ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。
質問タイトル: 4歳の男の子
年れい: 〜就学前
質問内容
4人きょうだいの3番目、最近、嫌なことや自分に不都合になりそうな時、「〜が馬鹿って言った」と訴えて、欲しいおもちゃを何も言わずに姉や弟から取り上げて、挙句には手に入れられないとすぐに手で叩[たた]いたり押したりします。
私は、欲しい気持ちは分かるけれど、お話しして解決して欲しいと思って、何回か本人へは伝えてはいるのですが、いつになったら分かってもらえるのかなーと日々、頭を悩ませています。
おがてぃの回答
メールをいただきありがとうございます。
きょうだいでのけんか、悩ましいですよね。特に手が出たりするとなおさら注意しないと…と思いますが、注意したところでなかなかわかってもらえず、ますます悩むということが多いように思います。
メールをくださった方も既にご存知かもしれませんが、一般的には幼児がこうやって人のモノを取ったり、自分のものだと主張したりするのは、主体性や自主性が育ってきた証だと言われることが多いです。なので、悪いことばかりではないのですが、何せ幼児さんなので自己主張の仕方が上手くなくて、だれかの悪口を言ったり、つい手が出たりしてしまいます。
では、どうしたら良いのかというと、基本的にはメールをくださった方の対応で良くて、欲しい気持ちを共有しつつ、お話しして解決してほしいとその幼児に説明していくという方法になります。
それぞれのポイントについて説明していくと、まず「欲しい気持ちを共有」というのはいわゆる「共感」という部分です。
人はだれかに気持ちを共感してもらうと安心したり、気持ちが落ち着たり、少し冷静になって自分の気持ちを理解したりすることにつながるので、まずは「これが欲しかった」という気持ちに共感することが、ひいては「欲しかったけど、がまんする」とか「欲しいから、お母さんや他の兄弟も納得する方法で欲しがる」という行動に結びついていきます。
ただこれが難しい。なぜかというと、だいたいの子どもは「欲しい!」と思ったら、すぐ手が出ているからです。なので、事前に対応することが難しく、つい「なんでとっちゃったの!」と注意しながら子どもに関わるので、すでに共感とはちがう対応をすることになりがちだからです。
なので、もしお友達のおもちゃを勝手にとってしまったとしたら、まずはそのおもちゃを返して大人が「勝手にとってごめんね」と謝ったうえで自分の子どもに「おもちゃが使いたかったんだよね」と共感していくというアプローチが求められます。でも、だいたいは「この子はまた勝手におもちゃ取って!」とこっちの気持ちがささくれ立っている状態なので、まずは自分の気持ちを落ち着かせて共感モードにもっていってから、アプローチしていくという方法が求められます。
次に「お話しして解決してほしい」という部分ですが、ここも「子どもに理解でき、また実際に行動できるレベルに落とし込んで説明する」という工夫が求められます。
子どもなので、大人と同じように説明しても理解することは難しいです。なので、子どもの年齢や発達に応じて、わかりやすく説明してく必要があります。ただ口頭で説明するだけでなく、絵本や最近だとTV番組とかの映像とかを使いながら、どうやったら理解してもらえそうかいろいろ工夫していけるとよいかと思います。
また、理解できることと実際に行動できることは別問題です。世の中には節約とかダイエットの仕方とかについていろんな情報があふれていますが、知っていたとしても、それが日常生活ですぐに、あるいは継続してできるわけではないことを多くの人は経験していると思います。
子どもも一緒で、理解したからといってすぐにできるわけではないのです。なので、練習期間が必要となります。一緒に遊んでいて、またおもちゃを取ってしまうような場面があったら、良い練習の機会だと思って「じゃあここでこういてみようね」と一緒に言う練習をしてみましょう。
最後にもし子どもが話し合いで解決できるようになったら、すかさずほめましょう。
より具体的に「○○できてすごくよかったよ!」「○○できてすごい!」など伝えられると、子どもは「あぁこうすればいいのか!」と理解して再びそういった行動をとろうと思うようになるでしょう。
…自分で書いていてなんですが、正直「こんなのできない…」と思う方が、ほとんどではないかと思います。実際自分が子育てにおいてここまで完璧[かんぺき]にできていたかというとまったくそんなことはなく、よくおこったり、悩んだり、困ったりしていました。ただ、時々上記のようなことを思い出して、実際にやってみて、上手く行ったりいかなかったりをしていると、年長さんとか小学校あがったくらいにはそういった行動はだいぶへってくる…というような印象です。
子どもなので、コミュニケーションの取り方はまだまだ未熟です。ひとつひとつ周囲の人たちに教えてもらい、経験を積みながら学んで、心身の成長とともに身につけていくという感じになります。なので、少し気長に見守りつつ、要所要所で関わり、子どもの良いところにも目を向けながら日々過ごしていけるとよいかなと思います。