子どもも大人もイラストで学ぶ病気や障がい
うつ病
人はだれでも、ストレスで気持ちがおちこむことがありますが、少し休んだり、気分転換[てんかん]すると、元にもどります。
うつ病は、いつもの対処[たいしょ]ではどうにもならず、おちこみがどんどんひどくなります。
15人に1人は、人生の中でうつ病にかかるといわれるほど、身近な病気です。
ページにおこしいただきありがとうございます。
大人も子どももいっしょに見れて、基本的な知識を学べるページです。およそ小学校中学年~大人の人向けです。もっとくわしい情報を知りたいときは、参考サイトがページの下の方にあります。(子どものみなさんは、わかりにくいことや、ぎもんに思ったことは、大人の人に聞きながら読んでください。)
更新日:2021年9月
01 どんなことが起きるの?(症状[しょうじょう])
うつ病の症状には、こころの症状とからだの症状があります。
症状や経過[けいか]はひとりひとりちがいます。ここでは、あらわれやすいものを書きます。
こころの症状(例)
・きもち:ゆううつで、悪いことばかり頭にうかんでしまいます。
「もうだめだ」「周りに迷惑[めいわく]をかけている」と自分をせめて、思いつめてしまいます。イライラしたり、あせりが強くなることもあります。
・意欲:やる気がおこらず、今まで楽しめていたことすらも面倒[めんどう]になってしまいます。
・思考:同じことばかりぐるぐる考えてしまったり、何も決められなくなってしまいます。集中力がおちて、忘れたりミスをすることが多くなります。
からだの症状(例)
・うつ病では、ねむれなくなることが多いです。ねつけない、ねた気がしない、朝早く起きてしまう…ねむれないパターンはいろいろです*。
・食べられない*、つかれやすい、からだがだるい、などの症状もみられます。
・息苦しい、胸[むね]がドキドキする、頭痛[ずつう]がひどい、めまいやはき気がするなど、さまざまなからだの症状がおこる可能性[かのうせい]があります。
・からだの症状が目立つタイプの人もいます。からだの病気ではないかと心配して内科などのからだの病気を受診[じゅしん]することが多いです。しかし、検査[けんさ]をしても症状にあうような異常[いじょう]はみつかりません。
(*過眠[かみん:ねむりすぎる]、過食がでるタイプのうつもあります)
うつ病が悪化すると、仕事や勉強がうまくいかなくなるだけでなく、身の回りのこともできなくなり、人をさけ、ひきこもることもあります。
そんな自分をさらにせめてしまい、「しにたい」「きえたい」と考えることさえあります。
02 回復のサポートになることは?
回復はゆっくりすすみます。ラクに過ごせるような工夫をみんなで考えていきます。
ストレスをへらす、新しい考え方や生活習慣をを見つけることは、再発をふせぐためにも大切なことです。
新しい考え方や生活習慣とは…
うつ病の人は、マイナス思考や極端な思いこみをもちやすく、そのためにストレスをさらにためこみやすい傾向があります。
「○○ができたからok」「明日できることは明日に」「ひとまず今日をのりこえてみよう」など、やわらかい考え方を取り入れるとよいです。
生活スケジュールをゆるやかにしたり、気分転換する時間を入れるなど、生活の工夫をするこもストレスをへらすことになります。
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まわりの人はどうしたらいいですか?
がんばろうと思っているのに、エネルギーがでない状態です。
「がんばれ」とはげますのではなく「いつも見守っているよ」と声をかけたり、つらい気持ちを打ち明けてくれたときは「話してくれてありがとう」を伝えます。
》精神障がいの方への家族の対応 「こんな対応をしてみました」という例を紹介しているページ
03 病気の人はどれくらいいるの?原因は?
日本では、100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります*。とても身近な病気です。
うつ病は、脳内の神経細胞のはたらきが悪くなっておこるといわれていますが、まだはっきりとした原因はわかっていません。
きっかけとなるような出来事がある場合も、わからない場合もあります。
うつ症状は、うつ病以外でもみられることがあります(Q&Aで説明しています)。
*厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
04 (親が病気のとき)子どもの安心のためにできることは?
病状から、子育てや家事、仕事などへさまざまな影響があることがあります。
リンク先の「ケアガイド」でくわしく説明しています。「産後うつ」については、Q&Aのコーナーで取り上げています。
- 日常生活をサポートする:食事、生活リズム、身だしなみ、学校の準備、遊びなど
- サービスや制度を使い、現実的な家事育児の負担をへらす
- 子どものどんなきもちもみとめる
- 親の病状は子どものせいではないことを伝える
- こまったときの対処法を相談しておく(「こまったときカード」を作るなど)
- 家族が少し元気になる、病気や対応について知る、ひとりだけで抱えずに相談してみる
さらにくわしく知りたいときのページ
》親が精神障がいやこころの不調になったときの子どものケアガイド
》小学生のみなさんへ(子どもへのメッセージと工夫)
》中学生のみなさんへ(子どもへのメッセージと工夫)
》『ボクのせいかも・・・─お母さんがうつ病にになったの─』(子どものケアの絵本)
05 よくある質問 Q&A
Q 気分が落ちこむことはだれでもあるのでは…「うつ」って病気なのですか?
A かなしいことやつらいことがあったり、とてもつかれている時などに気分が落ちこむのは、特別なことではありません。多くの場合は、ちょっと休んだり、楽しいことをしたり、そうするうちに元気を取りもどしていきます。
しかし、うつ病の場合は、まわりも納得[なっとく]できるきっかけがあったとしても、落ちこみがはげしすぎたり、長引きすぎたりします。はっきりしたきっかけがないこともあります。このように、いつもの落ちこみとは「質」がちがうのです。そして、放っておくと、だんだん症状がひどくなって、「しんでしまいたい」と思いつめてしまうこともあります。早く見つけて、治療につながる必要があります。
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Q ほかの病気でもうつになるって本当ですか?
A うつ症状は ①うつ病以外の精神疾患 ②からだの問題や薬の影響でもみられることがあります。
例えば、そううつ病は、うつ症状とそう症状(エネルギーが出すぎている状態)をくりかえす病気です。そう症状がわかりづらいタイプはうつ病と間違われることがあります。
うつ病以外の場合、元々の問題に対する治療が必要になりますが、うつ症状をやわらげるために(対症的に)抗うつ薬が使われることもあります。
*
Q 「産後うつ」はどんな病気ですか? どうしたらよいですか?
A 妊娠・出産で、女性のからだは大きく変化します。中でもホルモンの変化はこころに大きな影響があり、そのためにうつ症状が出てくることがあります。
加えて産後すぐに子育てがはじまり、「うまくできるのかしら?」「自分のやり方はまちがってるのでは?」など、「お母さん」としてのとまどいや不安をひとりで抱えこみやすい時期でもあり、うつ症状がますます深刻になる危険があります。
家事や育児など生活上の負担をへらすために、家族やともだち、地域の保健師(例えば地域の保健センター)など周囲のサポートを受けたり、サービスの利用など環境を整える必要があります。
症状が深刻な場合は早めに専門の先生に相談しましょう。
》ゆるゆる子育て─こころの病や発達凸凹を抱えて子育てしている方への応援ページ(1.完璧主義をやめよう!子どもが元気ならOK 2.いろんなものに頼ろう!…)
06 関連コラム/ページ
》ゆるゆる子育て:障がいをかかえながらの子育てを応援しているページ
》精神障がいの方への家族の対応:「こんな対応をしてみました」の例を紹介しているページ
》親が精神障がいやこころの不調になったときの子どものケアガイド:お子さんがいる場合の子どものケアについてまとめたページ
》Sさんのストーリー:うつの本人で母の立場から
07 もっとくわしい情報を知りたいときの参考サイト&図書
書籍
・対人関係療法でなおすうつ病,水島広子著,創元社2009
・それでいい。,細川 貂々・水島広子著,創元社,2017 *続編、実践ノートもあります
・ツレがうつになりまして,細川 貂々著,幻冬舎文庫,2009 *映画にもなっています
・ぼくのなかの黒い犬,マシュー ジョンストン著,岡本 由香子訳,メディア総合研究所,2009
このページの担当
ざっきー+ ぷるすあるは
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ぐるぐるした考えは、だれかといっしょにほどいてみよう。 ひとりでするより、ほぐれやすいですよ。