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Q61.大きな反抗期に突入しましたーゆるゆる子育て実践編

Q61.大きな反抗期に突入しましたーゆるゆる子育て実践編
2024年4月22日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:大きな反抗期に突入しました
年れい: 小学4-6年

質問内容

 

我が家は元夫からのDV被害離婚母子家庭で。
本人の記憶の無い2歳の頃から、一人で模範となるべく
一生懸命明るく育ててきたつもりでした。
裁判と危険から身を守る転居に振り回され、環境が変わったりすべて一人でこなさないといけなかったり
親子ともに大変な思いはして来たと思います。
保育園からの勧めで発達検査を受け、ADHDの診断を受けました。支援学級や児童デイサービス、あらゆる機関の方々の力を借り明るく友人や先輩も居たので
何とか乗り切ってギリギリのところでやってきていました。
転機は4年生3学期の転居です。
裁判等が落ち着き、やっと何とか安全な環境が確保出来、祖父母達の近くに、5年ぶりに引っ越せました。
その環境の変化が上手く行かなかったようです。転校先になかなか馴染めず、自我も発達し私や周りに食って掛かることも増えてきました。
私自身も転居から1年半、以前は沢山まわりに居てくれた
相談できる仲間や先輩お母さんたちと離れ、ずっと孤軍奮闘な状態でした。
体調も悪化し、子供との関係も悪化。
疲れて倒れている時等に異変は起きました。冷蔵庫の物や家のものを盗み、ウソを付くのが頻回になりました。
何か話すと睨みつけ「お前は敵だ」と言いました。
大切に育ててきたのに、自分の行動が模範になるように
自分を奮い立たせて踏ん張ってきたのに。
足元から全て崩れた気持ちで、可愛いと、大切と、思えなくなってしまいました。今は、自分も子供も嫌いで
将来に光も見えません。
以前は協力してくれた人も沢山居て「育て上げられる」と自信も少しは持てていたのに、今は涙がこぼれます。不安で一杯で孤独です。
自分が消えてしまいたいと思ってしまうことも度々です。
こんな私が親で居られるのでしょうか…毎日が辛くて仕方がありません。
そんな自分がキライです。父親の記憶はないのに、やはり言動はそっくりで、余計に哀しくなってしまいます。
こんな私は生きていて、子供と関わって良いのでしょうか。
自信が全くありません。

 

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。大変しんどい状況ですね…読んでいて胸がキュッとしまるような、苦しい感じがしました。このような状況で何ができるのか、自分でもよくわかっていないのですが、僕が感じたこと、思ったことをお伝えできればと思います。

 

まず、相談者さんが何か悪いことをしたからこういった状態になっているというわけではないんだろうと僕は思いました。DVから逃れるために一生懸命さまざまなことに日々対処されてきたのだと思います。そのような中でお子さんにADHDと診断がつき、支援学級や放デイ等の利用も調整し、それこそあらゆる機関に相談しながらお子さんのためを思って、大変ながらもいろいろとこなされてきたのではないかと推察しました。
ただ、それだけやってきたのにも関わらず、お子さんの状態が落ち着かず、むしろ物を盗ったり、嘘をついたりするようなことが増えれば、ショックでがっくりときてしまうということがあっても、それは致し方のないことではないかと思いました。相談内容を読んでいるだけでも、僕もがっくりきたので、その当事者である相談者さんであれば、そのショックの大きさは僕には計り知れないことだと感じました。

 

一方で、時にDV被害を受けていた方の支援に直接関わったり、支援に関わっている方から間接的に伺ったりすることを踏まえると、DV被害から逃れてひと段落ついた後で、被害を受けられていた方が調子を崩されたり、親子の関係が上手くいかなかったりすることがあるようです。それは複数の要因が絡み合ってそのようになるのだと思うのですが、それだけ大変な環境の中でやってこられたということを考慮すると、ある種の後遺症のような状態なのではないかと個人的には思っています。
なので、改めて今あるしんどさや大変さについて取り組んでいく必要があるのだと思うのですが、今は何からどう取り組んでよいかわからないという状態かと思いますので、もし僕が目の前で相談者さんからこのような相談を受けていたら、こう回答するだろうということを伝えたいと思います。

 

まず「相談者さんもお子さんもそれぞれいろいろなことを抱えているので、それらをいっぺんにすべて解決するのは難しいから、ひとつひとつやっていきましょう」ということを伝えると思います。
辛い状況なので一刻も早くどうにかしたいという気持ちがあるとは思うのですが、一方でこれだけ大変な状況であるということは様々なことが影響しあっているということだと思うので、一朝一夕ではいかないだろうと考えます。なので、まずはできる範囲から今より悪くならないよう、少しでも事態が好転するように取り組んでいきましょうとお話しするかと思いました。

 

そのうえで「まずは相談者さんが何かに取り組める元気を少しでも取り戻すことが先決だから、ちょっとでも休めたり、元気になれたりできそうなことがあれば、それを試してもらうということから始めましょう」と伝えると思いました。取り組むことは「過去に相談者さんがやってみてよかったこと」で、なかなか思いつけなかったらハッピーリストも活用すると思います。
相談者さんが元気になるまでの間は、一旦お子さまの問題は棚上げにします。物を盗ったり、嘘をついたりするのでなかなか棚上げにしづらいところもあるかと思うのですが、必要最低限の自衛手段をとっていただく以外は一度保留にしてもらい、まず自分自身の回復に努めてもらいます。その間のお子さんへの関わりは学校の先生や放デイの方、別の相談機関の人などにお願いして、何か取り組むにしてももう少し自分が元気になってから…と考えてもらうようにすると思います。そうでないと腰を据えてこの問題に取り組むことが難しいからです。

 

そして、最後に「なんだかんだとここまでお子さんと一緒にやってこれたのは、相談者さんにも、お子さんにもそれ相応の力があったからだと思います。どのような力があったのだとご自身では思いますか?」と尋ねると思います。
DVから逃れるというのは本当に大変なことです。転居や裁判など本当に大変ですし、経済面でも子育ての面でも、精神的な面でもしんどいことが多々あったのだと思います。
そんな中でもどうにかここまで決着がつくところまでこれたのは、相談者さんに力があったからなのだと思います。そしてその力は、これから先、相談者さんとお子さんがよりよい人生を歩んでいく際にも役立つことだと思います。なので、それはいったいなんであるのかについて伺って、それをうまく活用していけるようにしたいなぁと思いました。

 

僕の方で思いついたことは以上となります。いろいろと至らない点も自分で多いと感じているので、相談者さんの求めている相談とは違うかもしれません。ただ、僕は今回の文章を読んで、相談者さん自身にも休める時間があった方が良いと思ったし、お子さんにもこれから先良い人生を歩んでほしいと思いました。一旦ここは仕切り直しのタイミングではないかと思ったので、ゆるゆるする時間も少し意識していただいて、次に向けての準備をしていければと思います。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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