というような、いつもと一風ちがった視点で、起こっていることをとらえなおすと、アプローチしやすくなります。

 

ふたつ目の視点は「癇癪を起こしていない時はどんな時か?」とか「癇癪はどのようにおさまっていくのか?」ということについて検討していく視点です。

 

癇癪を起こすとインパクトが強いのでそのことが印象に残りやすいのですが、癇癪を起こしていない時もそれなりにあるし「癇癪を起こしそうだったけど起こさなかった時」ということがあるかと思います。
そういったところを解決の糸口としてとらえ、それを意図的に起こすことで癇癪を起こさない、あるいは癇癪を起こしてもなるべく早く収めてられるようにしていくというアプローチが大事になっていきます。

 

もしある程度「こうやると癇癪が起こりにくくなる」ということが見えてきたら、実際に記録を取ってみて、それらが有効に働いているのかどうか調べてみるとよいかと思います。
これも「研究」の視点になりますが、実際に起こっていることを見つめなおすという作業がとても大事です。しかもこの記録を日々の反省に使うのではなく「意外とできてる時もあるじゃん」と本人のポジティブなところに目を向けつつ、おこなっていくことが大切になってきています。

 

 

癇癪はそれに伴って本人も周りも傷つくので、お互いに自尊心も傷つきます。なので、それを子どもも大人も癒[いや]していく必要があるので、それを意識して行えるとよいかと思います。

 

最後の3つ目は「本人も保護者もゆるゆると取り組む」ということです。

 

当たり前の話ですが、何か問題が生じると人はそれを早く解決したくなります。しかし、気持ちとか感情の問題に関してはすぐに解決が難しいことが多く、日々少しずつ取り組みながら、山あり谷ありでだんだんと良くなっていくということが多い気がしています。また焦る気持ちがあると余計に気持ちに負荷がかかって悪化する気持ちがあるので、なるべく課題を小分けにして、ちょっとずつ取り組むといったことが大事かなと思います。

 

メールに書かれている方の例であれば、学校の方で環境を整えてもらったことで、少し落ち着かれたとのことで、これは素晴らしい取り組みを保護者も学校側もされたと思っています。
あとはその取り組みからどのくらい学び、どのくらい他に応用していけるかだと思います。
「落ち着けるようなったのは、大人側が何に配慮したからだろうか?」「どんなことに気をつければ子どもも大人もお互いに気持ちよくコミュニケーションがとっていけるだろうか?」を整理し、他の環境に移った際にもそれが使えるようにまとめておけるとよいかと思います。

 

おがてぃ
普段は行政機関で相談員をしています、3児のパパです。
臨床心理士。

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(子育ての質問は、2018年12月にウェブサイトで公募しました。現在、新たな質問は募集していませんm(_ _)m)