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高校生です、親を精神科に受診させたいです…ー精神科受診Q&A

高校生です、親を精神科に受診させたいです…ー精神科受診Q&A
2019年2月16日 pulusu

精神科で長年働いてきた看護師のチアキが、精神科の受診や治療などの質問に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:親を精神科に受診させるにはどうしたらよいですか?

 

お母さんのことです。
どうも様子がおかしくて、精神科にいって治療した方がいいと思うんですが、行きません。私は高校生です。

チアキの回答

 

しんどい思いをしながらの相談やと思います、質問、本当にありがとうございます。
子どもが親の受診を考えるって、親と子の役割が逆転していて…家の中のことを、ほかにもいろいろされているのかなと思うと、なにか、少しでも力になれないか…と思います。

 

親が子どもを無理やり受診に連れて行くのも難しいけれど、子どもが親を…というのはその100倍くらい難しいと思います。
実際に今こうして相談をくれているということは、まわりに頼れる大人がいないのかな…とも思いますが、いっしょに考えてくれる大人につながれたらと思いますし、(もし受診が)うまくいかなかったとしても、いろんな方法があります…。

 

とはいえ。
今のしんどい状況について、親の受診について、いっしょに考えたいと思います。
実はよくきかれる相談で、このことで困っている人は、ほんとにたくさんいます。

 

 

お母さんのどんなところが心配ですか?
まず、一度、整理をしてみます。
「(心配なのは)こんなこと、こんなこと…」と書き出してみます。

 

受診の話をするときには…
頭ごなしに「ちょっとおかしいから精神科へ行こうよ」と言うと、家族のケンカのもとになるので、
「前はこんなかんじやったけど、最近様子がちがうから、心配なんやけど…」というかんじで言ってみます。
心配ではない、と言われたら「なんか困ってることない?」とたずねてみます。
(お母さんと家族の)「心配ごとが重なり合ってるところ」をきっかけに、会話の糸口を見つけられたらと思います。
まわりの家族が心配だなあと思っていることと、ご本人(お母さん)が困ってることや心配していることは、結構ちがうことがあります。
お母さんには、お母さんの、病院に行くのがイヤな歴史というか、ストーリーがあるのかもしれません。(例えばの話ですが、言わないけど、以前病院でイヤな思いをした、とか、実はお金がかかることをとても気にしているとか…)

 

毎日、なにかあったら病院に連れて行こう、と考えて観察ばっかりしてたら、家族関係が悪くなるし、
15分、20分その話をして…だんだん空気が悪くなったら、その日はその話はいったん終了。1時間かけたら説得できる、ということはないと思います。ほかの方法が試せたらと思います。
精神科の治療は、一回だけでは終わらないことが多いので、だましうちで連れて行くのはおすすめしません。(二度と行かない、となることがあります)
無理やり車に乗せても…にげ出してしまったり、危なかったりするので、それもやめた方がいいと思います。

 

病院に連れて行きたい、でも行かない…はとってもよくある相談ごとで、それだけ、家族だけで連れて行くのは難しいので
家族の応援団を探すことに、ちょっと舵[かじ]をきるのもよいと思います。
応援団といっしょに作戦を考えるイメージです。

 

このページの最後に、相談先(応援団の候補)・相談のメモへのリンクをのせていますので、参考にしてください。

 

役所(公的な相談機関)であれば、大人のことを信頼するしないに関係なく、システムとして、家族の相談があります。
「今こんな様子がで、こういうことが心配で、すすめたけど、行かない…」というかんじで、まず電話で相談して、大丈夫そうやったら、行って作戦会議ができるとよいと思います。高校生で、生活の心配とかがあったら、役所ならそれもあわせて相談にのってもらえるかもしれません。
専門的な知識のある人に、お母さんの様子は、緊急で病院に行った方がよいか、をいっしょに考えてもらえると安心です。
もし、お母さんが自分を傷つけたり(自傷といいます)、まわりを傷つけたり(他害といいます)…心配なときには、お母さんと自分たちを守るために、警察110番します。もしも、お母さんが、こころ病気で具合がわるいときには、逮捕[たいほ]されません。

 

さいごに。
あまり役に立てなくてすいません。最後まで読んでくれてありがとうございます。
もし、お母さんのことを病院に連れて行かなかった、行けなかったとしても、それを自分の責任とか負い目とかに感じないでほしいです。
お母さんの人生はお母さんの人生。あなたの人生はあなたの人生。
お母さんの受診のことは省エネにして、自分のやりたいこととか、好きなことを諦[あきら]めることをしない選択を、むしろそこをがんばってほしいと思いました。
今しかない子どもの時間を、お母さんのために使うのではなくて。
高校生ということで、これから進路のこともあると思います。あなたには広い世界が待ってるし…家をでる選択、方法を考えることをふくめて、自分のために、自分の将来のことを考えることに、自分の時間をつかってください。

相談先の情報

 

公的な相談先

メリット…お金がかからない、どの地域にもある

【保健所】

こころとからだの相談ができる場所。
精神保健[せいしんほけん]←こころの健康の担当がいる。県に何カ所かある。大きめの都市にある。

【精神保健福祉センター[せいしんほけんふくしセンター]】

こころの相談ができる場所。県に一箇所ある。政令指定都市という大きな都市にもある。

精神科の病院

【家族だけでの相談をやっている病院】

ホームページで「家族相談をやってる」と書いてるところもある。
電話で「…が心配で、家族だけで相談に行けますか?」と確認。
お金がかかることが多いので確認。
メリット…本人が受診するとなったときに、その病院だったら状況をわかっているので一から話さなくていい。病院探しをしなくていい。家族の話も聞いてもらいやすい。
家族相談をやっている病院の情報は、上に書いた保健所や精神保健福祉センターにきくこともできます。

いきなり病院や保健所はハードルが高い…ということもあると思うので、まず、話しやすい大人から…
一般的な相談先に関する情報と、相談先で聞かれやすいことは、次のページで説明しています。

》中高生のみなさんへ・相談ってどうするの?

チアキ
関西→関東、精神科ひとすじの看護師。
ぷるすあるはの制作担当、絵本ではお話と絵を担当しています。

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