およそ小学校中学年〜大人の方に向けたページです。病気について知ることで、かかわりのヒントがえられたり安心につながることがあります。病気の症状[しょうじょう]や経過[けいか]、治療[ちりょう]などは、ひとりひとりちがいます。
(子どものみなさんは、わかりにくいことや、ぎもんに思ったことは、大人の人に聞きながら読んでください。)
更新日:2024年
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書籍『生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患』
認定NPO法人地域精神保健福祉機構
(2023/10/22)
体験者だけが作った精神疾患の教科書ができました
1 精神疾患て何ですか?
精神疾患は、脳[のう]の働きが不調になる病気です。「こころの病気」と呼ばれることもあります。
「精神」「こころ」という言葉を聞くと「気持ち・感情」というイメージがわく人が多いと思います。精神やこころの働きは、実は「脳」が行っています。脳には、イラストのようないろいろな働きがあります。
脳の働きの不調は、次のような症状としてあらわれることがあります。
不調のタイプによって、「うつ病」「統合失調症」などの病気の種類があります。同じ病気でも、症状や経過はひとりひとりちがいます。
まわりから見ると、不可解[わけがわからない]にみえる言動も、本人にとっては理由や経緯があることです。
幻聴([げんちょう]:ほかの人には聞こえない声が聞こえる)や、妄想([もうそう]:現実には起こっていないことを確信してしまう)と呼ばれる症状も、本人にとって実際に起きていることです。
強迫[きょうはく]:同じ考えが頭からはなれずとても不安で確認[かくにん]がとまらなくなるなど
これらの様子がひとつでもあてはまったらすぐに病気というわけではありません。「仕事に行けない、家事や育児ができない、学校に行けないなど、生活に影響[えいきょう]がでるほど具合が悪い」「いくつもあてはまる」「それがしばらく続いている」など、程度や期間をふくめて総合的に考えていきます。
精神疾患からくる身体の不調かもしれないと思ったときも、身体の病気がないことをまず確認します。
3 精神疾患の人はどれくらいいますか?
精神疾患で病院に通院や入院している人は、H29年には全国でおよそ419万人でした1)。一生のうちに、4人に1人が精神疾患にかかるともいわれています2)。とても身近な病気です。
1) 厚生労働省患者調査H29年 2)こころの情報サイト
4 病気がよくなるように、どんなことをするのですか(治療)?
- 薬の治療[ちりょう]などの『医学的なサポート』
- 気持ちを支えたり、病気について学んだり、対処法[たいしょほう]を話しあったりする『心理的なサポート』
- 日常生活や休息、通院[つういん]などを安心して行うために環境を整える『社会的なサポート』
をその人の状態にあわせて行います。
本人の希望、安心、つながり(仲間)、居場所、役割などが、回復をささえる力になります。
精神科の病院では、精神科医がくすりの治療を行いながら、面接を通して、生活や人間関係の困[こま]りごとがへるように、アドバイスをすることが一般的[いっぱんてき]です。
状態によっては、くすりを飲むことで、病気の症状が和らいだり、本人が楽になったりします。症状が重く、休息をしっかりとる必要があるとき、自殺の心配があるときなどは入院治療[にゅういんちりょう]が必要になるときがあります。仕事や学校を休んでしっかり休息した方が良い場合など、診断書[しんだんしょ]を書いてもらえます。
病院にはたくさんの種類があり、入院ができる大きな病院、クリニックといった外来[がいらい]だけの病院、デイケア(生活のリズム作りや、仕事にもどる準備のリハビリテーション)があるところもあります。同じ病気の人たちのグループで行う集団治療などをあわせて行うこともあります。
病院によって、看護師[かんごし]、精神保健福祉士[せいしんほけんふくしし]、心理士[しんりし]など、いろいろな専門[せんもん]のスタッフがいることがあります。
5 なおりますか?
その人によって、病気の種類や症状[しょうじょう]によっても、病気からのいろいろな回復[かいふく]のしかたがあります。
精神疾患の多くは、身体の病気と同じように、早めに対処[たいしょ]をするとその分よくなりやすいです。重い症状が出ても、治療やサポートで、回復して生活している人がたくさんいます。
中には、身体の不調や精神症状が長く続くこともあります。対人面や作業などが苦手[にがて]になり、生活のしづらさが残ることもあります。病気があっても、その人のペースで安心してくらせるように、サービスなどを使いながら生活しやすい環境[かんきょう]を整えます。
(まわりの人から)
病院[びょういん]に行きません、くすりを飲みません・・・
病院に行くことやくすりを飲むことをやめてしまい、病気の症状が出て、家族での見守りが大変なときには、通っていた病院に相談[そうだん]します。
通っていた病院がないときは、家の近くの保健所[ほけんじょ]や精神保健福祉[せいしんほけんふくし]センターでも相談ができます。家族だけでも相談できます。
家族以外の人に相談をすると、家族の息抜きになったり、新しいかかわりのヒントがえられることがあります。1人だけでかかえこまずに早めに相談してください。
「病院に行って!」「くすりを飲んで!」だけの会話になってしまうと、本人が気持ちをわかってもらえないと感じて、ますます拒否[きょひ]をしていき、家族の関係が悪くなっていくことがあります。「心配してる」のメッセージや「おはよう」などの何気ない会話も大切にします。
暴力[ぼうりょく]があったり、自殺[じさつ]が心配なときには、警察[けいさつ]に相談をして安全を一番に考えます。
》Q.高校生です、親を精神科に受診させたいです…(という質問へのチアキの回答)
7 関連ページ・サイト
》精神疾患などの各論のページへ(一覧)
どんなことが起こりやすいの(症状や経過)?回復のサポートになることは?参考サイトや図書の情報などをのせています。
統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、摂食障害、パニック障害、強迫性障害、アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、発達障害、知的障害、高次脳機能障害、聴覚障害、認知症のページを掲載