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「死にたい」と思っている人の気持ち〜おがてぃのゲートキーパーの話 その2

「死にたい」と思っている人の気持ち〜おがてぃのゲートキーパーの話 その2
2020年12月8日 pulusu

「死にたい」「消えてしまいたい」と言う人と出会ったあなたへ
〜おがてぃのゲートキーパーの話〜 その2「死にたい」と思っている人の気持ち

 

みなさん、こんにちは。 おがてぃです。
前回のコラムは色々な方にシェアしていただき、本当にありがとうございました。今回は「死にたい」とか「消えてしまいたい」と思っている人が、どのような気持ちになっているのかというのを考えてみたいと思います。

 

 

厚生労働省のHPにある研修資料にはそういった時の心理状態について、16の特徴を挙げています。それぞれ…

絶望、孤立感、悲嘆、焦燥感、衝動性、強い苦痛感、無価値観、怒り、投影、柔軟性がない考え方、否認、将来の希望がないという見通しのなさ、諦め、解離、両価性、自殺念慮

となっています。詳細はHPの資料を見ていただければと思いますが、このコラムでは大きく3つに分けて説明してきたいと思います。

 

1.どうにもならなさ

そういった気持ちになっている人は自身の置かれている状況を「自分で変えることができない」「問題が解決できずに永遠に続いていく」「どうにもできないので、ずっと苦しいままだ」という気持ちになっていることが多いと言われています。そのために「自死以外に選択肢がない」「もうどうなってもいい」という心境になってしまうのです。

 

2.自分はひとりで、価値がない人間である

2つ目は「ひとりである」という感覚です。1つ目のどうにもならない感じを共有してくれる人、一緒に考えてくれる人、わかってくれる人がおらず、強い孤独感がある状態になっています。自分が「死にたい」と思った時、気軽に周囲の人に相談できるかというとそうではありません。「相談してもどうにもならない」「こんな重たい話をしたら相手も困るだろう」「自分は相談することにも値しない人間だ」など思っていると、なかなか周りの人に話すことは難しいのではないでしょうか。また、周囲に心配をかけてはならないという気持ちも働いて、自分ひとりで抱え込んでしまうこともあります。

 

3.辛くて、苦しい、でもどうにかしたい

問題が解決できずに孤立しているとなれば、その苦痛からどうにかして逃れたいと思うのは、自然なこころの動きではないかと思います。そして万策が尽きているので、その手段が「自死」という選択肢しか思い浮かばないということなのですが、これは決して日頃からずっとそう思っているというわけではありません。「この状況がどうにかなるのであれば生きたい」「本当は死にたくないと思っている自分もいる」という気持ちもあるということです。ただ、この気持ちはいったりきたりしており、「死にたい」という気持ちと「生きたい」という気持ちの間を常に揺れ動いていることが多いとされています。

 

 

いかがでしょうか。上記のような気持ちになっていれば、どのような人でもその辛さ、苦しさからそういった心情になってしまうことがあり得るのではないかと思います。その一方でこの苦しさや孤独感、どうにもならなさに寄り添い、ひとりにしないということを心がけていけると、相手の気持ちも和らいでいくのではないかと考えています。

 

ただ、この寄り添う関わりはとても難しいことです。周りからはわからないこともありますし、話しかけても「ほっといてほしい」「どうせわからない」など拒絶されることもあると思います。自死遺族の方のお話など伺っていると亡くなる前から心配されていて、いろいろとサポートをされていたというお話もよく聞きます。そして声かけをし、日々サポートをしていたとしても、残念ながら防ぐことが難しかったのです。
まだ、こういった方々への関わりは僕の中でもわかっていないことがたくさんあります。ただ、わからないからといって支援をしない、関わらないということはできません。自分の限界を知りつつ、今の時点できる最善をし、どうしていったら良いのかを日々の中で考え続けていきたいと思います。

 

次回は「死にたい」という気持ちになっている人のサインやサインに気づいた後の声かけの仕方などについて具体的に書いていきます。

 

今回のコラムもシェアしていただけるとありがたいです。「#ゲートキーパーの話」とハッシュタグをつけて、まずは自死に関する知識を持った人が増えることが自死を防ぐことにつながっていくと考えています。
このコラムを読んで学んだ人が増えることで、なかなか支援が届きにくい、人に相談するのも難しいといった方に支援が届くことを願っています。

》厚生労働省ホームページ

》政府広報オンライン

 

※相談先、身近な人を自死でなくされた方のサポートの情報をこのページの最後に掲載しています

 

3.「気づき」〜おがてぃのゲートキーパーの話 その3へ

 


シリーズ目次

1.ゲートキーパーって何?
2.「死にたい」と思っている人の気持ち ←今回
3.ポイント①「気づき」
4.ポイント②「傾聴」
5.ポイント③「つなぎ」
6.ポイント④「見守り」
7.最後に~おがてぃの思うこと~

おがてぃ
臨床心理士・公認心理師

 

相談先の情報

 

》電話相談窓口情報(厚生労働省のページ)

》いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧|自殺総合対策推進センター

》生活を支えるための支援のご案内|厚生労働省(最終更新7/16)

身近な方を自死で亡くされた方の相談先などの情報

》遺されたご家族へ ―自死遺族の方へ―

厚生労働省|こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト内)
遺族のつどいの情報、弁護士による 電話相談(自死遺族ホットライン)、臨床心理士による電話相談などが掲載されています。

》NPO法人全国自死遺族総合支援センター<グリーフサポートリンク>

自死遺族相談ダイヤル(自死遺族のための電話相談)を行なっています。
全国の身近な人を自死で亡くした方のつどいの情報などを掲載しています。