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『生きる冒険地図』が子どもと大人の共有言語に〜三鷹市での活用レポート

『生きる冒険地図』が子どもと大人の共有言語に〜三鷹市での活用レポート
2021年2月23日 office

『生きる冒険地図』(プルスアルハ著,学苑社,2019)は、まわりにたよる大人がいない中学生と小学生のきょうだい・ミルとイルが主人公、日々の生きる知恵と工夫を盛り込んだイラストブックです。
東京都三鷹市で子ども食堂・子どもの居場所をひらいている「だんだん・ばぁ」さんを拠点として本が広がっている…地域での活用例レポートです。

 

本の広がりの経緯

理事長が本をあとおし
ぷるすあるはの助成金活動を通して20冊の本を寄贈

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子ども食堂にかかわる大人の方へ配布、子どもの居場所スペースに設置

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コロナ禍での活動と本にまつわる座談会を開催し記事公開
》なにもないときにこそ、子どもと大人が安全に出会える場をつくる − 三鷹の子ども食堂・子どもの居場所『だんだん・ばぁ』のコロナ禍のあゆみ

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生きる冒険地図に興味を持つ人が増え、この本をもとに何か子どもたち向けの企画の発信ができないかとの話がでたり、養護教諭の連絡会で紹介いただき保健室での活用を検討してくれたり…

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子どもたちへ配布、そして学校、子どもたちが立ち寄る居場所やプレーパーク、児童館等にも設置(全体で100冊余)

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姉妹本の『ゆるっとこそだて応援ブック』を使ったワークショップ、作者をまじえた座談会を開催

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(その後の様子をお聞きすると…)

「今まで関係ないと思っていた人がボランティアに参加されたこともありました。」

「地域の大人の人が、他人事ではなくて、意識が少しかわるきっかけになっているかもしれません。そういう子どもはいない、知らない、から、いるかもしれないへ。」

「特に学校は養護教諭が意識的に地図を活用してくださっていて、子どもたちとの共通言語になっています。なんで先生も持ってるの?から始まりどのページが好き?とか話しているようです。」

とのこと。
例えばSOSやサバイバルスキル…「ココに書いてあったな」と、この本が子どもと大人をつなぐアイテムになったら…
それが子どもたちの安全と生きる応援につながったらと思います。

 

定期的に本の活用やその後の様子をフォローします。
ほかの地域や団体などでの活用例があれば、ぜひお知らせください。

追記

以下、座談会でお聞きした、大人の方の本の感想です。

・大人の自分が読んでも、うなずけることがあった。大人ってカンペキじゃないとか、気が楽になった。子どもの頃に知れたらよかった。

・「全部はなさなくていい」「自分を守るウソはついていい」「イヤなことを行って来る大人がいる」とかがはっきり書いてあるのが、大事だなと思いました。

・事前に、この本の情報や知識をもってたら、いざというときに危険を回避して自分を守ることにつながる。夫、成人した娘は、こんな情報が必要な子がいるなんて…と驚きやショックを受けていました。全く関係のない、関心のない大人の人、(主人公の)ミルやイルが身近な存在ではない大人にこそ読んでほしい。

・以前働いていた母子支援施設でも、大人の役割を課せられている子たちがたくさんいました。外国籍の方で、親が学校からのお知らせを全然読めないといったことも…。短期間で退所してしまうので、密に話せる場や時間があったらよかったです。困っていることに気づけていない子もいて、どうやってアプローチするかにも目をむけないといけないです。

・絵のタッチがいいなと思いました。ココにきている子がすぐに読めるわけではないかもしれないけど… ミルは「なんで三つ目?」とか話せるかなと思います。本のなかに、作者チアキの三つ目の意味が書いてありますが、子どもはちがう三つ目を言うんじゃないかな? 「かぞくへのキモチはイロイロ」のページは、その子にあったところを使えるのではと思います。

・ページの「100のやりたいことリスト」がいい。自分も書こうと思います。

・道筋がみえないと大人だって不安。コロナで大人も不安…。こういうヘルプの仕方や相談できる場があると知っていると、大人も安心して子どもたちを見守れるかなと思います。

・逃げ道もふくめて、いろんな対処法を知ってたらいいよ、と伝えたいです。今、コロナの閉塞感で苦しい人にも… いろんな方法があることが伝わる、いいきっかけになると思います。

・中学生くらいになると、困っていることを隠して、発信しづらい子が多いです。養護の先生や、スクールカウンセラーから…アクセスできたらいいですし、大人に渡すのもひとつかなと思います。

・子どもに渡すとなると、関係性によるけど、重い(いろんな事情を抱えている)家庭ほど、躊躇[ちゅうちょ]するかもしれません。

・子どもは子どもの受け止めがある。こう受け止めるのでは、という思い込みが大人の側にあることで、子どものSOSをすくいあげられなくなってる場面があるのではないでしょうか。私はこれが好き。私たちが渡したいから渡す。子どもがどう受け止めるのかはわからない。

・『この絵、かわいくない!?』〜からでいんじゃないでしょうか?

・『生きる冒険地図』は、どこからでも読めて、どう読んでもよくて…
だんだん・ばぁも、いつ来てもよくて、なにをしてもよい場。そういうところが似ていると思っています。

・『生きる冒険地図』は、安全なときに読むから、いざというときに使える本。かわいいな、からでも、お守りみたいに持ってもらって、困ったときに、そういえばあのページ…みたいに開いてみる本。だんだん・ばぁも、安全だったり、何もないときに子どもと大人がつながっているから、だんだんであってる顔見知りの○○さんだから、いざというときにポロって話せる。なにかが起きてから「困ったことない?」と役所の人が聞いても、子どもは言わないと思うんです。なにかがあってから出会うのでは遅い。子どもと大人が安全に出会う場をたくさんつくっておくことが大事だと思います。