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Q40. クラスメイトとの向き合い方ーゆるゆる子育て実践編

Q40. クラスメイトとの向き合い方ーゆるゆる子育て実践編
2022年11月2日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:生き物・命に対するこだわり

植物動物関係なく生き物の命を慈しみ大切に思う娘・自分の正しいと思うことそれ以外の行動をするクラスメイトとの向き合い方どのようにするのが良いのでしょうか?

年れい: 小学4-6生

質問内容

こちらで質問するのも3度目になります。ADHD 自閉スペクトラム 聴覚過敏の母親と診断を受けていないけれど生きづらい小学生姉妹(小学1-3年, 小学4-6年)の家族です。

小学5年生のクラスの係活動の話です。1年間の半分を分けて前期後期とクラスの係活動があります前期のかかりはいきものがかりでクラスでメダカの世話をしています。
その時から、クラスメイトが係がそれぞれ順番に餌をやることになっているのですが、餌をやり忘れたまま休み時間に遊びに行ってしまったり、水が汚れていても掃除をしないままているのでいつ綺麗にしてくれるのかなと思って待っていても下校したリするので自分が順番ではない時にやってしまうとクラスメイトに文句を言われたりしていました。
考えた末、メダカの世話担当者の名前・曜日・終わったらシールを貼る表を作りなんとかうまく係活動を終えました。
生き物に対する愛情がとても深く、メダカ一匹が死んだことでもまるで自分の飼い猫が死んだかのように深く傷つき悲しんでいます。
そういう娘とは別に、メダカの命に対して無関心でわざとメダカを脅かすように水草ガタガタ揺らしたり、手を突っ込んだりして楽しむクラスメイトもいます。フィルターに吸い込まれそうになっているメダカを見て「メダカが死ぬ!メダカが死ぬ!」喜びながら大騒ぎしているのに助けようとしないクラスメイトに泣きながら腹を立てる娘。。

後半は、いきものがかりにはなれませんでした。相変わらずクラスメイトの生き物に対する世話の仕方や責任感は、娘の感覚とは程遠くどうしても「生き物が快適に暮らしていない」ということが気になるようで、娘一人で勝手に昼休み細やかに世話を続けていました。
係でもないのに勝手に世話をするため、係の数人から「娘ちゃんが勝手に世話をするから私たちがすることがない」と先生に苦情があげられました。
娘からすれば毎日色々なことに気づいていて
・フィルターが黒くなっている。
・餌をやりすぎるからフィルターに白いものが溜まってしまっている。
・水を変えなきゃいけないの休み時間は係が遊んでばかりでいつまで待っていてもちゃんと水槽の掃除をしてくれない。
・ドジョウが潜りたがっているのに砂の量が足りないから潜れないでいる。
・わざと水槽を何度も叩いてメダカを脅かしたり、水槽を揺らして面白がっているクラスメイトがいるため「そんなことしたらメダカがびっくりしちゃうよ」と声をかけるそうですがやめることはないそうです。

「係の声に声をかけてみたら?」と思いましたが、娘の性格上しつこく毎回毎日フィルターが、、水が、、餌が、、と係に言い続けると陰で「めんどくさい」「うざい」などと、文句を言われそうです。
生き物の世話について色々な細いことが気になってやってしまうのですが、以上の理由により係に声をかけて一緒にすることはなさそうです。
さらに、娘本人が一人でゆっくり丁寧にしたい。友達が一緒にするとその子の出来栄えが自分の思っていた出来栄えよりも程遠くそれを自分でもう一度きっちりやり直していいのかもわからない。作業中に声をかけられるのが嫌だと言います。

係の方から娘ちゃんにクレームが来たため先生は娘に一人で勝手に世話をしないように。係の方には娘ちゃんは前半からずっと生き物の世話をしていて色々上手だから娘ちゃんと一緒にしてみてはどうかななどと提案したようですが、帰宅するなり「係じゃないのに一人で世話をしてはダメだと言われたので今日は花に水もあげられなかった。あの花はもう土がカピカピに乾いていて、今日やらないと絶対もう死ぬっていうところまで来てたのに、クラスの子は誰も気づかない。でも私はやらなかった。」「このままじゃまた死んでしまうメダカがかわいそうだ餌ももらえない日もあるしいつも怖い思いをしなきゃいけないし汚い水の中で苦しみながらクラスの実験台として飼い殺しされて死ぬのを待つしかないメダカを見るのが辛い。」と言って心が潰されたように苦しんで、悲しんで、1時間近く泣いていました。

娘には、「メダカを家で買おうか?そのメダカは娘ちゃんのメダカじゃなくてクラスのメダカだから餌がもらえなくても、水がどんなに汚くても、干からびて死んでしまっても、クラスの実験台のようにして死ぬ命もある。先生はチームワークだと言って係の人たちにきちんとするように言うし、娘には一人ではしていけない係りの子に声をかけて一緒にするようにと言っている。結局係本人がちゃんと世話をしたと思っていてもきちんとできていなくて、メダカがたくさん死んでしまこともあると思う。」と伝えました。
理想は、娘が係に声をかける→係の子がそれに対して嫌がりもせずに一緒にかかり活動をする・もしくは正しく係活動をするということでしょうが、おそらく飼い殺し状態で死ぬ日を迎えると思われます。

先生からは「娘ちゃんは生き物に対するこだわりが強い。夏休みに誰も世話をしていなかったため干からびて全部メダカが死んでしまった時に・・クラスで生き物or植物どちらを買うか話し合った時に娘ちゃんはまた死んでしまうから生き物を飼うのはいやだ植物の方がいいと反論しましたがクラスメイトがメダカを買飼いたいと言ったためもう一度メダカを理科室から分けてもらい飼うことになりました。」
あまりにも泣くことと係のメンバーから嫌がらせのような悪口をすでにも言われているため学校へ相談したところ、「娘ちゃんがそこまで苦しむのであれば気になることは自分に言ってもらって、自分から係へ中休みに伝えてそれで足りなかった部分は、娘ちゃんが昼休み一人で世話することを係にも伝えて作業ができるようにすることで様子を見ることにしましょう。理科室へメダカを返す事も考えています。」ということでした。
植物動物関係なく生き物の命を慈しみ大切に思う娘・自分の正しいと思うことそれ以外の行動をするクラスメイトとの向き合い方どのようにするのが良いのでしょうか?

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追加の相談
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以前の質問であなたのちゃんとやっている・正しい=その子のちゃんとやっている・正しい。になるとは限らない。クラスにはいろいろな子がいる。とした上で、
2年生
必要以上にクラスメイトを注意し続け
3年生
乱暴なものを引用しはじめ
4年生
乱暴な物言いは控えるものの、からむ相手を言い負かすようになり
5年生
生き物の世話についてのこだわりが強く命を大切に思うあまり、攻撃や注意をして回るようなことは辞めたものも、いきもの係ではないのにいきものがかりを差し置いて一人で勝手にきめ細やかに世話をし続けてしまう娘。
(いきものがかりの担当生徒たちは、世話もせず昼休み遊んだり・水が汚れていても気にせず掃除もずっとしないままの飼殺し状態ではあるものの・・おそらく本人たちはできていないということも気にしていないし飼われている生き物がじわじわ苦しんで死んでし行くのを大して気にも留めていない。それよりも係じゃない娘が係の仕事を勝手にしてしまうことに反感を抱き先生にクレームをつけ、わざと娘へ意地悪を聞こえるように言うようになりました。もし 自分がいきもの係だとして、より生き物の世話がものすごく上手で繁殖までどんどん出来て完璧に世話をする子が係りでもないのに全部やっていたらどう思う?と、尋ねても「すごい!それは生き物にとって一番いいからその子に全部任せる。」という具合です)

「クラスメイトのちゃんとしている=自分のちゃんとしているではない。」ということが分かっているものの、誰にも話しかけられず一人で納得のいくような手入れをきちんとしてあげたいという気持ちのみが優先されています。
①「ちゃんとしている」の違いを受け入れて行動にうまく反映されるようにどう声掛けしたらいいでしょうか?
②命に対する認識の差についてどう娘に話せば納得出来るのかも分かりません。

学校生活では、以前教えていただいたiMessage を実行しているものの、クラスメイトからは「はぁ?それが何」と反感を買う程度のことでしかありません。相手を変えるためのiMessageではないというのは分かっているのですが、この iMessage をこのままストレートに続けることで、孤立を深めるのではないかとも感じています。iMessageを続けることで、何がどうなっていきますか?
相談が長くなり申し訳ありません、アドバイスお願いします。

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
クラスで飼っているメダカのお世話に対するこだわりから派生[はせい]して、クラスメイトとのつきあい方、アイ・メッセージで伝えることの影響などについてのご相談だと受け取りました。お子さんも相談者さんもなかなかどうしたらよいかがわからず、苦しいですね。判断の難しい内容だと思いましたが、今自分が思うことについてお伝えしていければと思います。

 

まず、僕自身が思ったこととしては「お子さんがおっしゃっていることは間違っていない」ということでした。クラスで飼っているメダカのお世話をしっかりしよう、命を大切にしようという考え方自体は尊いですし、それはむしろ大切にされてもよいことではないかと思いました。

 

一方で、正しいことであったとしてもそれがすべての人に理解されるわけではないというのが現実の社会であり、様々な価値観があって矛盾が生じやすい世の中なので、自身の価値観や考え方にこだわってしまう人にとってはとても過ごしにくいだろうなぁとも思いました。
そこに対して、どのように折り合いをつけるのか、あるいは矛盾を解消するのかは、その時その時の判断であり、自分と周囲の人との関係性の中で消化していくことかと思っています。つまり、唯一絶対の正解はなく、その場の人達で納得のいく方法や考え方を見出していくという過程を歩んでいくことが必要なことかと思います。

 

この過程を歩んでいく際にアイ・メッセージが必要になります。
アイ・メッセージを知らない方に簡単に説明しておくと「私」を主語にして自己主張をするということで、「アサーティブ」と呼ばれるコミュニケーションをとる際に用いられる伝え方のひとつになります。自分の意見を押し殺すでなく、攻撃的でなく、より建設的に話し合っていくために自分の意見を相手に伝えるという方法です。
この自己主張を続けることで「ではこの問題を解決するためにどうしたらよいのか?」という議論が生まれるのですが、主張をしないとそもそもそういった問題があること自体が認識されなくなってしまうので、主張すること自体は間違っていないと思っています。

 

ただ、大切なポイントとしてはまず、自己主張をしたとしても必ずしもそれが相手に受け入れられるわけではないということです。相手には相手の意見や考え方があり、時に対立するような立場にあることもありますので、そこから話し合いをスタートしていくと納得のいく結果を出すまでの過程はだいぶ長くなります。なので、かなりの長期戦を覚悟しないといけないということです。
また、自己主張に関してはずっと同じことを言い続ければよいというわけではありません。相手に通じなかった場合、なぜ通じなかったのか、どうしたらもう少し相手に伝わるのかを考え、より洗練された自己主張を検討していくことが大切になります。自己主張が通じないと、それがフラストレーションとなって、攻撃的になったり、相手のせいにしたりすることがままあります。でも、それではアサーティブなコミュニケーションとは言えなくなってしまいます。なので、伝え方として文言やタイミング、説明の仕方などを考えてみたり、どんな相手だったら理解してもらえるのかを考えてみることが必要となります。
本当に状況を変えたいのなら、アサーティブなコミュニケーションを踏まえて、味方を増やしてみたり、わかってほしい人にわかってもらうためにいろいろな作戦を考えてみたりなどをすることが大切になってきますので、そういった試みを検討するのもよいのではないかと思いました。

もうひとつ大切なことをしては「相手の主張も聴く」ということです。
自己主張を大切にするということは、相手の主張も大切にするということが必要となります。自分の意見ばかり押し通そうとすると、より強い相手の意見には結局従うという、ただパワーの強い方が勝つというサイクルになってしまいます。なので、自分の意見を伝え、相手の意見を聴き、その中で最善は何かを考えるというステップが大切になります。もちろん、それをお子さんだけですることは難しいと思います。相手の視点に立って物事を考えることは難しいですし、建設的な議論をすることはさらに大変なことになります。

 

なので、お子さんのことについて僕の考えを改めてお伝えすると「お子さんの主張は間違っていないと思う」「ただ、その主張を周囲に理解してもらい、環境を変えていくには、それ相応の過程が必要であり、それはお子さんに限らずとても難しいことである」「でも、この環境を変えたいのであれば、それをしていく必要があるので、担任の先生をはじめ、クラスの中で同じ考えを持ってくれる賛同者を見つけていき、一緒に取り組んでいく」ということが大切になるのではないかと思いました。
なので、もしお子さんにアドバイスできることがあるとすれば「わかってくれる人を探して、どうしたらよいかを一緒に考える」ことではないかと思いました。
残念ながら、意見が正しいだけではなかなか環境は変わってくれません。一方で正しい意見だからと言って、相手に押し付けたり、無理にやらせようということもよいことだと思えません。この体験をお子さんが今後社会で人と関わっていく際に必要な他者とのやりとりを見出していく糧として、上手く活用していければと思いました。

 

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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