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Q39. 毎日つらいですーゆるゆる子育て実践編

Q39. 毎日つらいですーゆるゆる子育て実践編
2022年9月28日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 毎日つらいです
年れい: 小学4-6生

 

質問内容

 

小学4年の男の子を育てています。
診断はついていませんが、グレーゾーンだと感じています。
なんと言いますか、周りを見ていない。周りの人が話していることをまったく聞いておらず、話が少し違う方向なことを話してしまいます。
これを学校でやっていると、そのうち、嫌われてみんなから相手にされなくなるのでは?と思っています。
学校では、友達トラブルはあまりありませんが、集団の場面で、ちょっとした不適切な行動があるようです…空気が読めません。
親からみて、賢さのひとつもなく、勉強もたいしてできず、絶望しかありません。
親として失格ですが、将来はほぼ無職で、誰にも相手にされないんだろうなとおもうと、この先何十年もこんな気持ちを持ち続けなければならないのなら、もう死にたいなとまで、思うようになってしまい…
子供にも産まなきゃよかった、早く死ねばいいなどと平気で言ってしまいます。
どう考えても一番おかしいのは自分ですが、毎日、明日はほめよう、と思ってもできないところばかり目につき、罵倒の繰り返しです。
いっそ、離れたら、これ以上子供を傷つける子ともないだろうと思いますが、そう簡単に公的機関に預けるのも難しいなと…
本人はいつとニコニコしていて、いいこだとは思います。
ただ、本当に信じられないくらい、頭が悪く、私自身、そのようなタイプが一番苦手なので、かなりつらいです。
少しでも何かアドバイスいただけたらと思います。
よろしくお願いいたします

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
お子さんと向き合おうとしてそれがとても苦しいという相談者さんのしんどさが文面から伝わってきました。どのようなことをお伝えできるとよいのか悩みましたが、少しでも相談者さんの気持ちが楽になり、お子さまとの関係がこれ以上悪くならないようにしていくにはどうしたらよいのかという視点でお話ができればと思いました。

 

今回、お子さん自体のことよりは親子関係という視点から検討ができればと思いました。その視点から考えると「絶望しかありません」「罵倒の繰り返し」「死にたい」という言葉が書かれているので、だいぶ相談者さんも気持ち的に参ってしまっているのではないかと思いました。また「子供にも産まなきゃよかった、早く死ねばいいなどと平気で言ってしまいます。」とありましたので、この声かけがお子さんにとってもよくないことはわかりつつ、つい言ってしまうということで、相談者さんご自身が自分の言動をコントロールすることが難しい状況であることがわかりました。
だとするならば、まず検討することとしては「お子さんと少し距離をとる」ことで、その上で「相談者さんご自身の状態を回復させる」という2段階の対応が必要かと思いました。

 

「お子さんと少し距離をとる」ということについては、現在親子の関係が煮詰まってしまっており、なかなか良い関わりをしようとしてもいざ目の前にお子さんがいるとそれができない状態の時に必要な関わりになります。
そういった時は無理にお子さまと一緒にいるのではなく、少し距離を置いて座ったり、一緒にいる時間を減らしたりと物理的、時間的に距離を置くということで、関係をよくするよりも、むしろこれ以上悪化させないということを意識できるとよいかと思います。
その流れの中で考えると「そう簡単に公的機関に預けるのも難しいなと…」と書かれていましたが、この場合であれば公的機関にお子さんを一時的に預けるのもひとつの手ではないかと思います。預け方などについては児童相談所や市町村の子育て支援窓口などに相談できますので、一度ご連絡してどういった流れになるのかを知るだけでも、いざという時の預け先があるということで気持ちも少し楽になるかもしれません。

 

ただ、一方で公的機関に頼ることに抵抗感があるという場合もあるかと思います。その際は、ご家族構成やご親族との関係性、また経済状況などが不明なのでできるかどうかはわからないのですが、例えば一時的にご実家に預けるとか、パートナーの方とお子さまとでウィークリーマンションで生活してもらう(この場合は相談者さんご自身がウィークリーマンションで過ごすのでもよいです)というのもひとつの手だと思います。
また、お子様を学校以外で日中預かってもらえるところを探すことも悪いことではないと思います。運動や楽器などの普通の習いごとに通ってもらったり、もし特性があってその必要性があると自治体に認められれば、放課後等デイサービスと呼ばれるサービスが使ったりなどして(市町村の障害サービス窓口で相談に乗ってもらえます)、一緒にいる時間を減らすことで少し距離を置いてみるのもよいかと思います。

 

そういったことをしたうえで、相談者さんご自身のセルフケアも大切かと思います。距離を置くことで気持ちが楽になり、少しお子さんとも前向きに関われるようになればそれでよいのですが、それだけだとなかなかご自身のしんどい気持ちが変わらない場合もあります。
その際には、精神科や心療内科などの医療機関を受診して少しお休みされるのもひとつかと思います。受診されることに抵抗感のある方もいらっしゃるので、もしかしたら相談者さんも受診されることにためらいがあるかもしれません。
ただ、お子さんとの関係がよくない時期が長く続くと、それが慢性的なストレスとなって調子を崩され、その結果として関係がさらに悪化するという悪循環になっているケースもあります。なので、距離をとってもなかなかご自身やお子さんに対する気持ちが落ち着かない場合は受診も検討できるとよいのではないかと思いました。

 

それ以外ではご自身のセルフケアについて取り組んでみてもよいかもしれません。子ども情報ステーションにもストレスコップをはじめ、いくつかツールがありますが、ご自身が無理なく取り組めることをしていただいて気持ちがちょっとゆるんだり、ほっとひと息つける時間を設けたりすることが、状況の改善に役立つかもしれません。

 

いかがだったでしょうか。最後になりますが、この相談をしてくださったことはとても勇気のいることだったのではないかと推測しています。お子さんのことを苦手なタイプだと誰かに伝えることはとても勇気のいることだからです。
自分の子どもを苦手だと認識するのは一般的に許されないことだと思われている方が多いので、言ったら周囲や社会から批判されるということがわかっているからです。そのため、そういった周囲の無理解がある中でもこのように相談してくださったのは、それだけ辛い、しんどい思いをされているからだと思いました。

 

実際には相談の中で親子であったとしてもタイプが合わないと語られる方はいらっしゃいますし、そのためなかなか向き合うことができないというご家族もいます。そのため例え親子であったとしても人間なので相性があることは普通のことだと僕は思っています。
なので、そういった場合は無理をし過ぎず、お互いに無理のない関わりや付き合い方を模索していくことになります。場合によっては施設に預けるという選択もありだと思います。施設に預けながらも親子関係を維持しているご家庭もあります。様々な家族の形がありますので、相談者さんご自身だけで抱え込まず、周囲の方々とどのような形がよいのかを検討していければと思いました。

 

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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