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「家庭・医療・学校がつながる ~不登校から考える~」先生のための保健室

「家庭・医療・学校がつながる ~不登校から考える~」先生のための保健室
2018年1月18日 pulusu

保健室に来る子どもたちの悩みは様々で、ついついクスッと笑ってしまうものから、どうしようもなく切なくなってしまうものもあります。
先生方は、そんないろんな子どもの気持ちの受け皿となって、サポートしていることと思います。
私自身も、子どもへの支援だけでは対症療法にしかならず、保護者を含めた家族のサポートが必要なケースを前に自分の無力さを感じることがあります。そんなとき私たち教員は、何ができるのでしょうか?

 

例えば、不登校。
不登校がの理由が、学習のつまづきや友人関係とのトラブルなどの場合は、先生方の果たす役割はとても大きいと思います。
でも、不登校の背景に見逃されていた疾病や障害特性、家庭環境が大きく影響していた場合はどうでしょう。

 

母親の心が不安定のため、心配して家をはなれられない子どももいます。
学校に行きたい気持ちはあるけど、毎夜おきる夫婦ケンカを見て、笑顔が作れない苦しさから集団からはなれてしまう子もいます。
幼少期に診断されていた発達障害も、さまざまな事情から、療育や医療につながれていなかった場合もあるかと思います。

 

そんなときは、私たち学校だけではなく、地域の力が必要になります。
母親の治療をサポートする人、家事をサポートしたり、生活全般を見守って何かあったときにはすぐに動いてくれる人。
トラブルの原因に、アルコールなど嗜好品への依存や暴力行為がある場合には、医療機関や保健所や児童相談所の方の支援が必要になるでしょう。
近くで、苦しさを抱えてきた親の気持ちを受け止めてくれる友人や親族の存在もとても大切です。
だから、私たち教員が無力さを感じた時は「頼る」ことが必要なんだと思います。

 

先日、地域の精神保健にかかわる方を対象とした研修会がありました。
精神科医、保健師、精神保健福祉士、特別支援教育コーディネーター、相談員、スクールソーシャルワーカー、養護教諭、などなど。
研修会では不登校の事例検討を行い、最後にそれぞれの職種から振り返りを行いました。
そこで印象に残ったお話がありました。

 

保健所に勤務する保健師さん

「これまで、不登校の相談があった場合『学校に相談してみてください』で終わってしまっていることがあった。でも、支援の対象を子どもだけではなく家族にしたとき学校に任せるのではなく、一緒に考える場所を作っていくことが大切だと思った」

 

小学校の相談員さん

「不登校は、一人だけではなく兄弟も不登校になっていることが多い。たとえ今、元気に登校できている子でも、不登校の兄弟がいた場合は学校内、あるいは小学校、中学校の垣根を越えて情報共有していくことが、早期発見につながる大事なサポートだと思った。」

 

講義をしてくださった精神科医さん

「精神科医を活用してください。」

 

 

私自身も、多くの方に助けていただいています。
「医療ソーシャルワーカー」といって、医療機関と学校を繋げてくれる方には、実際に学校に足を運んでくださって医療を学校にフィットさせたり、保護者と学校とのそれぞれの考えを交通整理してくださったりとサポートいただいています。
「保健所」の方には、保護者が医療機関につながるきっかけとなる相談窓口になっていただいたり学校ができない家庭へのサポートをしていただいています。
「市の子育て支援課」の方には、保護者の育児負担を軽減するための支援について相談にのっていただいています。

 

こうした輪はどこから広がるか、どうやって広がるかはケースや地域によって異なると思います。
でも何も言わないと始まりません。
まずは隣の席の先生、ベテランの先生、保健室の先生に「どうしたらいいかな?」と聞いてみてはいかがでしょうか?
そうやってできたネットワークは、きっと目の前にいる子どものために一生懸命な先生の強い味方になってくれると思います。

 

自分の応援団を見つける・たくさんの力を遠りょなく借りる(子育て編)

》先生のための保健室(学校の先生方へ) ─先生方が気軽に立ち寄れて…『精神障がいや発達凸凹のある保護者』へのかかわりに生かせる情報と、先生方もちょっぴり元気になれる情報のページ ※プリントづくりについての配慮、このコラムへのリンクを追加しました