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2021今年の新刊—精神障がいをかかえた親とその子どもの支援に関連する本・精神疾患についての本など

2021今年の新刊—精神障がいをかかえた親とその子どもの支援に関連する本・精神疾患についての本など
2021年12月27日 office

毎年年末恒例の新刊紹介コラムです。


ママブルーを乗り越えるために
産前産後のうつと不安の理解とケア

著:ショシャナ・S・ベネット,ペック・インドマン
監訳:宮崎宏美
訳:小川眞,小川朝子
株式会社星和書店,2021年12月

2021年12月、出版されたばかりの本です。
妊娠中から産後1年間に起こる気分の問題を、当事者の女性、パートナー、家族や友人、医療関係者それぞれに向けてわかりやすく解説し、どのように回復していくのか対応策を紹介している本です。当事者と専門家が手を携え、最新の研究や情報を実用的にまとめています。巻末には、情報資源、用語集あり。翻訳にあたって、日本の状況にあわせた記述となっています。


一万年生きた子ども
統合失調症の母をもって

著:ナガノハル
現代書館, 2021年11月

精神疾患をかかえる母をもつ漫画家のナガノハルさんが自身の半生を振り返る物語です。
「子ども時代を子どもとして生きることを失われ、誰よりも大人として生きることは、永遠に子どもであることなのです。大人として成長できないことなのです。私はその後の人生をずっと、この代償とともに生きることになります。」
私のことかもしれない、と感じる人へ。子どものまわりにいる全ての大人の人へ。
チアキの絵が表紙を飾っています。「ぐるぐるの子どもじかん」という絵です。


うつモンスターがやってきた ママどうしたの?

著:エルムート・フォン・モッシュ
翻訳:みやざきなおみ
ラグーナ出版, 2021年4月

ママが具合が悪いのは自分のせいかも…となやむ5歳の女の子、リケが主人公の絵本です。うつ病を「うつモンスターが心をぬすむ」と表現しています。対象はおよそ小学校1年生からおとなまで。


ヤングケアラーを支える―Young Carers

編集:Nursing Today ブックレット編集部
株式会社 日本看護協会出版会,2021年9月

ヤングケアラーの実態を知るための視点、大人になった元当事者の方の声、支援体制づくりをめぐる昨今の動きなど、コンパクトな本のなかにエッセンスが詰まっています。
ぷるすあるはは、本の巻末のコラム「どんなきもちもあって大丈夫」を書きました。


ヤングでは終わらないヤングケアラー:きょうだいヤングケアラーのライフステージと葛藤

著:仲田海人,木村諭志
クリエイツかもがわ, 2021年10月

ヤングケアラーさんの本で、「きょうだい」ケアラーのテーマに切りこんでいる本です。
著者のおふたりは、きょうだいが精神障がいをかかえているヤングケアラー経験者です。作業療法士と看護師でもあり、その視点での解説がはいります。本の内容は、多様なきょうだいヤングケアラーさんのエピソード、ライフステージにそった説明、最近の世の中の調査や支援の動向、支援情報、提言など。巻末には、全国のきょうだい支援団体の情報が掲載されています。

 


絵本のリストができました!
両面に印刷するとチラシのようにも使えます。

》親が精神障がいをかかえている子どもの体験にふれられている絵本リスト


 

つづいて…
ここからはテーマを広げての新刊紹介です


世界一やさしい依存症入門:やめられないのは誰かのせい?

著:松本俊彦
河出書房新社, 2021年8月

必読です。
10代の子どもから大人まで。
これだけ、子どもへストレートに語りかける本はなかったです。
スマホ、リスカ、摂食の問題、カフェインやエナジードリンクなど、身近なこととして(自分のこと、友人のこと)、読めると思います。

松本俊彦先生の今年の新刊では、大変話題になりましたが、『誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論』(みすず書房)もすごい本でした…。


10代のための もしかして摂食障害⁈と思った時に読む本

著者:おちゃずけ
監修:作田亮一
合同出版, 2021年7月

実話からケース別にまんがで解説。見守る大人の人たちへのアドバイスも掲載しています。


みんなの双極症:日常の悩みから最新知識まで

著者:南中さくら
画:高林咲良
合同出版, 2021年10月

たくさんの情報が、Q&Aでまとまっていて読みやすく、実践的な本です。


子どものこころの発達を知るシリーズ10:ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち:子どもが社会から孤立しないために

著:吉川徹
イラスト:べに山べに子
合同出版, 2021年1月

ポジティブな方向から、そして客観的なデータやコンテンツから、子どもたちの世界に近づくかんじが、これまでの本ではあまりまくて、そしていいなと感じながら読みました。具体的な対応のヒントもたくさん。多くの大人の人に読んで欲しいです。


認知症世界の歩き方

著:筧裕介
監修:認知症未来共創ハブほか
ライツ社, 2021年9月

認知症のある方の心身に起こる症状とその結果生じる生活のしづらさを、読者がご本人の視点で、旅をするように学び・楽しめる、旅のスケッチと旅行記の形で表現されています。(初めてみるスタイルの本でした。架空のお話仕立ての設定など、好みはわかれると思います)
ポータルサイトも充実しています。
》サイトへ

2022年はどんな新刊に出会えるでしょうかね。
ぷるすの新刊(本ではないけど)、も企画中です。
ひきつづきよろしくお願いいたします。


これまでのコラム。
》2020今年の新刊
》2019今年の新刊
》2018今年の新刊
》2017今年の新刊

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