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[必読] 誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか

[必読] 誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか
2017年7月12日 pulusu

過酷な境遇で育った少年が、2014年川口市で起こした事件を追いかけたノンフィクション。著者は、毎日新聞の山寺香記者。

 

夜中に読み始めて、途中少し眠って、朝起きて読み終えました。
事件の日の記述を読みながら、涙が出ました。
その後の手記を読みながら、また涙がでました。

 

この罪は、本当は誰のものなのか?
というオビの言葉。
社会が負うものであり、ひとりひとりの大人が負うものだとしか答えられない。
誰もボクを見ていないとどんな子にも思わせないような社会にしないといけない。

 

そのために自分に何ができるかを考えさせらました。

 

生い立ち、まわりの人の証言、裁判、少年の手記、検証、専門家の意見。
非常に難しいテーマを、多方面から丁寧に真摯に記述されています。
(被害者の祖父母とその家族についてはそれほど言及されていません)
親の方も、性格の問題の認識だけでなく、専門的支援が必要だった可能性についてもふれられています。虐待してしまう保護者の支援、孤立をふせぐことも。
少年・優希[仮名]の力、これから生きていく力も感じます。(そしてだからこそ何か違う道がなかったかと、やりきれない思いにもなります…。)

 

山寺記者には、ぷるすあるはの活動を取材していただいたことがあります。
そのときの柔らかい印象からは想像しなかったような、いえ、今思い返せばその印象のままの、静かな強い意志を感じる本でした。
この本を書いてくださってありがとうございました。
子どもを気にかけている人、応援したいという気持ちのある人全てに、そんなに関心のない人にもぜひ、読んでほしいです。

 

少年の手記より

「・・(中略)・・自分が取材を受ける理由は、世の中に居る子供達への関心を一人でも多くの方に持っていただく為の機会作りのようなものです。」
(少年のことばは、実際に本を手にして、全容とともに読んでもらえたらと思います)

 

著者のことばから

「この事件の関係者への取材を始める前、優希が事件に至る前に、大人や社会から救いの手が差し伸べられなかった理由を、もっと単純なものだと想像していた。・・(中略)・・しかし、実際に取材してみると、そんなに単純な構図ではなかった」

「優希の事件は、子どもたちにとって大人や社会は信じるに足る存在なのか、ひいてはこの社会に生きる意味や価値はあるのかと、問いかけられているように感じる。公的機関はもちろんだが、この社会で生きる大人一人一人の責任が問われている」