おがてぃです。ちあきとの感覚過敏コラムと並行して、発達障害に関する書籍を紹介するコラムも請け負うことになりました。発達障害に関する書籍はあまりにもいろいろとありすぎて、すべてを把握するのは難しい状態なので、このコラムではあくまで、おがてぃが読みやすくて、普段発達障害の方と関わるときに使いやすかったものを中心に取り上げていきます。
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さて、初回のコラムで紹介させていただくのは…
『大人の発達障害に気づいて・向き合う完全ガイド』黒澤礼子著,講談社,2012/1/21
このシリーズは『発達障害に気づいて・育てる完全ガイド』という発達障害の子どもに関する本もあるのですが、今回は大人の方を選びました。なぜかというと本当に大人の方の発達障害の支援をするときにこの本が役に立ったからです。
おすすめポイント
・読みやすいです
・独自の質問紙で自身の発達特性を整理できます
・対応の具体例をご本人やご家族と読み合わせたり実際の支援で役立っています
この本の良いところはまず読みやすい!専門用語なども日常の言葉で丁寧に説明されており、具体的にイメージしやすいので、当事者や家族の方に発達障害について説明するときに重宝しています。また内容も充実していて、専門家の方でも満足できる、かつあまり知識のない一般の方でも読みやすい本だと思います。だいたい発達障害を全般的に取り扱う書籍は専門家向けに難しく書かれて読みにくいか、一般向けに書かれて簡略化されすぎているかと二極化しやすい(もちろんそれはそれでニーズはあると思います)のですが、この本はちょうど両者の中間くらいで「過不足がない」という印象があります。
この本の特徴として、独自の質問紙(基礎調査票と書かれています)が掲載されており、これを記入するだけでもかなり自身の発達障害特性が整理されると思います。
実際の相談場面でも、発達障害と診断されたけれども、自分にどんな特性があるのかイマイチよくわからないという当事者の方とこの基礎調査票を一緒に記載します。そして特性をひとつひとつ確認していくと、グッと自身の特性に対する理解を深めることができました。
さらに、自分が一番気に入っているのが後半に記載されている「対応の具体例」です。本人ができることだけでなく、家族や周囲の人ができることなどがイラスト付きでよく整理されています。
相談の中では、発達障害の当事者やご家族の方とこのページを読み合わせして一緒に学び、実際に今の生活でどの程度それができているのか確認をしておきます。そうすると後でまた何かトラブルや生活が乱れてきたときに、この本を振り返って何が上手くいっていないか本人やご家族と一緒に考えるときに役立ちました。
このように実際の支援で役立てることができたという意味でこの本はお薦めです。発達障害のかたの中には、大人になってから初めて診断を受ける方も少なからずいらっしゃるので、そういった方が発達障害について知るはじめの一歩の書籍としてお薦めできるかと思います。
さて、いかがだったでしょうか?何かこういった本も紹介して欲しいというリクエストがあれば、それにもできる限り答えていきたいと思います。こんな感じでまた書籍を紹介していきますので、今後もよろしくお願いします。ではでは。