発起人のたのなか先生とチアキによる絵本の紹介メッセージです。
少々…声が小さいですが、気持ちは熱いです。
今回サウザンブックスさんから出版をめざすドイツの絵本
『悲しいけど、青空の日〜精神疾患の親がいる子どものために(仮)』
翻訳出版のためのクラウドファンディング(発起人:たのなか先生)がいよいよ始まりました。
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『絵本は両方あった方が断然よいと思います』
プルスアルハは、2012年に絵本『ボクのせいかも…—お母さんがうつ病になったのー』(ゆまに書房)を出版しました。お母さんがうつ病になった小学生スカイ(と相棒犬ピュウ)のお話で後半に解説がつく絵本。
おかげ様で版を重ねて活用いただいていますが… プルスアルハの絵本があう子ども、家庭、があればそうではない子ども、家庭があります。絵本、それぞれのちがいがあって、両方あった方が断然よい、と思います。
今回の絵本は競合なのでは?という声もありますが…とんでもない。日本でもここ数年で少しずつ精神疾患を抱えた親、子どもの支援をテーマとした絵本や本が少しずつふえてきましたが、まだまだ圧倒的に足りない現状です(欧米では何十冊も当たり前にある光景だそうです)。
個別性がとても高いからこそ、子どもやご家族にあったものを選べるように、いろんな絵本や選択肢を増やしたいーーみなで協力して盛り上げて取り組んでいくときと思っています。
『悲しいけど、青空の日』
ドイツ語の原著と仮の日本語訳を拝見したところで、プルスアルハ的視点で、この本について、プルスアルハの絵本とのちがいもふくめて紹介します。
主人公、家族構成、ストーリー展開
シングルの家庭のお話。お母さんがうつ病。主人公モナは9歳の女の子。相棒のぬいぐるみマックス。
お話部分は、プルスアルハの絵本の2倍くらいのボリュームで、しっかりと、お話です。
学校場面やほかの子どもとのシーンも何度かでてきます。ほかの子に心ない言葉をかけられるシーンがあったり… お母さんに対しても、いろんな感情がお話のなかででてきます。展開が安易なハッピーエンドではないところも読みやすく、誠実なストーリーだと思いました。第2部へのつながりも、素敵な構成です。
タイトルの『Sonnige Traurigtage(悲しいけど、青空の日)』が、じわりと、よいかんじです。
同じ立場の子どもへ向けた主人公モナのことば(第2部)
絵本パートだけでなく詳しい説明がつく点は似ていますが、3部構成の第2部が特徴的。主人公モナが、同じ立場の子どもへ向けて、多くの子どもが疑問に思うような内容に説明していくパートです。ここもイラストが豊富、書き込めるところもあって、工夫されています。(ここは、たのなか先生のイチオシコーナーでもあります)
洋書ならではの味わいのある絵
独特な雰囲気、味わいのある甘すぎないイラスト。コラージュづかいで、紙面のダイナミックな構図や色使いがおしゃれです。(好みはあると思います)
主人公モナによりそう相棒マックスの表情をみるのも楽しい。画面のなかの小物探しも楽しい。
絵本としても魅力的だと思います。
サウザンブックスの翻訳本はいつもこだわりのある素敵な装丁ですので、今回も楽しみです!
地域での相談やサービスのちがいをどう説明する?
ドイツと日本、似ている気質のところもあって、ストーリーは共有しやすいように思います。ですが…海外の本を日本でとりいれる際の課題のひとつ、やはり、日本の精神保健福祉医療の現状とはちがう部分があるようです。ここを、日本の現状に照らして、どう丁寧に説明していくか、これは翻訳出版の際に知恵を絞るところかと思いました。
絵本の全体像や詳しい説明についてはクラウドファンディングのページをご覧ください。
あらためて…
たのなか先生のことば
『絵と物語が、自分と重複するというか…ふっと子ども時代を思い出すような一冊でした。
病気のときって、(親のことが)心配になったり、ぬいぐるみとともに語り合いながら過ごしたり。二章の書き込みのところは… 自分も本に書き込んだりしてたなあ、と懐かしさを感じたり。
大人から子どもにではなく、同じ子どもの目線で描いてくれているかんじがよいです。
プルスアルハの絵本の世界とはまた別の視点で、この絵本があることで、子どもの応援の分野がひろがるかんじがししました』
たのなか先生には、2018年PVプロボノさんと制作した動画『親が精神障害 子どもはどうしてんの?』に出演いただきました。1年をこえる制作期間を伴走いただき、冷静で穏やかななかに、熱い想いと、ひとつひとつのことば・表現を大切にされている様子をひしひしと感じました。
最初にこの絵本のことを聞いたのは、遡ってみたら2013年。あたためきた一冊を日本の子どもたちへ、満を期してのプロジェクトです。
そして…サウザンブックスさんの、クラウドファンディングを活用して世界の本を翻訳出版するという事業には、個人的にとても共感しています。「面白く自分にとって必要な本は、言葉や文化の壁を簡単に越え、私たちの心に響くものです。サウザンブックスは、そんな本との出会いを作り続けていきたいと考えています。」 出版界でこのチャレンジ、ワクワクするではないですか!
長文、最後まで読んでいただきありがとうございました。
親が精神疾患をかかえている子どもたちへ安心を。
出版に向けてぜひプロジェクトへの参加を、よろしくお願いいたします。
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