心理士おがてぃの勝手にコミュニケーション講座
第2回
おがてぃです。新年あけましておめでとうございます。
一月らしく朝が寒い日々が続いており、ふとんからなかなか出られずに苦労しています。何かよい対応策がないか考えていますが、ふとんの中で丸まっている幸せになかなか勝てません…
さて、今回は以前お話しした「傾聴」の第2弾となります。
(第1弾→ 》傾聴のイメージは8対2─8割は相手の話をききます)
テーマは「なぜ会話を繰り返す必要があるのか?」
なかなかマニアックなテーマとなっております。前回と変わらず、自分が今まで書籍や研修で学んできたことと臨床経験をベースにお話ししていきたいと思います。
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そもそも「傾聴スキル」について書かれている大体の書籍には、その技法のひとつとして「会話を繰り返す」とか「オウム返し」といって、相手の言ったことをそのまま繰り返して伝えるという技法が説明されています。僕が参加したことのあるカウンセリングや心理療法の研修でもそれなりの頻度で説明されるので、相手の話を聴く際には大事なスキルだということでしょう。
ただ、なぜ必要なのかを理解しないまま、このスキルを多用している人が世の中にはいるようでして…それは少し困ったことだなぁと思っています。
先日「話を聴くこと」をテーマに人と話していたところ
「私だったら話をそのまま繰り返されたらバカにされているのかと思う」
と率直に感想を言ってくれた人がいました。
とても良い意見だと思ったので、なぜそう感じるのか考えてみました。
たぶん、会話を繰り返された時に「ちゃんと聴いてもらえていない」「心情がこもっていない」と感じたからではないかと思いました。
なぜ「会話を繰り返す」必要があるのかというと、僕は三つの理由があると思っています。
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1.「あなたの言ったことをちゃんと聴いて、受け止めましたよ」ということを相手に伝えるため
相手の話をちゃんと聞いてないと会話を繰り返すことはできないので、少なくとも繰り返せるくらいは耳を傾けていましたよということですね。
しかも、繰り返して発言することで、相手の言った内容を理解しているように表面上は見えるので(実際には繰り返しているだけなので、必ずしも内容をしっかりと理解しているわけではない)、「受け止めてもらえた」という感覚を相手は持ちやすくなります。
2.こちらの意見を押し付けずに話を聞くため
少なくとも会話を繰り返している間は、自分の意見を保留して話を聴けているので、自分の意見を押し付けるようなことが防げるということです。前回の傾聴の話でも触れたように、人はどうしても自分のことを喋りたくなってしまうので、そういった意味では大切なことかなと思います。
3.「相手の気持ちになってみる」という共感的な態度をもつため
相手の言ったことを自分の意見のように繰り返して言ってみることで、その発言をした相手の心情を追体験してみる、相手の言ったことをじっくりと味わってみる…
そういったことをするために「相手の言ったことを繰り返す」のです。
これはカウンセリングなどでは非常に大切なことです。相手の言った会話の内容もさることながら、それに伴う感情も理解することが大切だからです。
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先ほどの「バカにされた」と感じる人の場合は、たぶん相手が心情を理解しようとせずにただ機械的に言葉を返したことで、何も考えずに答えているのではないかと感じたのではないかなと思いました。
本当に心情を理解しようとして会話を繰り返す場合は、相手の言ったことを味わう時間があります。少し間を持ってから、心情を伴って会話を繰り返すので、少なくともバカにした態度にはならないと思います。
「傾聴スキル」という技法は、なぜそういったことをするのかという理由や目的を意識しないまま用いると、本来の機能を発揮しないことが多くあります。物事を学ぶ上で形から入ることはとても大事ですが、ただ形だけ真似れば良いわけでないことを知っておかないと、上手くいかないのではないのかなぁと思います。
今回は…真面目に語りました。ご意見・ご感想お待ちしております。
→ 》第3回 傾聴では双方向の「非言語コミュニケーション」を意識します
心理士おがてぃの勝手にコミュニケーション講座全12回
きくことについての、おがてぃオススメ本。ちょっと古いですが、内容がしっかりしていて読みやすいです。