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Q45. 愛して伝えることがもう疲れましたーゆるゆる子育て実践編

Q45. 愛して伝えることがもう疲れましたーゆるゆる子育て実践編
2022年12月14日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:発育障害の息子、愛して伝えることがもう疲れました
年れい: 小学4-6年

質問内容

小さなころから落ち着きがなく、記憶や発言が混濁[こんだく]する息子に不安な思いがありながら、過ごしてきました
小学校になっても、人と視点がズレている、ふざけて楽しくなると大人の声が聞こえていない、自分がいいと思うことは相手も必ず喜ぶ、交友関係を円滑に出来ない等現在にいたるまで5年生ですがかわらず、今年にいたっては問題がある学年といわれその中のメンバーになり毎日毎日問題ばかりです
知能テストは受けましたが平均と言われ、ただ現実を受け入れるのが怖く本人も拒否反抗が強く病院にも行けていません
愛して寄り添いたい自分の子をわかってあげたいと側にいて支えて、叱るときは叱ってそれでは息子は良くならないのでしょうか?
ただ正直頭を下げて悩んで少し疲れたかもと落ち込む時間も増えました

 

おがてぃの回答

 

相談していただきありがとうございます。
今、相談者さんが感じていることを率直に書いてくださっているなということが伝わってきて、読みながら一緒に気持ちがちょっと落ち込んだり、疲れた…という気持ちになりました。きっと日々いろいろなことに対処せざるを得ず、そしてそれがちゃんと積み重なっているかどうかもわからずといった状態なのではないかと思いました。僕だったらそんな時むなしさや漠然とした不安を感じて途方に暮れると思うので、相談者さんも同じように感じているとしたら、さぞかししんどい状態だろうと思います。
ご相談の中に「わかってあげたいと側にいて支えて、叱るときは叱って、それで息子は良くならないのでしょうか?」という質問があり、これに回答することが大事ではないかと思うので、こちらについて僕なりにお答えしていきたいと思います。

 

結論からいうと、それは「ケースバイケースである」という何ともありきたりな答えになります。では、なぜそのように考えるかなのですが、それは「お子さんに対する適度な関わり」がどのようなことであるのかを知る必要があるからです。
わかってあげたいと思う相談者さんお気持ちはとても良いものだと思っていますし、それによってお子さんが救われてきた部分がかなりあるのではないかと思います。ただ、一方で親子であるがゆえに距離を置いて客観的にお子さんを評価するということが難しいこともあるかもしれないなぁとは思いました。
まだ受診はされていないご様子ですが、発達の特性や凸凹があるとすれば、それらをある程度知り、どのように関わるとわかりやすいのか、伝わりやすいのかを知り、相談者さんだけでなく、周囲の人にもそのように関わってもらうことがお子さんの成長を促していくポイントになるかと思います。すでに知能テストを受けられているとのことですので、それらをもとに周囲の働きかけを検討する、そしてお子さん自身にもその傾向を理解してもらい、ご自身でも工夫を考えてもらうとした場合、相談者さんだけがそばにいて支えるだけでは難しい部分もあるかもしれません。

 

また「叱るときは叱って」とありますが、叱り方にも様々なやり方があります。特に発達的な凸凹のあるおこさんは情緒的な刺激に弱くて、こちらとしてはちょっと強く言っただけのつもりでもすごく大きくとられて絶望していたり、あるいは逆に鈍くて全然響いていなかったり、注意していることの理解がズレてまた違う対処をしてしまったりなど、お子さんの困った言動を別の行動に置き換えていくためのポイントはただ叱ればよくなるというものではないかもしれません。
ただ、一方で、良くないことをした時にはきちんとその説明をして、お子さん自身にも納得してもらい、それを繰り返さないようにしてく一連のプロセスは必要であり、逆に今まで相談者さんがそれをやってくださっていたので、どうにか今の状態で収まっている、それをやっていなければもっとひどい状態になっていたという可能性もあると思っています。
なので、相談者さんの関わり自体は必要不可欠だと思うのですが、よりよい関わりもあるかもしれないというのが僕の中での理解になります。

 

一方でお子さんが拒否反応を示すのもわかります。誰しも自分に障害がある、問題がある思われたり、病院という場所自体がどうしても怖いイメージになりやすいので自ら積極的に行こうという気持ちにはなりにくいのだと思います。だとすれば、はじめは相談者さんご自身がお子さんの関わりについて相談に行き、よりよい関わり方を検討できればと思いました。
ただ、相談者さんが相談に行くにしても、それにはちょっとポイントがありまして「あくまで相談者さんが楽になるために、関わり方の相談に行く」というところを大事にしていただけるとよいかと思いました。そもそも関わりに悩み、愛して伝えることに疲れてしまっている状態なので、さらに輪をかけて自分に負荷をかけることはないと思っています。あくまで、いまよりもご自身がお子さんと楽に関わるためにはどうしたらよいか、そして副次的にお子さんにとってもよい影響のある関わり方が見いだせたらなおよい、というくらいのスタンスで相談にいかれるのがよいではないかと思います。
逆にいうとそういったニーズにこたえてくれない相談機関、医療機関であれば無理に通う必要はありません。時々苦行のように相談に通われている方をお見かけするのですが、本来は相談にいかれる方の現状が少しでも良くなるために利用するものなので、相談自体があまりにもしんどいなら無理して通う必要はないと思っています。

 

相談に行くことも今は難しいということであれば、そもそも今はお子さんと向き合う時期ではないということだと思うので、まずはご自身の気持ちに少しでも余裕が持てるようなことができればと思います。
ここのところの相談ではよくセルフケアをお勧めしていることが多いのですが、実はだいたい困っているときには「まずは自分から回復していく」というのが原則ではないかと思っています。なので、相談者さんも疲れてしまった…ということであれば、まずはご自身の疲労を回復させるところから始めていかれるとよいかと思います。

お子さんとの関わりははなんだかんだとまだ続くと思いますので、無理なく、気長に、ご自身を大切にしながらおつきあいください。

 

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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