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パートナー・配偶者の方からの質問Q&A 5.病気のご本人とのかかわり

パートナー・配偶者の方からの質問Q&A 5.病気のご本人とのかかわり
2019年2月2日 pulusu2

うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」×「ぷるすあるは」のコラボ、精神障がいをかかえた方のパートナー・配偶者の方から、よくたずねられる質問のコーナーです。
今回は、病気のパートナーとのかかわりがテーマです。

 

コラム構成

 

はじめに
「かかわり」の前にできること
「かかわり方」のポイント
最後に

 

はじめに

 

うつ病のご家族の方からのご相談で多い内容の一つに「本人とのかかわり方」が挙げられます。
例えば、
「病気になってから急に怒りやすくなって、どうしていいかわからない」
「落ち込んでいる時にどんな言葉をかけてあげたらいいの?」
といった内容です。
ご家族だからこそご本人と接する機会が多いですし、お互いに良くも悪くも影響を受けることが多いでしょう。
「かかわり方」を知ることは、ご本人の病状安定のためにも大切なことになります。
今回は、そのような「かかわり方」でお悩みの方に少しでもお役に立てればと思います。

 

「かかわり」の前にできること

 

病気に対する正しい知識を身につける

間違った知識を持っていると関わり方にも大きく影響していきます。インターネット、書籍、専門家などから情報を収集し、病気に対する正しい知識を身に着け、理解を深めておくことは大切です。
例えば…
・うつになると睡眠のリズムが乱れ、不眠だけでなく過眠[かみん]の症状が出る場合がある。
・物事のとらえ方が被害的[ひがいてき]になるため、怒りやすくなったり、落ち込みやすくなったり気分の波がみられる。

 

「かかわり方」のポイント

 

まずは受け止める姿勢
ご家族の方からすると理不尽[りふじん]な発言やまとまりのない内容の会話があるかと思います。「それはちがう」「結論から言ってほしい」という気持ちになることも多いかと思いますが、まずはご本人の発言を受け止めましょう。共感的に話を聴くことで、感情的な対立をさけることができ、よい距離感が保てます。
例えば…
・「でも」「だって」「だから」をいきなり言うのは極力さける。
・「つらかったんだね」「楽しかったんだね」など感情の言葉を返すようにする。

 

「励まし[はげまし]」には工夫を
近くで様子を見ているご家族からすると、少しでも早く元気になってほしくて励ますことはよくあると思います。励ますこと自体は決して悪いことではありませんが、励まし方には工夫が必要です。
例えば…
・「頑張ってね」→「一緒に乗り越えていこうね」
・「早く元気になってね」→「あなたのペースでゆっくりやろうね」
上記のようにご本人の目線に合わせた発言が大切です。

 

「特別扱い」には注意
ご本人が落ち込んでいる姿を見ると、早く元気になってほしい気持ちから様々な「気分転換」をご家族が提案されることがあります。ご本人の状態によっては効果的なこともありますが、病気の初期や悪化している時にはかえって逆効果になる場合があります。病状が重い時には心のエネルギーが低下しており、普段楽しめることが楽しめなくなったり、疲労感を必要以上に感じてしまいます。
また、「気をつわれている…」「楽しめない…」といった思いから罪悪感を強めてしまう可能性もあります。気持ちの落ち込みが激しい時にはご本人の気持ちやペースに合わせた接し方が必要です。
例えば…
・ご本人の気持ちが落ち込んでいるからといって無理に長期の旅行を計画することは慎重に。
・ひきこもりがちだからといって、無理に友人や親戚を招いて合わせることも本人にとっては負担となってしまう可能性があります。

 

さいごに

 

これまでいくつか「本人とのかかわり方」について書かせていただきましたが、“正しい”かかわり方というのはないと考えています。ご本人の病状は日々変化していきますし、ご家族の形もそれぞれ違っているからです。より具体的なかかわり方について知りたい場合には、ご本人の担当医やカウンセラーなど専門の方々にご相談されるのが良いかと思います。今回のコラムはあくまで参考程度にしていただけますと幸いです。

 

また、ご本人とのかかわりについて、ご家族の方だけで抱え込まないようにしてください。
「家族だからしっかり支えなければ」と思い、ご本人のために一生懸命支えることは大切なことです。しかし、ご家族の方も疲弊していまい、ご本人と悪循環におちいってしまうケースもあります。ご家族のことについて一人で抱え込まないように、相談できるサポート(医療機関、カウンセリング、精神保健福祉センターなど)を活用することをお勧めします。

担当:エンカレッジ

執筆者

兵働 弘一(ひょうどう ひろかず)/臨床心理士

スクールカウンセラーとして小・中学校でのカウンセリングに携わる。現在は就労移行支援事業所でメンタル不調を抱えて就職を目指す方の就活の支援を行う。