「子ども情報ステーション by ぷるすあるは」精神障がいやこころの不調、発達凸凹をかかえた親とその’子ども’の情報&応援サイト

Q53.子供が唾を吐くーゆるゆる子育て実践編

Q53.子供が唾を吐くーゆるゆる子育て実践編
2023年6月13日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:子供が唾を吐く
年れい: 小学1-3年

質問内容

 

子供がティッシュに唾を吐くのが気になります。

おがてぃの回答

 

ご相談ありがとうございます。
唾を吐くという行為をはじめ、どうしても気になったり、生理的に受け付けられない行動ってありますよね。相談者さんもお子さんのこの行動がどうしても気になってしまうのだろうなぁと思いました。こういった時、僕だったらどうするかなというのを少し考えてみたので、そのことを伝えたいと思います。

 

まず、唾を吐くという行為を見ていた時、それが僕が気になってしまっていたら、つい「止めなさい」と言いたくなってしまうだろうなぁと思いました。ただ、それを言ったとしてもたぶん子どもはやめず、唾を吐く行為が続いたり、むしろもっとしたりすることがあるということを経験的に知っています(というか、止めなさいと言って止めるならそもそもたいして困らない行動だとも言えます。)
なので、別のアプローチを考えるのですが、その際に必要なのは「何で唾を吐いているのだろう?」という視点を持つことです。それが生理的に受け付けなかったり、気になる行動であればつい制止したいという気持ちが先立ちますが、本来であればそもそも何でそれをするのか、それにはどういった意味があるのかということを知ってから、対応した方が良いのだろうと思っています。

 

では、唾を吐くという行為にどんな意味があるのか? ひとつは身体的な意味合いがある可能性を考えます。
唾というのは唾液であり、成人であれば毎日1.0~1.5ℓくらい唾液を分泌しています。なので、食事場面だけでなく唾液が出ており、基本的には吐き出さずに飲み込んでいることが多いのですが、何らかの理由で唾液量が増えていたり、のどに違和感があったりするとそれを飲み込むことができません。唾液量が増えるのは胃炎や口内炎などの身体疾患だったり、いわゆる自律神経が乱れてしまっている状態だったりする場合がありますので、そういった身体的な変化がないかということを確認します。のどに影響がある場合は風邪やアレルギーなどの可能性もあるので、その点も考慮したいところです。
また、上記のような胃が痛くなったり自律神経が乱れるということはストレスから生じていることもあるので、最近疲れていないか、環境の変化がなかったか、気にかかることはなかったかということを考えて、唾を吐くという行為を直接的に扱うのではなく、別の環境要因がないかということを少し考えるかなぁと思いました。

 

次に、唾を吐くという行為自体にどんな意味合いがあるのだろうということを考えます。これらは周囲との関係をみながら考えるのですが、唾を吐くという行為は周りの人に対して影響を与えやすく、その多くは「拒否」の気持ちを伝えるものです。なので、何かしたくないこと、イヤだなと思うことがあってそれを伝えるためにやっている可能性はないかと考えます。今回の質問ではティッシュに吐いているということだったので、直接的な場面に遭遇しているのではなく、もしかしたら嫌な場面を思い出したり、これからそういったことが起こるということを想像して唾が出てしまっている可能性もあるかなと思いました。
また、周囲との関係性としては「注目を得る」ということも可能性としてあるのではないかと考えます。人は注目を得ることによって安心感を得たり、楽しさを感じたりすることがあります。なので、子どもであれば「つばを吐く」という行為をとることによって、相談者さんをはじめとする周囲の人の注目を得られるということがあるのかもしれないなぁと思いました。

 

その他の理由としては「つばを吐く」という感覚に意味がある場合です。つばを吐くという行為自体がお子さんにとって心地よかったり、楽しい感覚であるとしたらその行為をもっとしようとすることです。口の中に唾液をためてもらうとわかるのですが、ずっと水を口に含んでいるようなものなので、あまり気持ちの良い状態ではありません。なので、その状態から解放されたり、ペッと吐き出す感覚が楽しいと感じることはあるかもしれないなぁと思いました。また、今回はティッシュに吐き出すということがありますので、ティッシュが濡れていく様子やティッシュが口に触れる感覚等ももしかしたら気に入るところがあるのかもしれません。

 

もう一つ思いついたこととしては唾液自体をどう捉えているかということも気になりました。唾液を「汚いもの」と捉えているのであれば、口の中にある唾液を飲み込むことに抵抗感があると思いますし、唾液がとても気になって、ちょっとでも唾液が湧いたらそれを吐き出したくもなるかなぁと思いました。

 

そんな風にいろいろな可能性を考えて、その中でしっくりきそうなものがあれば、それにまず対処し、あまり効果がなさそうなら別の可能性を考えてそれに取り組んでいく…という試行錯誤をしながらの関わりになるかと思います。
ただ、この関わりには一緒に試行錯誤していくのでお子さんの協力が不可欠です。なので、お子さんのことを心配していて、一緒に取り組みたいという気持ちが伝えられるとよいかと思います。また、こういった行動は治そうと気負い過ぎるとお互いにプレッシャーになって悪化することがあるので、治るとよいなぁというくらいの気持ちでゆるゆると取り組めるとよいかと思いました。

 

いかがでしょうか?
もし、お一人ではなかなか考えるのが難しいという場合には、近所の小児科のかかりつけ医さんだったり、学校の相談員さんなどに相談してもよいかと思います。相談者さんだけで抱え込む必要もないので、いろいろな可能性を信頼できる方と一緒に検討していただければと思いました。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

》質問一覧へ
》「ゆるゆる子育て」の目次へ


 

毎月のメールマガジン「アルハ通信」で最新情報が届きます
サイト運営団体:NPO法人ぷるすあるは
》これまでのメールマガジンをみる