うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「エンカレッジ」×「ぷるすあるは」のコラボ、精神障がいをかかえた方のパートナー・配偶者の方から、よくたずねられる質問のコーナーです。
今回は、配偶者の両親(義両親)にどう知らせるか… など義両親とのかかわりがテーマです。
はじめに
配偶者がうつになったとき、配偶者の両親(義両親)にどう知らせるか、また義両親にどこまでサポートしてもらったら良いか、というご相談も、比較的よく聞くご相談です。
義両親とのコミュニケーションを迷う背景には、
「このままの生活は体力的・精神的・金銭的にギリギリなので、義両親に頼ることで負担を減らし、少しでも安心したい」
「義両親も若くなく、通院治療中。多くをお願いすると負担になるのではと不安だが、彼らの子のことでもあるので、どこまでなら求めても良いか」
「義両親とのつきあいの中で、話さないことで嘘[うそ]をついたり話に矛盾[むじゅん]が起こることになり、そのたびに気をつかうのがつらいので事実を伝えたい」
「自分から伝えることで、配偶者がいやがるのではないか」
など、いろいろなご事情があることと思います。
それぞれに義両親との関係性もからんできますから、迷われるのも、もっともなことです。
サポートは多い方がいい。けれど…
もし、ご自身・配偶者ともに、義両親との関係が良好で、義両親がサポートとして頼[たよ]れる方々であり、ご自身が「このまま続けていくのは苦しい」と感じていらっしゃるのなら、遠慮なく頼られるとよいでしょう。
その際も、できれば当事者である配偶者ご本人に対して「◯◯の部分を自分ひとりでやっていくのは難しいから、あなたのご両親にも可能な範囲で協力をお願いしようと思っている。自分から連絡するけれど、それでいいかな?」などと確認をとられるとよいと思います。
どこまでサポートをお願いするかについても、現状を伝えながら義両親の可能な範囲についてすり合わせができるとスムーズではあります。
ただ、ご自身と義両親との関係性、または配偶者と義両親との関係性は、本当に様々で、そう簡単にはいかない場合も多いことと思います。
ただでさえ毎日気を張り、頑張っていらっしゃる中で、義両親とのコミュニケーションに気をつかわれることは、とても疲れることでしょう。
「義両親だから」サポートをお願いする、しない、ということでなく「サポートとして頼りになるかどうか」で伝えるかどうか、サポートをお願いするかどうかを判断してみるのもひとつかと思います。
サポートとしては義両親に期待できないけれど、伝えないと支障[ししょう]が出そうな場合には
「仕事で疲れがたまり、配偶者の体調が優れず、しばらく自宅療養をすることになった。」
「医師から本人をゆっくり休ませるようにと言われているので、しばらくそっとしておいてほしい」
「回復してきたらこちらから連絡します」もしくは「難しいことは重々承知ですが、このままだと○○なので△△だけはお願いできませんか」
など、必要なことだけを伝えるのも良いかもしれません。
その際、できれば配偶者ご本人にも「こういう風に伝えるけれど、いいかな」と予め伝えておくといいですね。
さいごに
家族に頼ることは難しいという場合でも、自治体の福祉担当や、保健所、保健センター、精神保健福祉センターなどが、相談に応じてくれることと思います。
ぜひ、ひとりで負担を抱えこまずに、活用できるサポートは十分に活用してくださいね。
ご家族の相談先、サービスの情報
ご家族の集い、相談先
パートナーに特化した集いは、まだ全国的にも数少ないです。
対象をパートナー・配偶者に限定しない家族の集い・家族教室などは、全国で開催されています。
》 都道府県連合会一覧 (全国精神保健福祉会連合会[みんなねっと]のページへ)
》スマイルナビゲーターの「イベント情報」で情報を得ることができます
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》encourage(うつ病患者の家族向け・ネットのコミュニティサイト)
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ご家族だけで相談できる地域の相談先には、精神保健福祉センター、保健所の精神保健担当があります。
社会福祉サービス
担当:エンカレッジ
執筆者
三瓶真理子(EASE Mental Management代表カウンセラー、臨床心理士)
医療機関(精神科・心療内科)、大手EAPプロバイダー、上場企業の専属臨床心理士を経て、働く人と企業のメンタルヘルス相談をおこなっています。