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Q18.思春期の子供達に自分の障害・状況をどう理解させればいいですかーゆるゆる子育て実践編

Q18.思春期の子供達に自分の障害・状況をどう理解させればいいですかーゆるゆる子育て実践編
2020年2月14日 pulusu

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:できることとできないことの差は日によります。思春期の子供達に(自分の障害・状況を)どう理解させればいいですか。
年齢:小学4-6年

 

質問内容

5年前、脳出血でもやもや病になり、同時に高次脳機能障害になりました。
覚えていることとそうでないことの間に悩みます。咄嗟[とっさ]の言葉も出てきません。何かやりたいと思っても、持続しません。思春期を迎えつつある子供達に、時にできて時にできないことがある今の状況をどう理解させていいかわかりません。学校への忘れ物も、お母さんだって忘れちゃうじゃん!と癇癪[かんしゃく]を起こされてしまいます。同居してくれている実家の両親も、私がもっと親らしいことをしないからだと叱責[しっせき]されます。自分が何をしたいのか、どう生きたいのかを大事にする両親と同居してくれるのはありがたいところもありますが、なかなか大変です。せめて対子供だけのことで言うと、私のこの状況をどう説明したらいいでしょうか。理解は難しいのでしょうか。

 

おがてぃの回答

 

メールをくださりありがとうございます。自分のことを理解してもらえないと、とてもつらい、寂しい気持ちになりますよね。それが身近な家族が相手だとなおさらかと思います。メールをくださった方も家の中でいろいろ思い悩んでいるのだろうなぁと思いました。
今回いただいた質問は、いろいろな視点から考えることが必要かなと思いました。今回は3つの視点からお話しできればと思います。

 

ひとつ目の視点は、自分の障害を家族、特に子どもにどう伝えるかということです。

 

自分自身の障害の説明は、当事者であるがゆえに伝えることがなかなか難しいものです。ぷするあるはでも、その難しさを少しでも減らすために、今まで精神疾患に関する絵本を作成してきました。
ただ、それでも当事者だけでは伝えることが難しいことがあります。それはなぜかというといろいろな「思い込み」や「期待」「感情」などが人にはあるからです。「病気だから大変なんだ」「障害だからできないんだ」と伝えても、相手から「そうはいってもやってほしい」「ほんとはできるんじゃやないか」と思われ、なかなか考えを変えてもらうことが難しいということです。

 

特に家族の場合は「家族に求めること」という気持ちが強いことがあるので、なかなか事実を伝えても、受け入れてもらうのに時間がかかることがあります。
そのため家族への説明の場合は
・資料などを使ってなるべく客観的に伝えること
・相談員や他の家族など、当事者以外の人から説明してもらうこと
など工夫が必要かと思います。

 

特に今回の場合は「咄嗟に言葉が出てこない」「何かやりたいと思っても、持続しません」とお話しされているので、説明のお手伝いをしてくださる人がいると良いかと思います。同居されているご両親や、通院されている病院の相談員などに協力してもらえると良いかもしれません。その際、子ども情報ステーションのHPに高次脳機能障害に関する説明資料もあるので、利用してもらえると良いと思います(このページの最後にリンクを貼っています)。

 

2つ目の視点として、思春期の子どもと親との関係ということも考慮しないといけないかもしれません。

 

この年代のお子さんは二次性徴[せいちょう]も相まって、気持ちが落ち着かなかったり、心理的な自立を果たすために親に反抗的になったりすることがあります。
それは成長の過程では自然なことなのですが、親としてはその反発してくるエネルギーを受け止めることがとても大変な時期でもあります。なので、子どもからしてみると障害として理解できても素直に受け入れられないという気持ちになる可能性があります。

 

その場合は、あまり無理に理解するよう説得しても逆効果になるので、ほどほどに付き合っていけるよう、少し距離を取ったほうが良いかもしれません。
ただ、一方でまったく放っておけばよいということでもないと思います。
子どもができていること、やってくれたことに対して「○○してくれてありがとう」とお礼を伝えたり、「あ、××してくれたのね」とできているところを認めるような関わりを「サラッと」とすると良いでしょう。今回の場合も学校に忘れ物をしたことを指摘するより、忘れずに持って行けたときに声かけをすると良いかもしれません。

 

最後に、3つ目はお母さん自身の普段の生活を大切にするという視点です。

 

メールをくださった方は、高次脳機能障害の影響で覚えていることとそうでないことの間に悩まれているとのことで、不便のある状況かと思います。なかなか難しいかもしれませんが、まずはあなた自身が日々を穏やかに楽しく過ごされることが大切かと思います。
できることとできないことがありつつ、それでも日々を充実して過ごせていれば、お子さんたちもそんなお母さんをみて、いろいろと感じるものがあるのではないかと思います。

 

 

子育ては大変ですよね。でも、家族で楽しく過ごしていけるようちょっとしたことからでよいので何かしていけると、少し変わっていくかもしれません。

おがてぃ
普段は行政機関で相談員をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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